ECO祭クリストの日々徒然 RSSフィード

2017-06-19 閉館までアト一ヶ月

[]閉館までアト一ヶ月


みなさ〜ん!お元気ですか〜。エコ通ステーション窓口スタッフのエコ助ですd(^O^)b

いよいよエコ通ステーションの完全閉館まで、残り一ヶ月となりました。当初の予想では、三か月ぐらい前から、月極めのお客さんの解約が相次ぎ、ビジターのお客さんも殆ど来られない、閑散としたエコ通ステーションを予想していました・・・。

ところが、実際には、確かに解約されるお客さんも何人かいらっしゃいましたが、殆どのお客様がまだエコ通をご利用して下さってます。本当にありがたくて、エコ助涙が止まらない感じです・・・(ToT)

ある女性のお客様は、「エコちゃん、閉館は仕方ないけど、私は最後の日まで、エコ通さんを利用させてもらうからね。よろしく頼むよ!」と逆に応援してくださいました。

また、あるお客さんは「残念やけど、ここまで本当にお世話になりました」と、頭を下げられて、エコ助は本当に困ってしまいました。だって、お客さんにご迷惑をかけたのは、エコ通の方なのですから・・・。

残り一ヶ月、お客様達との最後の貴重なふれあいの日々を、大切に過ごしたと思う、エコ助なのです・・・<m(__)m>

また、ランステ(ロッカー&シャワー)ご利用のビジターのお客様の御来店も、増えてきております。週末は勿論のこと、平日でも、何組かランステご利用のランナーさんが来店されます。

あるビジターのお客様にお話しをお聞きしたところ「以前から興味があったのに、なかなか利用できなかったのですが、閉館されると知って、慌ててきました」という方もいらっしゃいました・・・^_^;

本当に皆さん、ありがとうございます<m(__)m>

さて、大阪マラソン神戸マラソンと抽選結果が出ましたが、エコ助の周りには、神戸マラソンを当選した友達は、何人かいますが、大阪マラソンについては、当選者は皆無です。今年はよほど、倍率が高かったのでしょうか・・・。

エコ助は、6月14日(水)奈良マラソンのネット申し込みに挑戦しましたが、一度も申し込み画面に接続することなく、締め切りとなりました〜・・・(-_-;)

奈良マラソンも年々、申し込みが厳しくなってきましたね・・・。もう受付順というのでは間に合わないよ〜な気がしますので、他と同じように、抽選だけにした方が分かり易くて、諦めもつくのでは・・という気がしますがいかがでしょうか?

奈良マラソンの場合は、ネットでダメな場合、申込用紙の郵送受付もあるので、早速、申し込み用紙を請求しました。この場合は抽選になるのですが、当たって欲しいと心の底から思います。

そして、そのアトはいよいよ京都マラソンですが、7月20日(木)募集開始です。エコ助は四年連続当選のアト、去年外れたので、今年は是非満を持して申し込みしよ〜と思っていますが・・・抽選なので、ど〜なることやら・・・(-_-;)

さて、最後に、前回で最終回を迎えたマラソン「青山ひろし35歳の春」はいかがでしたでしょうか。楽しんでいただけましたか?

閉館までアト一ヶ月ありますので、もう一本別の小説を連載してみてもよいのですが、いかがでしょうか?

2017-06-12 青山ひろし35歳の春最終回

[]青山ひろし35歳の春最終回


しかし、結局、部長はその年の京都マラソンを走ることはなかった・・・。

いや、その年だけではなく、その先も永遠に大会に出ることはなかったのであった・・・。あおやまひろしが、代走の件を申し出たその日の夜に、部長は血を吐いて倒れたのであった。肺癌であった・・・・。

あれから5年が経った。今年もあおやまひろしは京都マラソンの出場申し込みをしていた。

いよいよ来週はレース本番である。厳しい京都の冬はようやく峠を越えようとしてた。

あおやまひろしは今日も鴨川河川敷を走った。初春と呼ぶにはちょっと冷たい過ぎる河川敷の風に吹かれながら、あの当時の事を思い出していた・・・・。

「来週はいよいよ京都マラソン本番やな〜・・・・。毎年この季節になると思い出すけど、五年前の春、取引先の部長はんに大会出場を譲ったけど、結局、走られへんやっかったんや・・・。出場権を譲ります、ゆ〜て申し出た日に倒られはって、土方はんから連絡をもろ〜て、実は部長はんは肺癌やったことを知らされたんや・・・・。

