Vol.7 神野有希さん・古田雄一さん(2)

アメリカでの生活体験をきっかけに教育に関心を持ち、大学進学後に「わかもの科」の活動を始めた古田くん(ふるてぃー)。一方、学校現場で奮闘する神野さん(ゆうきちゃん)は教育に対してどんな問題意識を持っているのでしょうか?Vol.1に引き続き、Vol.2、お楽しみください!


◉「成長させたい」というより「見ていたい」感覚

神野:ふるてぃーの専門とする教育行政は、学校の先生とはまた違う視点からのアプローチだよね。
古田:そう。それこそ僕が先輩から聞いた「(教育行政は)影響を与えられる子どもの数は多いが、与えられる影響はわずか」という話でいくと、「関わる子どもの数は少ないが、与える影響は大きい学校現場」とは逆。小学校の現場にいると、影響力の大きさを実感することもあるんじゃないかと思うんだけど、実際どう?
神野:確かに感じます。むしろ、自分の与えている影響力の大きさに戸惑います。
古田:なるほど(笑)。
神野:私の場合、自分の欲求は「授業をする」「成長させたい」というより「見ていたい」という感じなんですよね。
川中:「見ていたい」とは、何をですか?
神野:遊んでいるところでもいいのですが、図工や生活の時間など、ものをつくっているのを見るのが結構好きですね。
古田:成長しているのを見守っていたいという感じ?
神野:「あの子は友達のこと、ここまで読み取れるんやなぁ」みたいな面が見られたら、「おもしろいなぁ」と思います。
川中:「その子がいちばん表現されるところ」を見たいという感じでしょうか。「その子から何がでてくるんだろう」と。
神野:そうです。芸術家を見ている感じに近いかも。「その子」が持っているものを言葉で出すのか、粘土で出すのか、計算で出すのか…。それを傍で見ていると、幸せだなぁと感じます。


◉教師の与える「影響力の大きさ」への戸惑い

神野:今担任をしているのは小学校1年生なんですよ。中学校だと科目によって先生が変わるので、他の先生のルールや考え方にも出会っていくと思うんですけど、小学生も特に低学年だと「担任の先生がすべて」という面があります。子どもたちはすごく素直で、それがある意味少し「怖い」と感じることもあります。授業でいわゆる「盛り上がった」場面や、こっちが「言ってほしい」と思ったとおりの発言を子どもがしたときには、「これでいいのかな…」と戸惑うことも。
古田:すごく内省的な部分があるよね。最初に会ったときから感じていたんだけど。そこまで、ある意味自分を批判的に見られることってすごいと感じる。
川中:他の先生に、そういう人は余りいないのではないでしょうか。生徒がねらいどおりの反応を示すと「うまく授業できてよかった!」と喜ぶ人の方が多いのではないでしょうか?
神野:そうかもしれませんね。私は、もともと「今の教育なんとかならないかなぁ」と思って教育学部を選んだので、問題意識というか…。


(神野さん)

◉「きのくに子どもの森学園」で過ごした小学生時代

川中:問題意識と言えば、「こうなったらいいのに」というイメージが別にあったということですか?
神野:難しい質問ですね(笑)。最初はそうだったと思います。
川中:そうした考えを形づくったのは、やはり小中学校を過ごした「きのくに子どもの村学園」の体験が大きいのではないでしょうか?
神野:そうですね。私は「きのくに」が好きだったから(笑)。少し詳しく話をすると、「きのくに」は、いわゆる「総合学習」が基本になっている学校です。小学校は週の半分、中学校も週の3分の1がプロジェクトという総合学習の授業でした。木工をする工務店、おもしろ料理店、道具製作所、歴史館というように、テーマ別にクラスが分かれていて、年度始めに自分で行きたいクラスを友達や大人の顔ぶれややりたいことで決めました。複数の学年が入り交じる完全縦割り型ですね。
川中:プリント学習などは行っていなかったのですか?
神野:教科学習の多くはプロジェクトに埋め込まれていました。プロジェクトの授業では、家を一件建てたりとか、野菜を育てて売ったりとか、羊を飼って育てて毛を刈って衣類を作ったりとかするのですが、その過程に教科学習がありました。小学校では、教科学習として「ことば(言葉)」と「かず(数)」という授業がプロジェクトと別にあるんですが、そこでも、ログハウスの長さを測って来て…というものや、大阪まで実際に皆で行った旅行を例にして目的地まで時速何キロで行ったから何分かかった…といった身近な題材を使っての学びが多かったです。
川中:生活体験に根ざしている感じがしますね。
神野:国語の勉強も基本作文とかでした。フリーディスカッションの時間も多くて、一斉講義形式の授業は中学校ではいくつかありましたが、小学校ではほとんどありませんでした。私は小4から中3までいました。
小林:公立小学校から移ったわけですが、「きのくに」の体験はゆうきちゃんにとってどういうものでしたか?
神野:よく「きのくに」出身だと言うと、この2つを聞かれます。「公立学校からギャップはなかったのか」、もう1つは「きのくにから出た時にどうだったのか」。
川中・古田:まさに今聞こうと思っていました(笑)。
神野:やっぱり(笑)。公立から入ったときのギャップは全然なかったです。あまり前の小学校の記憶がないんです。実家が愛媛で「きのくに」が和歌山なのですが、実家に帰った時にはしっかり関西弁を喋る子どもになっていて(笑)。
川中:よほどフィットしたのですね。
神野:最初はただ楽しかったというのが強いですね。自分の中の考え方の前提は、かなり「きのくに」の影響を受けていて、自分の常識や文化になっていたのだと思います。特に寮生活は自分の中で大きかったです。週5日間、24時間、学年混成の8人一部屋という狭い中で、常に誰かと一緒にいるという環境でした。しかも、お風呂も2つしかないから順番で並んだりとか、テレビも1棟に1つしかないから、チャンネルを争って「もめごと」が起こったりとか。家で生活していたら起こらないことがたくさん起こる環境でした。小学校1年生から中学校3年生まで、それに毎日関わらないといけないから、コミュニケーション能力が鍛えられたと思います。(笑)。
川中:なるほど。


