「Here」/Teenage Funclub

グラスゴーの至宝、ギターポップの良心であるティーンエイジファンクラブの新作。

初期の轟音時代から、ギターの歪みが減って、王道のソングライティングにアナログライクなギターの音を突き詰めた充実期が凄い好きです。但し、ここ2作くらいは、世界の録音環境が完全にデジタルの世界になってしまったことへ対応している印象で、どこかソングライティングやギターの音の良さに主眼を置くというよりも、音響派的な意匠を凝らしてるなぁという感じでした。しかしそんな試行錯誤がやっと花開いたのが今作。本来のティーンエイジらしさを見せながら、デジタルの世界にアジャストする透明感がある音。とても分離の良い音であのバンドサウンドを鳴らす。

アナログライクなバンドって、それぞれの音が良い具合ににじむことでなんとも言えない親密さを生んでるところがあり、デジタルになるとそこが上手くいかないことが多い。分離が良すぎて、一人一人が一人ぼっちになってしまい、バンドの音じゃなくなる。そんな大きな問題にしっかり向き合ってクリアした彼らは本当に素晴らしい。自分の音じゃない!と諦めずに、今ある環境でベストを探す彼らの姿勢に感服。このアルバムを聴いて、本当に尊敬できる良いバンドだなぁーと改めての評価。評価すべきは音楽だけではないと思うな。うん。