エガワヒロシのブログ

2018-10-29

クマ


音楽を作り終わった翌日、鏡の前に行くと目の下に漆黒のブラックホールが出来ているのを見つけます。あ、クマのとことです。クマ。光を吸い込んだりはしませんし、相対性理論とかは関係ありません。

元々クマは出来やすいので、いつもドス黒い不健康な表情をしてるんですが、音楽を本気で作った後は顕著に漆黒が広がります。なんだこの不吉な顔の人は?

それを見るといつも、あぁ、俺も何かを削りながら音楽を作ってるんだなぁーと感じます。別に音楽を作ることが苦しいわけでは無いし、むしろ過去最高に音楽を作るのは楽しくなってます。でも過去最高に夢中になっている分、何かタガが外れているような。

でもね、作詞作曲家なんてものを生業にしようと思ったら、そのくらいやらないと採用なんてされないんですよ。アレンジは誰かやってくれないかなー?とか、バンドのボツ曲でも送っておくかとか、そんなので作曲家面してる人たまにいますけど、そんな甘い世界ではないです。音楽に夢中になってる人、作ることにタガが外れてる人にしか出せない何かがあるんです。そんなものが匂い立つようになってから、それからスタート。そこはまだスタート。そこから本当にセンス勝負になる。

1つ終わるとまた次がやって来ます。目の下のブラックホールが収まる頃にはまた新しいブラックホールが現れる。ブラックホール永久運動。でもそれが自分の選んだ仕事なんだと思って今日もプロトゥールスを立ち上げます。

次はどんな曲を作ろうか。自分の頭の中に浮かんだ曲を現実化していく作業。それは昨日までの自分と今日の自分のセッションのよう。二十歳でバンドを解散させてから、デビューする28歳になる直前まで、人前に全く出ることなく、ライブを一本もやることなく暗い部屋で自分の音楽を作ってました。結局今もそこから一歩も外に出ていない気がする。同じ所を回り続けてる。そんな風にして折り重ねた自分の音楽汁。その濃厚なものをメロディーと歌詞にして提出してます。まだ足りない。全然足りない。もっと音楽に夢中になりたい。

クマよ永遠なれ。クロスロードで魂でも売るか。名もないアクマに。

2018-10-22

結び目


音楽ってのは音と音が結びついて、その結びつきがあり得ないくらいピッタリだったり、あり得ないくらいマジカルだったりすることで特別なものになる。昨日はそんな音をずっと作り出してきた人達のイベントでした。今や良質音楽の震源地になり始めてる西早稲田BLAH-BLAH-BLAHにて。

トップは元チューインガムウィークエンドで、今やこのお店の店主の鈴木淳さん。sjueのタカ君を引き連れて登場。

今日注目したのは歌。バンド歴は長いし、元某有名バンドのサポートですから楽器の腕は確か。曲作りもサイケの匂いのする少しだけねじれたコード進行で独特なメロディーを紡ぐ。でもフラグメンツはあったとはいえ、歌を前面に押し出しては来なかった人。でも歌が良いんだよねえ。なんというか男臭いのに弱く儚い。強がりばかり言う男のちょっとした弱音みたいな歌。それがグッとくる。

それがロックンロールの甘い養分を多分に含んだメロディーと合わさると、特別な何かが起こる。声とメロディーのマジカルな結びつきがそこにはあった。

そして次は轟音ギターポップのHONEYDEWが登場。3人組ですが、一人で出てきたボーカル&ギターのケイゴ君は先輩に囲まれて強烈に緊張した様子。そんな硬くならんでも。笑

でも渋谷系経由、ニューヨーク仕込みのその音楽は先輩に引けを取らず。普段轟音で隠された、良く練られたテンションを含むコードが露わになるとネオアコ感が強くなる。ベースのジュンコさん登場で、その歌声も入るとさらに80年代のスコットランドが広がった。

そしてドラムに男前ドラマーリコ君登場。するとロックンロールバンドの出来上がり。ケイゴ君の3人揃った時のホッとした顔といったら(笑)あれ男から見ても可愛い。リコ君のドラムは小さな音でも必ずバンドをドライブさせる。いつか一緒にやりたいドラマー。

このバンドは3人の音が結びついてロックンロールが始まる。正しいバンドだね。

そしてハックルベリーフィン。元同じ事務所だし、地元は同じ埼玉なので、いつも親近感を覚えてるバンド。昨日タケ兄と話していたら、同じ南浦和のライブハウスに出ていたことが判明。懐かしいわー、ポテトハウス。