◉「ルールを自分達でつくる」という文化


神野:それから、大きかったのがミーティングの時間です。週に1時間、250〜300人が集まって、話し合う時間がありました。学校のルールを決めたり、「遠足行くので遠足委員募集します!」という提案があったり、お風呂の時間どうするのかとか、犬が捨てられていて学校で飼うかどうかを話し合ったり。事細かに話し合っていました。
川中:それだけ「もめごと」があるから、ルールもそれだけつくる必要があると。
神野:そうです。自分たちでルールをつくっていました。ですから、「民主主義」という言葉を聞くと、そういうイメージが自分の中には強く浮かびます。ゲーム機の盗難事件が起こった後、「ゲームを持って来るのはだめ」というルールができたんです。でも、「たまごっち」がブームになった時、「たまごっち」は放っておくとゲームの中のキャラクターが死んでしまうので「たまごっちはOK」というルールに変わったこともありました。
一同:へぇーすごい!
神野:ただし授業中はしないと決めました。ルールは話し合って決めていい、なくしたければなくしたいと発言していい、だけど一定数の合意がないと変えられない…という前提がすごく自分にありましたね。他にも、きのくにでの経験が自分の考えや常識をつくった部分は多くあります。きのくにの先生達は「学ぶことも楽しいことだ」という感じがあって、クラスは縦割りでも良いじゃんと思っていましたね。勉強も一斉でなくても友達に教えてもらったらできるじゃんと思っていました。


◉ルールの形骸化した高校、ギャップを感じる日々


古田:高校に進学して、ギャップは感じなかった?
神野:そりゃあ、高校に入ってからのギャップはすごかった(笑)。
川中:全て逆ですよね。
神野:まず校則にびっくりして…。今でも覚えているルールが、「靴下の長さが27センチまで」。
古田:それはひょっとして…測るの?
神野:先生が測るの。ルーズソックスが流行した直後だったから。本当に意味がないなと思ったのは、みんな普段ルーズソックス履いているんですよ。服装検査の日だけ普通の靴下履いてくるんです。
古田:ルールはつくるものというより、いかにすり抜けるものなのか…ということだね。
神野:形式だけが整っていて中身が伴っていないのはなぜだと思ったものです。喫茶店に生徒だけでは行ってはいけない、カラオケボックスには生徒だけでは行かないなど…つっこみどころ満載のルールが出てくるのです。実は最初のクラスが始まる時に、「異議申し立てのあるものは挙手」と言われて、挙手したんです。
一同:おおお。
神野:「靴下の長さが27?の理由はなんですか」と言ったらクラスのみんなが「え…?あの子何言ってるん」みたいな目で見てきて、最初はすごくびっくりしました。でも、私は「ルールはこれでいいですか」と言われたときに何も言わずに裏では破るということに対して「なんで?」と思っていました。授業中もメールや手紙交換をしている人を多く見て「授業に来たくない人がなんでここにいるんだろう?」くらいに思っていました。何か行動したり判断したりする時に「みんながやっているかどうか」が判断基準になっているなと思っていました。


◉教育の影響力の「怖さ」を感じて教育大へ


神野:でも周りの友達と放課後に遊んだり話したりすると、一人ひとりがちゃんと考えていました。将来のことや今のことについて、自分の意見は持っているのですが、「なんで学校の中の授業の中では、それを出せないんだろう」と疑問に思ったものです。授業の中でそういう話を出すと、「何なのあいつ」となってしまうのがやるせなくて。授業もホームルームも「その場では何も感じたりしない」というのは教育の影響なのかなと思うようになりました。
川中:なるほど。
神野:その内、大学入試の時期がやってきて、「きのくに」時代から自分自身をふりかえっていたんです。すると服装検査も検査の時だけルールに合わせていたり、授業中も手紙やメールの交換をしていたり、入学当時疑問に思っていた行動をいつの間にか自分も何の違和感もなくしていることに気が付きました。自分も3年間で同化してしまうんだと。3年間の習慣や社会だけでこんなに変わるんだ。教育ってなんて恐ろしいものだ。そう思いました。こんなに人の人格が作られていく上で影響を与えているのだと考えると「先生にはなりたくない」むしろ「日本の教育をなんとかしなくては」みたいなことを思ったのです。それで「教育が図らずも与えている影響」への問題意識で大学に行ってみたんです。
川中:ここで、先ほどの「怖さ」につながるのですね。