広島の本社への転勤も、余命を家族と共に過ごさせようという会社の計らいやったんや・・・・。部長はんは、自分がもう走れる体やないことを知って、わしに完走させようと一緒に練習してくれてたんや・・・。

倒れはった次の日に病院に見舞いに行ったら・・・。

「せっかくの申し出だったけど、僕はも〜、走れる体やないんやから、是非あおやまくんに走ってもらいたい。君が走れば、一緒に練習をした僕が、一緒に走っているのと同じだよ」

と泣きながらゆ〜たはった・・・。アトで、わしが完走したことを連絡したら、心から喜んでくれて、よ〜やった、よ〜やったと、電話口で泣いてはったがな・・・・。結局あの年の夏に部長はんは、家族に看取られながら亡くなったんや・・・・。ほんまにえ〜人やったな〜・・・・。」

「あれから5年経ったけど、やっぱり今年も部長はんの事を思い出してしまうがな・・・・。京都マラソンを走ってると、なんかいつも部長はんと一緒に走っているような気がすんねんな〜。あおやまくん、もっとスピードをあげよう、とか、給水を取ろうとか、耳元で言うてはるような気ぃがすんねん。

ひょっとして、本当にわしのそばを走ってはんのかも知れへん・・・白装束着て・・・。って〜想像したら、ちょっと気色悪いがな・・・。それほどあのお人は、走るのが好きな人やった・・・・。本当に、京都マラソンを最後に走りたかったんやろ〜な〜・・・。」

もし、部長がまだ生きていれば、いつかは当選して走れたのであろうが、部長はもうこの世の人ではなくなったのであった・・・・。

京都に春を呼ぶ京都マラソン」と呼ばれる大会は、また今年も開催される・・・・。

おわり

(一部、代走行為に賛同するかのような表現がありますが、あくまでも代走はルール違反であり、物語上の流れで、そのような表現になりましたが、作者も代走行為は許されないと考えております)

2017-06-05 青山ひろし35歳の春第6回

[]青山ひろし35歳の春第6回


皆さ〜ん、こんにちわ〜!エコ通ステーション窓口スタッフのエコ助です。いよいよマラソン小説「青山ヒロシ35歳の春」の佳境に入ってきましたね。皆さん読んでいただいてるでしょうか?

できれば、みなさんの感想やご意見をいただけると、作者エコ助としても、とても心の張りがでてくるのですが・・・^_^;

ど〜ぞ最後までお付き合いくださいね・・・。

あ、そうそうお知らせです。エコ通ステーション閉館までアト残り一月半となりまして、今エコ通ステーションでは、閉店セールを実施中です。在庫一掃のセールですから、勿論これまでになくお安くなっております。

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サイクルジャージは1000円〜2000円台中心ですし、その他グッズ、例えば、シリコンライトは100円。その他500円、1000円のグッズも多く、只今どんどん売れています・・・。

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昨日平安神宮で開催された、グレートアース京都ライドにもエコ通ステーションのブースが出店して、飛ぶように売れたようです。

是非、皆さんのご来店を心よりお待ち申しております。

はい、では、「あおやまヒロシ35歳の春」第6回の始り始り〜・・・d(^O^)b

「何、考えてんの?本番は今週の日曜日だよ!まさか、本番前にして、びびってんるんじゃないだろうね」
「何ゆーてまんねん!このあおやまひろし!びびるなんて!そないなこと一切ありまへんで!」
「ほー、えらく威勢がいいじゃないの」

「・・・・・・・・・実は、もう走るのがいやになりましてん。ただ、ただ走るだけなんて、あんまり面白ないし、わし、本当はスキーの方が好きやし、今週の日曜日にぽん友とスキーに行く約束しましてん。」
「・・・・・・・・・・・」

