福岡伸一さんの「プリオン説はほんとうか?」を読む

先日の朝刊の新刊広告で,ここで時々取り上げている福岡伸一さんが,ブルーバックスプリオン説に真っ向から立ち向かったことを知り,早速ネット書店で取り寄せた。プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)

比較的単純な系を扱っていた元実験屋として(それでも例えば修士時代の半年間の実験データはゴミだった…),不可視の部分も多い複雑怪奇な生物システムを取り扱う困難さは想像するばかりであるが,世界中で多くの研究者が取り組んでくれてきてくれていることで,多くの知見が得られてきたことは間違いなく,知識欲をもつ一個人としてもその恩恵を受けられることはとても幸福なことだと思う。
それにしても他の多くの書籍でも語られているように,プリオン説はまだ完全には証明されておらず,福岡さんが想定する対抗説を含めて“物的証拠”が得られないという難しさはこの本でとてもよくわかる。
病原体の正体のみならず,感染経路や体内での動態などプリオン病には多くの謎があり,それに対する興味からも自分なりに情報を探してWebページに掲載してきたが,そのことが同書を読み進める上で大変役立った。以下に,

にまとめた参考資料を転載する(多くのコンテンツで3D分子参照のためにChimeのインストールが必要)。特にGPIアンカーについては,最近勉強を始めたばかり糖鎖(例えば2005/11/01)も絡んできて,この点でも興味が尽きない。