◉「学校に多くを求め過ぎている」気づき


古田:「きのくに」に行っていた当時は、その教育スタイルが一番いいと思っていたということだったけど、今でもそう思う?
神野:今はそう思わない。
川中:考えが変わった過程が気になりますね。普通はその考えが強化されていくのではと思うのですが…。
神野:大学に入ったばかりの時は、公教育も「きのくに」みたいになればいいと思っていました。どちらかと言えば、「総合的な学習」の時間が始まった時にうまくいかなかったことも「現場が悪い」と思っていました。考えが変わったきっかけの1つが「きのくに」の卒業生で「きのくに」の教育に批判的な子がいたということでした。もう1つ、大学で「ザ・進学校」出身という子にも出会って、その子が自分の受けてきた教育の詰め込み的な部分も肯定的に見ていたことがありました。そこで「あれ?」と思いました。自分は「きのくに」のスタイルがいいと思っていましたが、それは皆に対して強要できないよなと思って、学校全部が「きのくに」みたいになるのは違うと思うようになりました。この2つの出会いが大きかったです。
川中:なるほど。入ってから周りの人とトーンが逆だったことはありませんか。周りは教育に「希望」を持っている人ばかりだと思うのですが、溝は感じなかったですか?
神野:教育に希望を見出して、がんばろうと思っている人を少し斜めから見ている自分もいて、ずっとそんな自分は「おこがましい」と思っていました。しかし、相手を知らないのに否定するのはおかしいから、学校現場に入ろうと思って学校ボランティアなどをたくさんしたんです。そこで分かったのは、教員になりたい人たちは「すごい皆頑張ってるねんな」ということ。「この子をよくしたい」という思いで一生懸命がんばってるんやなと。そこで、私も含めて色々な人が色々な期待を学校にし過ぎているなと思ったのです。だから、学校が全部カバーするのは無理だなと思うようになりました。学校「だけ」に期待してよくなるならいいけど、そうとも限らないと思いました。
川中:それは大学2年生の頃ですか。
神野:1年ですね。
川中:先生は懸命にやっているにも関わらず、結果としては「意図せざるもの」として(ゆうきちゃんからすれば)違和感あるものになっていることに気付いたのでしょうか。
神野:それがCORE+につながるんです。


◉向き合うのは楽ではないが立ち戻るものとしての「教育」


古田:CORE+には、今も関わってるよね。
川中:今ゆうきちゃんが担当しているのは?
神野:いま担当しているのはEDU☆COLLEです。多様な「教育のカタチ」を一望できる教育のお祭りで、公立学校や塾、フリースクールオルタナティブスクール、教育NPO、企業などが集まって、話を聞けたり、模擬授業やワークショップを体験できたりする場です。
川中:今後も続けていくつもりですか?
神野:CORE+の活動には今後も関わっていくつもりですが、それで「食べていく」ことに強いこだわりはないですね。仕事にしても先のことはあまり明確に考えていなくて。「今を一生懸命がんばろう」という感じに近いと思うんです。
川中:そういう発想の仕方には「生活体験主義」の発想が感じられますが、どうでしょう?
神野:そうかもしれないですね。体験したことを、起こったことを「なんでやろう」と考えますね。
古田:僕は逆に割り切って、前に進んじゃうタイプだと思っていて。結構色々なことを見て見ぬふりをする時もあるから、逆にそうしてじっくり考えられることが、すごいと思う。
川中:先ほど「教育は怖い」と言っていましたよね。しかし、そういう思いも抱きつつ、教育と向かい続けている。それはある意味、負担にならないのですか?
神野:確かに楽ではないですね(笑)。別の分野に関わってみたいという気持ちもありますが、最終的には教育に戻ると思います。そこは変わらないと思います。
古田:将来、学校をつくりたいと言っている友人がいるのだけど、例えばそういうのはどう思うの?自分で理想の教育をできる場所をつくりたいと思う?
神野:あまり思わないかなぁ。
川中:先ほど出てきたように「見ていたい」という感じなんでしょうね。教育NPOをやっている人からしたら珍しいですね。
神野:そうですね。子どもを見て「すげーな」って思ったら「すげーな」って言いたい感じというか(笑)。
川中:「地域のおばちゃん」みたいな感じですか。
神野:そんな感じですね。いつかやりたいなと思うのは、ちっちゃい子から高齢の方までで哲学カフェみたいなのができたらおもしろいなと思います。いろんな世代で集まって話すと、「教育されていないがゆえに出るおもしろさ」みたいなものがあると思っています。


◉「みんなに必要な教育って何だろう」



(古田さん)


神野:ふるてぃーの目指す先は?
古田:大きな社会像を描くとすれば、それぞれの人がそれぞれの人なりに社会に参加していって、みんなで社会をよくしていける。そんな未来を創っていきたいという、大きなイメージがあります。そのために教育から何ができるのか…というところは変わってないですね。すごく果てしないと思うのですが、それは本当に一生涯かかる話だと思っています。学校の先生から研究者から、多くを巻き込まないといけないと思っています。結局それはシティズンシップ教育なんですけど(笑)、「これはやんなきゃな」という使命感のようなものがあります。他にやっている人がいればいいのですが、本当に少ないという危機感。少なくとも今、猛烈に興味を持っていて、すごくモチベーションを感じている。とりあえずこれに向かって走ってみるかという感じです。
川中:今後具体的な「先」のイメージはありますか。
古田:まだわからないです。でも、教育の道で何かできたらと思っています。今のところ、研究の道かなと思っています。研究という立場は現場から離れて冷静にものを言える、いろんな現場の先生のハブになれる立場だと思います。その立場にいつつ、現場とも連携していきたいというのが、自分の中ではしっくりきている形です。ある意味自由に動ける立場で、長い目で見て教育を突き詰めていきたいなという思いもあります。
川中:そこでいう教育は「学校教育」なのですか?
古田:今、僕が主にやりたいのは学校教育です。先ほどの話にもつながりますが、「みんなに必要な教育って何だろう」という議論に関わってくると思うんですよね。その議論にちゃんと入り込んでいきたいという思いもあるし、今は学校教育自体がパワーをもっていると感じるので、そこを避けては通れないだろうと思っています。12年間通う初等中等教育はやはり影響持っており、ちゃんと考えないといけないでしょう。
川中:ふるてぃーが「大研究者」になれば、国家的に政策に影響する可能性もあるわけですよね(笑)。ゆうきちゃんとはまた違う方向性を目指している気がしますが、ゆうきちゃんは今の話を聞いてどう感じていますか?
神野:方向性は確かに違いますね。でも、すごく今の話はおもしろいなぁと思って聞いていました。
川中:一見すると「教育行政」と「教育現場」と教育への関わりは大きく異なる2人ですが、その間には絶妙な共鳴観がありますね。共通しているのは今の日本の学校教育に関して、それぞれにどこか折り合いがつかないものを感じた体験を持ちつつ、「距離感」にこだわりながら関わっているということが言えそうです。今後の活躍がとても楽しみですね。今後とも、どうぞよろしく!