「部長が毎週日曜日に誘いに来るさかい、我慢してましたけど、本当は、いやになってましたんや!部長に申し訳なくて、なかなか言えへんかったさかい、黙ってましたけど・・・・・・」
「・・・・・・・・・なんてこと言うの、あおやまくん。随分がっかりさせてくれるじゃないの・・・」

「すんまへん。それで、申し訳ないんでっけど、わしの代わりに走ってもらえますやろか?」
「僕がかい?」
「えー、部長にはいろいろ親切にしてもろうたし、参加料もけっこうですから・・・・・・」
「そー!君にはがっかりしたけれど、せっかくやし、勿体無いから、代わりに走らせてもらうよ・・・・・」

「部長!おーきに!・・・・・ただし!」
「ただし?」
「わてと三つの事を約束してくれまっか!」
「三つの約束?」

「そうだす、三つの約束だす!」
「代わって走ってやろうという人に対して、えらく、えらそーな事いうんやね!」
「まーえーから、聞いておくれやす!」

あたりかまわず、大きな声で話す二人の様子に、周囲の社員達は耳をそばだてて二人の会話を聞いていた。その中で、土方だけには、事の成り行きとあおやまひろしの心情を理解していたのであった。

「一番目の約束は、絶対に入賞したりしないこと!」
「なんのこっちゃ!」
「そやかて、万が一入賞でもしはって、テレビのインタビューや新聞に写真が載ったりしたら、部長の顔があおやまひろしの名前で出るやないですか!わての方が部長より数倍えー男前やさかい、困るんですわ!」

「あのね〜・・・あおやまくん・・・・」
「えーから!最後まで聞いておくれやす!」

「二番目に・・・・・・これが一番言いたいころなんやけど・・・・・・。来年こそ京都マラソンを一緒に走ってください・・・・・・」

「だって!君!さっき、もうマラソンは嫌いになったゆーたやないか!まさか・・・・まさか・・土方に・・・」

部長が最後まで言う前に、その時すでに、二人のそばに立っていた土方が部長の肩をたたいて静かに言った。
「部長、ここはあおやまはんの言うとおりにしてあげてくれまへんやろか、私からもお願いしますわ」
土方は、部長の肩に手を載せたまま、あおやまひろしを見つめて何度もうなづいた。あおやまひろしの目にうっすらと涙が浮かんでいた。

「あおやまくん・・・・・・・」

部長も、その言葉にすべてを理解し、あおやまひろしを見つめた。
「最後に、部長は京都の街は好きやけど、京都の人間はどうも信用でけへん、といつもゆーてはったけど、どうぞ、街だけやなく、京都の人間も好きになっておくれやす!」

「あおやまくん・・・・・・・。本当は・・・・・・」

部長の瞳にも、あおやまひろしと同じように涙の光が宿っていた。
「わての名前のついたゼッケンをつけて部長が走る。それなら、二人で走っているのと同じやないですか。いつも二人で練習したんやから、それが一番いいんですわ!」

あおやまひろしは、とうとう抑えきれなくなった自分の感情をさらに押し殺そうとして下を向いた。涙が足元に落ちたのを見た時、これ以上言う言葉を見出せなくなった。

「それだけですわ!ほな、やり残した仕事がまだありまっさかい、これで失礼します!」
「おーきに、おおやまくん!しかし、実は・・・・・!」

「部長!来年の京都マラソンの日に部長が広島から出張できるように、わて、でかい失敗やらかしますさかいに!」
「何言ってんの!あおやまくん!もうこれ以上君の失敗の尻拭いはごめんだよ!それに、本当は・・・・」

部長の最後の言葉も聞かずに、あおやまひろしは、会社の外にでた。外には明るい春の光に満ち溢れていた。

「もう、すっかり春やな・・・・。いっそ今週末は本当にスキーにでも行こかいな」
と独り言をいいながら、明るい春の空を見上げた。

「でも、やっぱり、コースのどこかで、そっと部長が京都の街を走る姿を応援しよ〜っと」

そう心に決めたら、ふっと心が軽くなった・・・・。

しかし、結局、部長はその年の京都マラソンを走ることはなかったのであった・・・。

2017-05-29 青山ひろし35歳の春第5回

[]青山ひろし35歳の春第5回


「あおやまはん、いてるか?」
「あー土方はんでっか、まいどおおきに」
「おおきに」

「また、わざわざうちまで足を運んでくれはって、一体何事でんのん?」
「いやな、あおやまはんにだけはちょっと話しとこ、と思うことがあってな、うちの部長のことなんやけど」
「へー部長はんでっか、最近毎週日曜日に一緒に走ってまっせ」

