良い技術書は3パターンに分類できる気がする

いけてるエンジニアが「これは良書だ!」と絶賛しているので買ってみたら、よくわからないことが書いてあるだけで理解できなかった。という経験をした人は多いのではないかと思う。
こういうことはなぜ起きるかというと、別にいけてるエンジニアが初心者に意地悪をしているわけでもないし、いけてるエンジニアとは頭の出来が違いすぎたということもなく、単純に「良書」には複数のパターンがあるからなのでは、と私は思っている。
全くの私見だが大別して3パターンある気がする。以下、これについて述べたい。


1.「わからない」を解決する良書
初心者にとって最もうれしいのがこのパターンの書籍。一般的に良書と言われるのはこのパターンに属する書籍だと思われる。
(私もそうだったのだが)初心者はそもそも、その技術分野に対するカンが全く働かないので、本を最初から順番に読む傾向がある。また自分で具体例をノートに書いたり、コーディングしたりして確認する癖がついていない。また本を読んでわからない点を別の本やwebで調べるのを怠ったりする。
よって、先頭から順番に読むことでだんだん理解できるようになる構成になっていて、具体例が豊富で、その書籍一冊で内容が完結している書籍が初心者が求める「わからない」を解決する良書ということになる。
私の知っている範囲だと例えば以下の3冊がこれに該当する。
  


2.「知らない」を解決する良書
いけてるエンジニアが「これは良書!」と絶賛しがちなのがこのパターンの書籍。これまでは論文にしか情報がなかったような手法が書籍としてまとめられたものや、経験的に大抵の人は使っているが文書化されていなかったノウハウが書籍された場合がこのパターン。
主要な手法は教科書を読んで理解できるが、先端の技術にまで手が回らない人にとっての良書といえる。ポイントを抑えて書いてあれば理解できるし、なぜそれをやるのか?という前提も知っている。という人がこのパターンの書籍を絶賛しがちなので、全くの初心者が読むと不親切な場合が多い。
私の知っている範囲だと例えば以下の3冊がこれに該当する。
  


3.「時間がない」を解決する良書
パターンとして挙げてみたが具体的に書籍は思いつかなかった。複数手法の特徴や評価結果など、時間があれば自分で調査できるが時間が無いのでポイントだけ知りたい、という問題を解決するのがこのパターン。
書籍と言うより論文やブログに多い気がする。このパターンに属するドキュメントはニッチ過ぎたり、あっという間に情報が古くなったりして書籍化しにくい気がする。
その分野に詳しい人でないとわからないような前提条件が無言で使われまくったりしていて初心者が手を出すと一瞬で死ぬのがこのパターンだと思う。いけてるエンジニアが無言で「これはすごい!!!」とか言ってリンクを投げてきて、読んでみたらこのパターンで即死するとかは良くありそう。


以上。良書と呼ばれる書籍は「わからない」「知りたい」「時間がない」の3パターンのいずれかを解決する書籍である、と言えそう。書籍を薦められたときは相手がどこに重点をおいて「良書だ!」と言っているのかを考えてみると自分にマッチした本と出会いやすいのでは?と思った次第。