(記事内の所属などはすべて2011年当時のものです)

Vol.7 神野有希さん・古田雄一さん(1)

こんにちは。
シチズンシップ共育企画の鈴木です。

シチズンシップ共育企画主催「教育ファシリテーター講座」に向けて開設した本ブログですが、
「教育ファシリテーター講座」を含めて当会の活動を支えるメンバーがどのような人たちなのかを
知っていただけるような記事も掲載しよう!ということで、当会の運営委員の対談も載せています。

今回は、運営委員の中では最も「若手」である神野有希さん(ゆうきちゃん)と古田雄一さん(ふるてぃー)の対談です。今の教育に対して問題意識を持つ2人は、それぞれがこれまでに辿ってきた経緯などは異なりつつも、どこか共通するものを感じさせます。そんな2人の対談を、2回に分けてお届けします!
*聞き手:川中大輔(シチズンシップ共育企画代表)、小林健司(シチズンシップ共育企画運営委員)


◉現在の活動について


川中:それではまず、お二人が普段何をしているのかから聞かせてもらえたらと思います。
古田:最近何してるか…って改めて聞かれると難しいね。
神野:確かに(笑)。私は2011年4月から、常勤講師として大阪府の小学校に勤めています。ライフワークとして「教育の多様性体感プロジェクトCORE+」という活動に取り組んでいて、「EDU☆COLLE」という多様な教育の博覧会イベントをやってみたり、教育のスタディツアーを企画したり…といったことをしています。
古田:僕は4月から大学院に進学したばかりです。正式名称は、東京大学大学院教育学研究科学校教育高度化先行学校開発政策コース。学校経営などを専門にしているところで、教育の中身というよりは制度や仕組みの方を扱っている。文科省はどういうことをやるべきか、教育委員会はどうなのか…とか、そういうところを扱うコースですね。あとは課外の自主活動として「わかもの科」プロジェクトという活動を立ち上げ、取り組んでいます。これは、高校生を対象とした学校内外での様々なプログラムを通して、身の回りや社会にある様々な問題を、高校生が自分たちで考える「きっかけ」を作っていこうという活動です。
川中:2人ともやっていることはそれぞれですが、大学に入る時「今の日本の教育って残念だな、あんまりだな…」と思っていたという部分は共通していると思います。そのあたりの問題意識やそれを持つに至った背景について今日は特に聞いていきたいのですが、まずは今の活動についてもう少し詳しく聞かせてください。ゆうきちゃんのCORE+からいきましょう。


◉教育の多様性を実感するための機会づくり「CORE+」


神野:大学2年生のときに始めた活動です。教育のスタディツアーをしたい、という話を仲間としていたのが最初で、教員志望の学生に対してとりあえず色々な現場を見てほしいということを掲げて始めました。子どもと接したり教育について考えたりするときに、自分がそれまで受けてきた教育が基になるのは当然だと思います。だけど、学校の中には色々な子どもがいるので、これまで自分がフィットしてきた教育観だけでそれを良しとして疑うことなく教壇に立つのはどうなのかという思いがありました。そこで、まずは見てみるところから始めようと、3泊4日で関東に行くスタディツアーをやりました。オルタナティブスクールやフリースクール、教育プログラムを提供している企業、世界をまわったNGOモンテッソーリ教育を実践している保育所…などなど、「ごちゃまぜ」にしたかった。同じ実践例を見てもいいと思う人も、違和感を感じる人もいて。ディスカッションしていく中で、考えが変わる人もいておもしろかったですね。



(神野さん)


◉高校生がアクションを起こす「わかもの科」


神野:ふるてぃーの「わかもの科」についても、ぜひ。
古田:高校生を対象に、身の回りのこと、社会のこと、地域のこと、身の周りで起こっている事に対して問題意識をもってアクションを考えてみたりできないかと思って立ち上げました。具体的には、そうした活動を学校の授業の一環として組み込むことに取り組んでいます。最初は実績づくりという意味で、公民館などで学外授業として始めた。2年目となる今年度からは、学校内での授業も本格的にスタートし、実際にまちや社会で起こっている問題について考えて、アクションを起こしてみようという授業をやっています。この授業は、自分の大学院の研究とも結びつけて実施しています。



(古田さん)