「そうやてな、それで、ちょっとあおやまはんの耳にだけは入れた方がえ〜思うて、きたんやけどな。これ絶対時期がくるまでは秘密にしてもらわなあかんで」
「へー、またえろ〜たいそうなことでっか?」

「そうや、うちの部長が広島の本社から京都に単身で赴任してきはって丸四年たつのやが、実は今年3月末の年度変わりに、広島に戻ることに決まったらしいんや。」
「えっ?ほんまでっか?」

「ほんとや!おととい部長から、本社から内示があったと聞いたんや」
「・・・・・・・・・・・」
「あおやまはん、どないした?」
「いや、あんまり急な話しやよって、言葉がでまへんのや」

「そうやろな、わしかてこの話し聞かされたときは同じやった。そりゃまー、ちょっと強引なとこもあるし、わがままなとこもあったけど、なにせ仕事にだけは熱心なお人やったし、けっこうあれで社員達にも慕われてはった。わしかて、同じや。それにな、あおやまはんは知らへんと思うけど、あおやまはんがいくら失敗しても、いつもかげでかばってはったんや」

「そうでっか・・・・全然知らんかったわ。いつも怒られてばかりで、きっつい部長やと思うてたんでっけど」

「最近では、日曜日になると、あおやまはんとつるんで走ってはると聞いてたしな。それで、部長にはきつく口止めされてんのやけど、わしの判断であおやまはんだけには言うといたほうがえ〜かと思うてな。わしがこの話ししたこと、絶対にゆうてもらたらあかんで。部長、広島に帰る一週間前に公表するゆーてたさかい・・・・・・」

「土方はん、えろーおおきに、その話し聞かせてもろうて、よかったわ」
「そうか、ま、そういうこっちゃよってに、あおやまはんの胸だけに収めておいてや」
「へーわかりました」

そのアト、少し仕事の打ち合わせをして、次長は会社に戻っていった。

あおやまひろしは悩んだ。今度は真剣に悩んだ。ちょっとやそっとでは結論が出そうにないほど悩んだ。

ひょんなことから、それまで全く関心のなかった京都マラソンに出場することになった。そして、少しづつ走り始め、ウエアやシューズも買い揃え、本確的に走り始めた。「代わってやろうか?」と何度も部長に言われ続けたが、こればかりは譲れなかった。

あの部長のことやから、土方次長と組んで今回のことを仕組んだということも充分考えられる。それくらいの駆け引きは平気でやる人である。京都マラソンが終わったあと、「あれ!土方君がそんなこと言ったの、何かの間違いじゃないの!」と済ました顔でいる、ということも充分に予測された。

仕事上の得意先の部長に反発してまでも、走ることにこだわってきた。そして、その部長はあおやまひろしのコーチとなり、熱心に指導してくれた。あおやまひろし35歳はどうしても走ってみたかった・・・。

しかし、この厳しい業界であおやまひろしがここまで仕事をやってこれたのは、あの部長のおかげと言ってもいい。部長は四年も単身赴任で頑張ってきた人である。その部長が毎年楽しみにいていたのが、この京都マラソンであった。

そして、今年の春には、また広島に転勤するという。京都の街を走れるチャンスも今年が最後かもしれなかったのだ。そして、抽選に落ち、最初はあややまひろしを脅して、自分が代わりに走ろうとした。それが無理だとわかると、今度はあおやまひろしのコーチをかってでて、あおやまひろしを完走させようとした。

普段は「京都の人間は何を考えているか、ようわからん」というのが口癖であったが、「でも京都の街は大好きだ」といつも言っていた。その部長の言葉に心の中では反発していたが、得意先のトップということで、いつも表立って反論もしなかった。

