ポルフィリンから難病を考える
今年も大晦日。2008年最後のエントリーは難病指定が待たれるポルフィリン症(ポルフィリア)について。27日のTBSの特集番組の中で以下の内容が再度取り上げられ,関係者が病気を広く知ってもらうためにいろいろな活動をしていることが紹介された。
紫外線が毒というXP(色素性乾皮症)については2005/03/20の記事に記したが,ポルフィリン症はその名の通り,光を吸収するポルフィリン関連分子の過剰産生が原因となるもので,以下の書籍にも紹介されている。
- Richard J. Epstein 著・村松正實 監訳,「ヒトの分子生物学」,pp.520-523,丸善(2007)*1
- ポルフィリンについては以下も参照:C.K.Mathews ほか著,清水孝雄 ほか監訳,「カラー生化学」,pp.164-166,西村書店(2003)
なお,いつも利用している以下の辞書では2009年に向けてリニューアルし,シソーラスも公開されたので,ポルフィリン症についてシソーラス検索してみた。多様な病状があることがわかる。
ポルフィリン関連化合物はヘム(ヘモグロビンやシトクロムP450)やクロロフィルなどの活性部位を形成する重要な存在で,それが重篤な病気にかかわっていることを知ってもらいたい。
以下にヘム分子の基本骨格であるプロトポルフィリンIXを含む生体分子データから作成した画像を掲載する。
プロトポルフィリンIXを含むフェロケラターゼ(フェロキラターゼ;ヘム合成酵素)データ例2hreより
来年もいろいろな分子を紹介したいと考えているので,どうぞよろしくお願いいたします。
*1:ムコ多糖症という別の難病を取り上げた2007/09/05のエントリーほかいくつかの記事で紹介。多くの病気と生体分子との関係を解説してくれている。