アメリカで過ごす高校時代-「今の教育」に問題意識を持つきっかけ


小林:それぞれにおもしろい実践をしているお二人ですよね。
川中:そうですね。では、そうした活動を始めるに至ったのはなぜでしょうか。
神野:ふるてぃーはどうして、今のコースに行こうと思ったの?
川中:そう。僕もそれは気になっていて。普通は教育の「中身」に関心がいきやすいわけですが、なぜ「教育行政」の方面に?
古田:3年生になって、周りからは就活の話も聞こえてきて、自分はどうするのかと考えた時、文科省もピンとこない、先生になるというのも違うと感じて、どうしようと思って…考えてひらめいたのが大学院という選択肢でした。大学院に行っている間に「自分のやりたい教育をまずは形にしてみよう」ということで「わかもの科」を始めたという側面もありました。
川中:なるほど。進路選択のタイミングや活動を始めた時期とか、色々なものが混ざり合って今進んでいるという風に聞こえますね。その流れの中で、今は「教育の中身」というよりは「制度や仕組み」を扱うコースにいると。
古田:そうですね。文科省に行っている先輩から「教育行政は子どもに与えられる影響はわずかだが、影響を与えるこどもの数は多い」という話を聞いたことがあります。自分の感じているモチベーションはその感覚に近いと思います。もともと学部時代から、教育を大きな視点で見たかったんです。昔、「文科省に行きたい」と思っていた時期もあったくらいで。それこそ、「日本の教育は…」という大きな話に興味があったという経緯があって。
川中:そもそも、その興味を抱くに至った経緯はなんなのでしょうか。ふるてぃーは、確かアメリカの学校に通っていたはずですが、そのことの影響でしょうか。
古田:中学までは日本の学校に通っていて、アメリカの高校に3年間行っていました。留学ではなくて、親の転勤なので逆らうわけにもいかず…。妹はすんなり受け入れたのに、結構自分だけ文句を言ってました(笑)。どちらかというと消極的な感じで向こうの高校に通いました。当初は現地に日本人学校があるだろうと思っていたら、それもなくて…。だから数学も理科も英語でで勉強することになりました。
神野:よくついていけたね…。
古田:最初はついていけないよね。ついていけない人を集めた授業もあった。そういう意味では特異な環境だった。
神野:ずっと嫌々過ごしていたの?
古田:割とそうだったかもしれないなぁ。3年間はいわば修行だと思っていた。「3年耐えぬけばあとはハッピーだ」と(笑)。
小林:大学は日本の大学に…と決めていたの?
古田:事実上そうでした。15歳までは日本にいたので、大学入試は「帰国子女枠」というのが使えるので、海外経験も活かすなら活かして勉強したらいいかなと思っていました。そこに迷いはなかったですね。


アメリカとの教育に衝撃「こんなに考えを言うのか!」


川中:アメリカに行ったことから問題意識につながったというところはどうなのでしょうか?向こうでサービスラーニングのプログラムを受けたのですか?
古田:あまり明確な原体験はなく、色々な経験が重なっています。高校の時、教育に関心をもった理由は「アメリカの教育はこうも違うのか」ということ。よく言われる話ですが、日本ほど授業が一方通行ではなくて、ディスカッションも多かった。その上、アメリカ人はとても活発に意見を言う。こんなにも違うのかと…。僕は日本の教育自体をどこか絶対視していたんだなと気付いたのです。その時、日本の学力低下の議論などを聞いていて、自分の経験を活かせないかと当時思っていました。
川中:自分が得たものを還元するという考え、ですね。
古田:そうですね。それから入試勉強を始めました。帰国子女枠でしたので、基本的に小論文の勉強をして、比較的まったりとした受験勉強でした。1日中本を読んで「平和って難しいな」とか考えたり。知識を詰め込むというより、「普段どれだけのことを考えているか」が問われることに備える勉強です。
神野:ちなみにふるてぃーが受験した時の問題は?
古田:小論文2題で150分。字数無制限。一つは日本語で答えるもので、「歴史上の人物で会ってみたい人物を一人上げ、その人物とどんな対話をしたいのか、その理由を論じよ」といった内容でした。恐らく、後で考えると「歴史を学ぶことがなぜ必要か」という思考を問われているのかと思いました。もう一方は英語で答えるもので、「なぜこの科学の時代に『迷信』が残っているのか」といった内容です。どれだけ型を覚えても太刀打ちできない問題ばかりが出ました。そういう勉強をしていた期間が1年弱あったこともあり、本を読んだり小論文を読みながら、自分の問題意識はどこにあるんだろうなと探ることになりました。その中で自分のテーマが教育で固まってきた。
川中:なるほど。
古田:今思えば、そういう時間があってよかったですね。そういう勉強をする前の自分と、後の自分を比べるといかに物事を考えていなかったかに気付けて。そういう経験は他の人もできないものか…と思ったところにも原体験のかけらがある気がします。その中でNPOの活動に関わり出して、色々な人が社会に参加して社会をつくっていくことが大事だろうと実感していきました。このようなことを、多くの人が考えるようになることが大事だと思い始めるに至りました。「シティズンシップ教育」という意味では、そうした時間が原体験だったと思います。


◉帰国後の「もったいない」という感覚


小林:アメリカの体験が大きかったんですね。
古田:やっぱり周りにいた友人たちに影響を受けました。「こいつら、自分の考えを持っているんだな」という感じですね。でも自分は、自分の意見をしっかりと持ち、それを伝えるということができないことに気付いたんです。
川中:でも、大学に入ったら高校時代に出会ったように、しっかり考えて活発に意見する人たちもたくさんいたのではないですか。
古田:確かに「すごく考えている人」もいますけど、やっぱり「何も考えずに来ました」と感じられてしまう人を見て、過去の自分の延長を見たような気持ちになりました。その人を責めるわけではなく、「もったいない」という感じがありましたね。
川中:もったいないとは?
古田:ものを考えたり、自分の意見を発信したりといった経験をしてこなかったということです。大学は本来そういうものが問われるものだと思って入ったので。「レポート書いて卒業すればいい」という周りの空気が何かおかしいように感じました。「何のために大学に来てるのか?あれ?それでいいのかな…」という感じでした。
川中:共感する部分があります。僕の場合は関西学院高等部出身なのですが、進路選択では大学を選ぶのではなく学部を選ぶことになる上、「読書科」で論文を書く体験もあって、「自分は何をなぜ学ぶのか」を考えて大学に入りました。しかし…、という部分は同じです。
古田:僕の中では、教育をやりたいと思って進学先を選んだのです。「こういう教授に会えるんだ」という感じでイメージして選んだ。他の人を見ていると「この学部に行けなかったらあの学部で…」と、学ぶ内容よりも大学で選んでいる傾向は感じました。
小林:大学に入ってからの話は共感するなぁ。僕自身は進学先が教育大学だったのですが、「先生になれたらOK」という風潮があったので、そこにすごく違和感がありました。ここの大学を出ておいたら校長になりやすいといった話も聞いたし…。


