「オーガストファンBOX」の商標無断使用の件はゴメンで済んだ

昨年の冬コミにて、オーガスト設立10周年を記念して発売された「AUGUST 10th MEMORIAL」ですが、そのブックレットに書かれている打ち明け話的対談集になかなか興味深いことが書かれていました。


「ファンボックス」という名称が他社の商標登録にひっかかった件

昔、ゲームラボにこのような記事が掲載されました(年度、号数は失念)。

リトルウィッチが販売を予定していたファンボックスの名称を急遽変更することになり、発売延期したことに関する文章の後に)

約2年前に発売したオーガストの『オーガストFanbox』のときは、すでに発売済みだったために天田印刷加工と和解せざるをえなかったらしい。「ファンボックス」は一般名詞であると思っていたが、これを商標登録して金銭を要求する法人があると聞いてい憤慨した業界人も多い。しかし、これは違法でもなんでもない。当然の権利である。いっぽう、この件を公の場で弁理士や弁護士を立てて戦う権利もある。ファンボックスでは先方と戦わず、和解と回避という前例を作ってしまった。

この件についてブックレットではこう書かれています。

榊原(以降「榊」):ええ。そういえば「ファンボックス」という名称が他社の商標登録にひっかかるという問題もありましたっけ。意識が低くてそういった方面のことをそれまでまったく調べてなかったこちらに100%非があるんですが。
べっかんこう(以降「べ」):ありましたね。あれって結局どうなったんでしたっけ?
:先方にお詫びに伺って誠心誠意お話しをさせてもらったところ、これっきりですよということで、特に使用料を払ったり、回収したりせずには済みました。
:よかったですね。心が広い。

「和解せざるをえなかったらしい」というところが著者の推測だったようですな。まぁ、「ソースはゲーラボ」ですから(笑)。ただ、ファンボックスという名称が商標登録されているっていうのにはやっぱりモニョります。で、ついでにブックレットの中からこの件以外にもちょっと面白かった内容を抜粋してみます。

Princess Holiday」のラストを考えたのはるね監督

プレイヤーを置いてきぼりにしたラストの衝撃的展開は、まずシナリオライターの榊原氏を唖然とさせたらしい(笑)。

【るね(制作統括・総指揮)からひとこと】

さてプリホリと言えば、ラストの衝撃展開。「実はシンフォニアは地球移民船の末裔。ラストでは宇宙船を掘り出して地球に行く。みんなさようなら。→地球到着。なんとレティが密航者で船内にいた!→ついてきちゃいました♪→HAPPYEND!!」と4行で書かれた指定書を用意したのは私。渡された榊原のぽかーんとした顔は今でもよーく覚えています。

はにはに」という略称を思いついたのはべっかんこう

後に「明け瑠璃」派と「けよりな」派が血で血を洗う全面抗争のきっかけとなりました(笑)。

:今でも思い出すのは、タイトルを決めたあとホワイトボードに「月は東に日は西に」って書きっぱなしになっているのを見て、べっかんこうが「はにはに」という略称を思いついたことです。当初は社内の反応も悪かったんですが、オフィシャル小冊子の対談でちらっと書いたところ、瞬く間に定着してくれました。
:さすがに元祖ってことはないと思うんですが、平仮名だけとりだして略称にする方法が流行るきっかけになった気がします。画期的な感じはしました。

夜明け前より瑠璃色な」は学園ものじゃない

これは案外誤解している人が多いかもしれませんね。

:あと話は飛ぶんですが、時々誤解されてる方もいるんですけど、内部的にはこの夜明け前って作品は学園ものじゃないんです。物語の必然として学園描写もありますが。
:ホームステイものとか、言っちゃえば同居ジャンルですか。
:そうなります。お姫様ものとも言えるかも。

シナリオが高評価だった「穢翼のユースティア

【るね(制作統括・総指揮)からひとこと】

業界関係者の方々からはチャレンジングな姿勢を称賛されたりもしましたが、重要なのはユーザー様に楽しんで頂けるかどうかということ。その点、シナリオ方面でもこれまでにない高評価を頂き、なんとか胸をなで下ろしています。挑戦と、それを認めて頂いたことで、今後の創作活動の幅が大きく広がったことは間違いありません。

ふむ、オフィシャルサイドはこういった認識のようです。ただ、私の周りでは評価が割れているんですよね。そしてそれは古株のようなオーガストファンがおおむね否定的で、この作品からオーガストを知ったような人はおおよそ肯定的な感じ。なので何となくここら辺にジェネレーションギャップが横たわっているような気がしております。

「AUGUST 10th MEMORIAL」の通信販売は13日から

打ち明け話を通り越してぶっちゃけ話になっているこのブックレットでは、あまり…というか、ほとんど表に出てこない(出さない?)オーガストの裏側を垣間見ることができますので、オーガスト好きーにとってはマストバイなアイテムだと思います。ただ、このアイテム、冬コミでは売り切れちゃってます。

なので、「オーガストのことだから量は十分あるんじゃね?」とタカをくくっていると、入手し損ねる可能性がありますのでご注意下さい(笑)。