2010-01-15
■[日々是]
- 作者: 岩田健太郎
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2009/11
- メディア: 単行本
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第一章「感染症は実在するか」から抜粋.
いずれにしても、リンゴの実在の有無は私にとってさしたる関心事ではありません.[…]
しかし、病気については、そうはいきません.病気に対する私の関心や態度は大きく異なるのです.
私のような医者にとって、病気が実在するのかどうかは大変重要な問題です.
ひと言でいえば、完全な嘘――というか勘違い.
岩田健太郎は全国の医学生が羨望の眼差しを向ける医学界のカリスマ的実存在である*1.このカリスマが今日に至るまでこのような水準でしか「病気」の認識論を扱ってこなかった、まさにそのことが、(今日の)医者にとって病気が実在するのかどうかがほとんど重要な問題ではないことを示している.また、本書でこの後出てくる医療行為における意思決定の確率論的側面についての議論等は、医療行為における「本当real」というものがどのような精度で組み立てられているものなのか――言い換えれば、医療行為において「本当にそうなのか?」という疑問提示が有意味であるのはどの水準でなのか――を示していると言えるだろう.
ただし本書は「病気」なるものの認識論それだけを取り上げてみれば面白い読み物である――つまりかのレベルにある医者が自身の認識を反省的に記述しようとするとこのようなことになる、もっと言えば、何がわかっていなくても医療行為を行うことができるのか(しかもあの水準で)について読者側にそこはかとなく伝えてくれる.
全体を通じ何かに毒されている*2としか思えない思考展開を時折見せるも、本書から構造構成主義という単語を除いたら除いても素直に面白く読めるという点で一読に値する本だといえるだろう*3.普段どんな人たちと付き合うかは本当に大事なことですね、という雑感を抱いた.