◉「わかもの科」を始める


神野:「わかもの科」を始めたのは…?
古田:始めたのは大学3年の夏。アメリカにいた時、ちょうど大統領選挙がありました。その時には学校内でも普通に友達と政治のディスカッションをしているのですね。日本では考えられないことでした。「缶詰が余ってもったいないから、クラス対抗で集めて、社会福祉施設の支援につなける」といった活動もありました。こういうのが社会参加や政治参加なのかなと感じる経験があり、大学2年生の時に構想を考え始めました。自分が理想とする教育って何だろうと考えることから始めました。最初の半年間はプログラムを提案し、半年間は準備段階で、実際に実践し始めたのは4年の後半頃です。
川中:ちょうどその頃「わかもの科」が取り上げられた新聞記事を見た時は、キャリア教育系だと思っていました。今の話を聞くと、少し違いますね。
古田:当時の心づもりはともかく、今の自分からはそう見えるということかもしれないですね。
川中:意味付けを通して意味を知る。そのような感じでしょうね。
古田:やっぱり自分の関心や取り組んでみたいことをどう表現しようか…という考えは頭の中にありました。早く実践したいと思いながら、もやもやしつつ…。実際にやっていく中で試行錯誤を経て、「シティズンシップ教育」を軸に据えよう、「やっぱりここだ」と確認ができた感じです。
川中:その迷いとは何だったのですか。何があったから、吹っ切れたのでしょうか。
古田:論理よりも感覚で、「ピンと来た」という感じですね。初めはいろいろな内容のプログラムを作っていく中で、自分が特にやっていきたいのは、まちや社会の問題について考えたり行動したりするようなプログラムなんじゃないか、と感じるようになったんです。それは、これまで話してきたような自分の原体験によるところも大きいと思います。また当時、キャリア教育のようなプログラムなどは他にもありましたが、シティズンシップ教育の実践は少なかったというのも関係していたのかもしれません。

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アメリカでの生活体験をきっかけに教育に関心を持ち、大学進学後に「わかもの科」の活動を始めた古田くん(ふるてぃー)。一方、学校現場で奮闘する神野さん(ゆうきちゃん)は教育に対してどんな問題意識を持っているのでしょうか?Vol.2に続きます!

(記事内の所属などはすべて2011年当時のものです)

【アドバンスト編】終了しました!

こんにちは。
シチズンシップ共育企画の鈴木です。

先日、8月7日〜9日の3日間にかけて
新大阪ユースホステルにて行われた「教育ファシリテーター講座〈アドバンスト編〉」
が終了しました!

参加者は5名となり、
3日間かけてファシリテーターの行動、その背景にある「判断」まで
踏み込み、じっくりと学びを深める3日間となりました。

ベーシック編に加えて、長尾文雄さんをゲストにお迎えした当日の模様は、
シチズンシップ共育企画ウェブサイト「ワークショップ・レポート」の
コーナーに近日掲載予定です!

ぜひご覧下さい。

【アドバンスト編】実施します

こんにちは。
シチズンシップ共育企画鈴木です。

ベーシック編は終了しましたが、
8月7日〜9日にかけては、一歩先行く
【アドバンスト編】が開催されます!


ぜひ参加をお待ちしております!

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 教育ファシリテーター講座2010【アドバンスト編】
     
     「ありかた」を見つめなおす!
   2010年8月7日(土)〜9日(月)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 教育ファシリテーター講座、2010年【アドバンスト編】のテーマは「ありかた」。参加型の学びの場をひらくにあたって、「どのような問いかけをおこなうか?」「どのようなツールを用いるか?」といったスキルやテクニックも、もちろん重要。しかし、それを支えるファシリテーターの価値観や考え方、参加者との向き合い方といったものはスキルやテクニックに劣らず、場に影響を与えます。

 一歩先行くアドバンスト編では、日常の中ではなかなかしっかりと向き合う機会の少ないファシリテーター自身の「ありかた」を見つめなおします。「いまここ」で起こっていることとどう向き合っているのか?というデータを実習の中から取り出しつつ、ファシリテーター自身の価値観にまで2泊3日をかけてじっくりと踏み込みます。

 ファシリテーターとして経験は踏んだけど、もう一歩『先』へ進みたい。今の自分の「ありかた」をもう一度見直したい。そんな皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

■日時:2010年8月7日(土)〜8月9日(月)

■会場:大阪市立青少年センター(ココプラザ)(新大阪駅徒歩5分)

■参加費:35,000円(学生25,000円)(いずれも食費・宿泊費を含む)
 *お申込み後、お申し込みを受理した旨のご連絡(参加要項)をお送りします。7月24日以降のキャンセルは、キャンセル料を申し受けます。ご注意ください。(7/24以降=参加費の50%、講座当日=100%のキャンセル料を申し受けます)宿泊されない方は、2,000円安くなります。

■対象
・学校教員や大学教職員、社会教育施設職員、NPO・ボランティア団体スタッフなどでワークショップ形式の学びの場づくりを行っている人、行なってみたい人
・教員志望者など、ワークショップについて学びたい人
ファシリテーターを職業としていきたい人
※年齢や活動分野(学習分野)などは問いません。営利目的のみの仕事をされている方は参加をお断りすることがあります。予めご了承ください。なお「アドバンスト編」への参加は以下のいずれかの方に限ります(昨年度の当会主催「教育ファシリテーター講座・中級編」受講者、もしくは今年度の同講座「ベーシック編」受講者、もしくはファシリテーションの実践経験が2年以上ある方)