京都の人間は信用できない」と思われたまま、京都を去られるのは京都人として少しつらい気もした。少なくとも部長は京都の街を愛してくれた人であった。愛する家族と別れて、一人ぼっちで知らない街で4年間も頑張ってきた。自分がもし、家族を残して広島で一人暮らしをしなければならないとしたらどうであろう。

自分には京都マラソンを走る機会は、これからも何度かあるだろう。代わってあげてもいいかもしれない。

しかし、来年は今度は自分が抽選に漏れるかもしれない。あるいは、なにかの事情で走れなくなるかもしれない。どうしても、今年走ってみたい。毎朝早起きして、練習してきたのだ。あおやまひろしの悩み深かった。

あおやまひろしは、次長が訪ねてきた日から三日後の木曜日に部長の会社に顔を出した・・・。

「部長いてはりますか?」
「おー、あおやまくんじゃないか、どうしたの、今週初めての顔見せやないの。ちゃんと毎朝走ってるの?」
「部長、まいどおおきに、ちゃんと走ってまっせ」
「そうか、よい子よい子、それこそ僕の弟子や、でもね、そろそろレース本番に向けて体をやすませとかないといけないね。明日とあさっては練習はしないほうがいいね」

「へーそういうもんでっか、でも、走ってへんとまた不安になりそうですわ」
「だから素人衆は困るんだよ。休息をとるのも、りっぱな練習なんだよ」

「部長、すんまへん!」

「なんだよ、いきなり、あおやまくん。また仕事で失敗したの?いつまでたっても、君はあかんたれ職人やね〜。今度はどんな失敗しでかしたの?」
「いや、仕事で失敗したのと違いまんねん!実は誠に申し上げにくいんでんが、わて、京都マラソン走られへんようになりましてん!」

「むっ?何?冗談だろ?なんでまた?ははは、そうか、うちの土方が、急な仕事を押し付けたの?大丈夫!僕に任してよ!お〜い!土方く〜ん!」

「いえ!部長!違いまんねん!わての方の都合でんねん!」
「都合って?君、あれだけ楽しみにしていた京都マラソンを走れないほどの都合なんてあるの?」
「実は・・・・・・・」

「田舎の母親の命日で、今週末に田舎に帰らなあきまへんのや・・・・」
「田舎って、どこ?君、確か五代続いた生粋の京都の職人や言うてなかったっけ?」
「え?ま、そうですが、その・・・・・・。そや、相方の方の母親でしたわ」

「奥さんかい?奥さんのご両親には、去年の暮れに三条商店街でお会いしたはずやけど、いつ亡くなったの?」
「えっ!そうでしたか?」

「そうでしたかって、その時君も一緒に歩いていたじゃないの!」
「そ、そうでしたね・・・」
「やだなーあおやまくん、お義母さんを勝手に、自分の都合で殺してどうするの!このおばか!」
「おばか?」
「そう、おおばかモンや!」

・・・つづく

2017-05-22 青山ひろし35歳の春第4回

[]青山ひろし35歳の春第4回


彼は悩んだ、それほど深く悩んだわけではない。ちょっとだけ悩んだというべきである。

制限時間内に走りきれる自信はない。かと言って、京都マラソンを走る権利をあの部長に手渡す気にもなれない。やはり自分の足で走ってみたい、という結論に達するのに、それほど時間はかからなかった。

そう結論に行き着いてしまうと、いっそう日々の練習に力が入った。1日に7〜8キロの距離がいつの間にか12キロまで伸びた。疲れは蓄積するが、それはいままでにない疲労感であった。夜は早く眠ってしまう。それでも一晩の睡眠で、疲労は回復した。このサイクルの中で、前向きな生き方が再生産され、何事においても積極的になれた。

「あおやまくん?僕だけど、わかる?」
「えっ?部長でっか?」
「そうに決まってるじゃん!僕だよ。今日はなにか予定ある?」
年が明けたある日曜日に例の部長から電話が入った。

「別にこれといった予定はありまへんけど、ちょっと走りに行こうかなと思っていたところです」
「そー丁度よかった。君も知っているとおり、僕は京都ちょんがー暮らしだからさ、一緒に練習でもしようかな、と思ってね電話してみたんだよ。どう、今からそっち行くから、一緒に走りに行かない?」