■定員:10名

■プログラム
※進行上、途中参加はご遠慮ください。
<1日目>
12:30 受付
13:00 プログラム開始・オリエンテーション
14:00 ワーク「ファシリテーション実習+クリティーキング」
18:00 夕食
19:00 ワーク「ファシリテーション実習+クリティーキング」
21:00 プログラム終了・入浴
22:00 オプショナルPG「情報交換会」
<2日目>
09:00 プログラム開始・1日目のふりかえり
10:00 ワーク「観察から見えた私の特性は?」
12:00 昼食
13:00 ワーク「ファシリテーション実習+クリティーキング」
17:00 ワーク「観察データから考える私のファシリテーション観」
18:00 夕食
19:00 ワーク「ファシリテーション実習+クリティーキング」
21:00 プログラム終了・入浴
22:00 オプショナルPG「情報交換会」
<3日目>
09:00 プログラム開始・2日目のふりかえり
11:00 ワーク「ファシリテーション実習+クリティーキング」
12:00 昼食
13:00 ワーク「ファシリテーション実習+クリティーキング」
15:00 ワーク「『私』を磨き上げる方向性とは?」
16:00 ワーク「現場への学びのテイクアウト」
17:00 終了
(内容)
・参加者自らテーマを決め、それに応じたプログラムを組み実践する「実習」が中心となります。
・ひとつひとつの実習プログラムについて、参加者同士が丁寧に観察/批評するなかで、ファシリテーターとしての「ありかた」を磨きます。

■ゲスト
○長尾文雄(フリーランス
 1940年生。関西学院大学文学部卒。関西学院大学職員、関西いのちの電話事務局長、聖マーガレット生涯教育研究所(SMILE)主任研究員等を経て、現在フリーランス大阪女学院大学・短期大学非常勤講師、社団法人好善社理事、NPO法人ブレーンヒューマニティー理事などを兼務。
 ラボラトリー・トレーニング(Tグループ・トレーニング)を基本にボランティア養成、青少年指導者養成、傾聴ボランティア養成などの教育実践活動、援助専門職養成およびスーパービジョンを行なう。
○大本晋也(兵庫県教育委員会
 兵庫県教育委員会事務局社会教育課主任指導主事兼社会教育係長。1983年県立淡路盲学校勤務を皮切りに、県立高校教員を18年間勤め、その間公民分野でゼミナール形式の授業等も展開。2001年国立淡路青年の家専門職員として3年間勤務。淡路青年の家では高校生演劇ワークショップ、高校・大学・教員のためのボランティアセミナー等の主催事業を担当。淡路青年の家環境教育プログラム集の作成にも携わった。
 現在、本業以外に環境フォーラムの実行委員、ESDの大学・高校生長期ボランティア活動プログラムの開発等にも関わっている。趣味の演劇では主に裏方として音響・照明を担当。神戸・加古川の劇団で活動中。
小林健司(NPO法人日本教育開発協会[JAE])
 JAE(NPO法人日本教育開発協会)広報担当兼教育クリエイター。2002年より現団体で教室事業の学習部門の立ち上げに関わり、現在は大阪市内の小中学校と高校、15校(約2000人)に将来の夢や仕事について学ぶキャリア教育を企業などの協力を得ながらプログラムの実施やコーディネートを行う。現在は団体全体の広報や小学校から大学、企業向けの教育プログラムの開発全般に携わっている。

ファシリテーター
○川中大輔(シチズンシップ共育企画)
 98年より野外教育や不登校児童支援の市民活動に参加し、NPO法人BrainHumanity副理事長、A SEED JAPAN理事、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]フェロー、(財)大学コンソーシアム京都研究主幹などを歴任。現在はシチズンシップ共育企画代表・ファシリテーター。「学ぶこと」と「社会にかかわること」の両方のおもしろさがわかる「学びのデザイン」について関心を寄せ、ファシリテーターとして活動している。2001年から全国各地で「人材」と「企画」と「会議」を中心とするNPOマネジメント研修や市民教育ワークショップ、行政職員研修等を担当(年間80本程度)。
 同志社大学大学院総合政策科学研究科、甲南大学大阪樟蔭女子大学岐阜県立森林文化アカデミー、上智大学グリーフケア研究所で非常勤講師。
○鈴木陵(シチズンシップ共育企画)
 関西学院大学総合政策学部卒。高校時代に読んだ本がきっかけで国際協力分野に興味を持ち、大学入学と同時に国際交流・国際協力支援団体CLUB GEORDIEに所属、2008年度には事務局長を務める。開発教育などの参加型の学びの場との出会いをきっかけに、ワークショップなどの場づくりに関心を寄せている。
 シチズンシップ共育企画事業コーディネーターを経て、現在は事務局次長・ファシリテーター。自らもファシリテーターとしての「あり方」と「やり方」を磨くべく修行中。

■主催:シチズンシップ共育企画

■お申し込み&お問い合わせ先
 お申し込みの方は、下記フォームにご記入の上、事務局へお送りください。お問い合わせにつきましても、事務局までメールにてご連絡ください。
事務局メールアドレス(担当:鈴木・川中)
info.pocco■gmail.com(■を@に変えてください)
※申込メールの件名には「教育ファシリ講座申込」+お名前を入力してください
※講座の内容についての問い合わせなどもお気軽にお尋ねください。
■申し込みフォーム
※メール件名=教育ファシリ講座申込(名前○○○○○)
送信先:info.pocco■gmail.com(■を@に変えてください)

                                                                                                                          • -

・お名前:
・電話番号(遅刻等、緊急用なのでできれば携帯):
・年齢:
・性別:
・メールアドレス:
・ご住所:
・ご所属(活動している団体名):
・所属先での活動内容と自分の役割(100字以内):
・これまでどんな学びの場の進行役をやってきましたか?:
・今回の講座に期待すること:
・8月7日(土)の宿泊:( する ・ しない )
・8月8日(日)の宿泊:( する ・ しない )
・何を通してこの講座をお知りになりましたか?:
(例:××さんの紹介、○○メールマガジンなど)

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【ベーシック編】終了しました!

こんにちは。
シチズンシップ共育企画・鈴木です。

去る6月5日−6日、教育ファシリテーター講座
【ベーシック編】「『問いかけ』をデザインする!」が終了いたしました!

北は岩手、南は福岡から合計12名の参加者の方をお迎えした今回。
当初の予定よりも大幅に時間を割いた
ファシリテーション実習」のふりかえりなど、
場の流れに合わせてプログラムが大きく変更されつつ
展開した2日間となりました。



当日の様子は、シチズンシップ共育企画ウェブサイト
にて「ワークショップレポート」として近日公開予定ですので、
ぜひご覧下さい。

なお、【アドバンスト編】「『ありかた』を見つめなおす!」
の申込受付も開始いたしました。

こちらよりご覧下さい。

〈問い〉とは?川中大輔

こんにちは!
シチズンシップ共育企画・鈴木です。

いよいよ教育ファシリテーター講座2010【ベーシック編】が
明日、実施されます!

現在申し込み頂いているのは12名の方々。
いったいどんな場になるのか、
明日の準備をしながら、わくわくしております。

さて、ミニインタビュー最終回は
シチズンシップ共育企画代表の川中大輔。

ミニインタビューはこれにて一区切りとなりますが、
ベーシック編の様子など今後も更新しますので
ぜひご覧くださいね!

==============================

Q:あなたにとって、ワークショップ/ファシリテーションにおける、
  
  『問い』とは、どういうものですか?

==============================

回答者:川中大輔

A.

いい問いは、創造的である。いい問いがくると、思考や意識が刺激される。問われることで、それまでしっかり考えてこなかったことや、きちんと意識していなかったことと向き合う機会を得ることになる。そして、新たな考えや気づきが生み出され、深まっていく。問いは、私たちを創造的にしてくれる。


いい問いは、補助的である。いい問いは、思っていることや考えていること、感じていることを明るみに出すことを助けてくれる。問われることで、言葉になりにくかったものを表に出しやすくなる。問いは、私たちの言葉にならない言葉を引き出してくれる。


いい問いは、相互作用的である。いい問いは、相互作用に誘発されて生まれる。私とあなたの「いまここ」の関係性を捉えた上で、あなたの感性と、あなたの思考と、あなたという存在と交わるために立てられる問いによって、私たちは一歩深く相互理解/相互作用を育んでいくことができる。


ファシリテーションは、「問うことによる促し」を通じた「ひき出す」と、「聴くことによる促し」を通じた「あふれ出す」から成る。問う力は、ファシリテーターが磨き続けるべき力の一つである。


■川中大輔(シチズンシップ共育企画)
 98年より野外教育や不登校児童支援の市民活動に参加し、NPO法人BrainHumanity副理事長、A SEED JAPAN理事、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]フェロー、(財)大学コンソーシアム京都研究主幹などを歴任。現在はシチズンシップ共育企画代表・ファシリテーター。「学ぶこと」と「社会にかかわること」の両方のおもしろさがわかる「学びのデザイン」について関心を寄せ、ファシリテーターとして活動している。2001年から全国各地で「人材」と「企画」と「会議」を中心とするNPOマネジメント研修や市民教育ワークショップ、行政職員研修等を担当(年間80本程度)。
 同志社大学大学院総合政策科学研究科、甲南大学大阪樟蔭女子大学岐阜県立森林文化アカデミー、上智大学グリーフケア研究所で非常勤講師。


↓2009年に実施したゲスト対談記事はこちら!!↓

「川中大輔×鈴木陵」vol.1

「川中大輔×鈴木陵」vol.2

〈問い〉とは?鈴木陵

==============================
Q:あなたにとって、ワークショップ/ファシリテーションにおける、
  『問い』とは、どういうものですか?
==============================

回答者:鈴木陵


A.

わかち合いたいメッセージ

のことだと思います。

「問いたいこと」について考える時は、
「伝えたいこと」を考えている時よりも、
相手のことに思いを馳せていそうです。

相手はどんな顔をするだろうか。
相手はどんな言葉を発するだろうか。

相手の反応を自分はどう捉えるのだろうか。
そうだ!と思うのか。いや違う!と思うのか。

そうして問うていく中で
私自身もまた
「どんなメッセージをわかち合いたいか」
を、問われている気がします。

私は今その問いと、奮闘中です。


■鈴木陵(シチズンシップ共育企画)
 関西学院大学総合政策学部卒。高校時代に読んだ本がきっかけで国際協力分野に興味を持ち、大学入学と同時に国際交流・国際協力支援団体CLUB GEORDIEに所属、2008年度には事務局長を務める。開発教育などの参加型の学びの場との出会いをきっかけに、ワークショップなどの場づくりに関心を寄せている。
 シチズンシップ共育企画事業コーディネーターを経て、現在は事務局次長・ファシリテーター。自らもファシリテーターとしての「あり方」と「やり方」を磨くべく修行中。

↓2009年に実施したゲスト対談記事はこちら!!↓

「川中大輔×鈴木陵」vol.1

「川中大輔×鈴木陵」vol.2