「え!部長とでっか・・・・・・。そりゃまあ、別にかまいまへんけど・・・・」
「気が進まないようだね。でも、いろいろアドバイスもしてあげたいしさ、ね、一緒に練習しよう、ね。いまから、そこまで行くから待っててね!」
「はーわかりました。ほなら、準備して待ってます」

部長は、15分くらいたってから、あおやまひろしの自宅にあわられた。そして二人で鴨川の河川敷に向かった。こうして、毎週日曜日なると部長と一緒に鴨川の河川敷で一緒に走るようになった。それまで、足の赴くままに漫然と走っていたあおやまひろしではあるが、練習にもいろいろな種類があることを知った。

部長はいちいち、ていねいに走り方を教えてくれた。給水の摂り方まで指導してくれた。
「えーか?こうやって紙コップを折って、飲み口を作れば飲みやすいやろ」
「な〜るほど、ほんまそうでんな」

いよいよ2週間後に京都マラソンが迫ってきた日曜日に二人で、コースの試走をした。試走のアト、平安神宮の鳥居に到着したアト、あおやまひろしは、部長に聞いてみた。

「部長は、なんでこんなに熱心に僕と一緒に練習をしてくれはるんでっか?」
「ふ〜、今日はけっこう疲れたね・・・・くたくただよ・・・も〜だいぶ・・・・いやね、君に是非完走してもらいたいからさ。」
「そーかて、最初は、自分に代われって、ゆーてはったやないですか。今でも、そう思うてはるんちゃいまっか?」
「そうやね、その気持ちもないこともないが、今では、本当に君に完走してもらいたいと思ってるよ。自分で走って完走するのも嬉しいとは思うが、一緒に練習した君に完走してもらうのも同じように嬉しいような気がしてね。今では本心からそう思ってる。京都の街での思い出作りだよ」

「えっ?なんでっか、えらい部長に似あわへんこと言わはるやないですか?」
「いちいちうるさいね。だからいいの!頑張って完走してよ!完走できなかったら、仕事減らすよ!」
「うへー!やはりちっとも変わってまへんわ!」

「まったく口の減らん弟子や!でも、今の君の実力なら、充分完走できるはずや!次にスタート直後のバトル状態での格闘技を説明するわ」
「え!マラソンって格闘技でっか?」
「そ〜や、格闘技や。えーか、右から膝が飛んできたら・・・・・」

こうして平安神宮大鳥居の下で、蹴りや突きや受けの練習を始めた二人は、周囲を歩く人達に少し恐怖を与えながら、昼過ぎまで練習を繰り返したのであった・・・。

おおやまひろしは、だんだんこの部長が好きになってきた・・・・。

仕事の上では、いろいろこまかな注文をつけて、あおやまひろしを困らせる事もたびたびだったが、いざ、一緒に走るときには、的確なアドバイスで解りやすく指導してくれた。

それに、部長の熱心な指導なおかげで、なんとか完走できる自信らしきものもついてきた。今では、制限時間内での完走が目標というよりは、4時間30分くらいで走る事が目標となっていた。

京都市条例違反の裏技、「人を捜すふりをして」、さっさとスタートラインの前方に素早く移動するという技も身につけた。

とは言っても、初マラソンである。本当に部長の言うように走れるかどうかは走ってみなければわからないという不安はぬぐいきれなかった。

11月に273キロを走りこみ、12月はとうとう300キロを超えた。忙しい仕事をこなしながらの練習であったから、ここまで走れるようになったことに誇らしい気もする。生活も随分変わった。夜は早く寝て、朝早く起きだして走りにでかけた。

いよいよ今週末がマラソン本番という月曜日の朝、いつものように早朝練習をすませて、仕事をしていたら、部長の会社の次長が、あおやまひろしの職場に顔を出した。この次長はもっぱら、部長の右腕と言われている人で、この業界ではけっこう名前の知れた人であった。

大手商社を定年退職したアトに今の会社に再就職した人で、例の部長も、この人にだけは何でも相談して決めるという噂の人だった・・・。