ハックルは今日も鉄壁のアンサンブル。エレキなんだけど、アコースティックの感触でやってるので音が小さくて、その分親密さが増したとても良いライブでした。

いやそれにしてもタケ兄のあのベースの音!完璧でしょう!ハックルの中でどんな音が必要なのかを完全に理解しており、ベースの音の太さがナノレベルで調節してあるような、そんな素晴らしい音。ベースが真ん中にバッチリいてくれるので、ハジ君のスウィングするドラム(最高のドラマー!)も、サク君の暖かいギターも安心して自由に動く。良いバンドサウンドのお手本だと思う。ハックルは。

そして昨日は音が小さいこともあって、サク君のボーカルの素晴らしさが前面に出たね。良い声だわ本当に。

ハックルは3人の音が結びつくとかのレベルじゃなく、完全に融合化して1つになってる。幼馴染と兄弟という編成は、血肉まで同化させるのかも。全てが結びついた特別な音楽。

そしてトリは現the MADRASの橋本さんが淳さんを引き連れた、元チューインガムウィークエンドコンビ。リコ君とタカ君も所々登場。

橋本さんの声は淳さんと比べてももっと女性的で、もっとスウィート。甘え上手で放っておけない感じが強い。そんな声であの切ないメロディーを歌われたら、そりゃあ女の人の母性は疼くんでしょうな。

そしてそんな橋本さんを兄貴のように包む淳さんのベースと声。精神的な兄弟のような二人の音が重なると、切なさが掛け算で広がって胸の奥がギュッとなる。原風景に膝小僧を擦りむいて泥だらけで並ぶ少年の姿が浮かぶ。

それぞれの音楽にはそれぞれの結び目がある。その結び目は千差万別で、それぞれが全く違う。でも互いを必要として、愛してるからこその音の親密さ。そんなものがこの音楽にはあるような気がする。昨日の4組はそんなことを感じさせてくれました。

まあ音楽は音だけで、仲間とか友情とか関係ないだろ?って人もいるとは思う。けど、僕は不器用なくらいお互いを求め合って音を紡ぐ人の方が好きです。おセンチなのかもしれないけどさ。音楽には音以上のマジックがあると信じてる。そうじゃなきゃこんなに夢中にならないよ。音楽って凄えんだぞ。マジで。

2018-10-20

UK新潟の夜in池袋(なんのこっちゃ)


昨日は池袋UKロックバーノンサッチでDJイベントでした。

綿内克幸さんはブラコンを中心にした選曲でセクシーな男の音楽。スクリッティポリッティ関係人のシンベがめちゃめちゃカッコよかった。

りんたろうさんはオープニングはお店に寄り添った英国音楽、後半はお店に攻撃するようなノイジーな大音量音楽で存在感を発揮。

僕はお二人の傾向を考えて、新し目の音楽を。と言ってもそこまで最新ではないですが、2000年代以降は新しいってイメージで。最初アメリカばかりで、途中で「は!ここはUKロックバーだった!」と気付いた感じの選曲

22時〜

You know so well / sondre lerche

Wearing the changes / bart davenport

These words / the lemon twigs

Run / san cisco

Cry baby / cage the elephant

You never know / wilco

Neighborhood#3(Power out)/ arcade fire

Shotgun / spoon

Sunday / hurts

Sugarboy / St.vincent

Common people / pulp

Pounding / doves

In-between days / cure

London's brilliant / wendy james

Your kisses are wasted on me / the pipettes

Get outta town! / lucky soul

I'm not gonna teach your boyfriend how to dance with you / black kids

Xanadu / lightspeed champion

23時半〜

Cannibal resource / dirty projectors

End of the world with you / calexico

City looks pretty / courtney barnett

In trangit / albert hammond,jr.

No distraction / beck

Colourful life / cajun dance party

To the end / blur

実は昨日はこの間リリースされたNGT48のシングル「世界の人へ」の作曲者、Mr.LIVEさんが遊びに来てくれました。DJしてる以外の時間は沢山の音楽話。曲作りのコツからそれぞれの生い立ち、音楽観まで結構色々喋りましたね。全く違う畑から出てきた人なんですが、実は似てるところも多々あり、とても充実した時間を過ごせました。なかなか第一線で活躍してる人と話す機会もないからね。テイントンの井上君くらいか。作曲シーンにがっつりいる人は。いやー刺激になりました。

話してる途中、DJをしてるりんたろうさんが「春はどこから来るのか?」をスピン。英国音楽のバーに響き渡る新潟音楽。場所は東京池袋。ここはどこなんだ?笑

でも英国音楽だけにとどまらないヘヴィなミュージックラバーのノンサッチ店長も曲を気に入ってくれたみたい。新潟のみなさん、英国にも届きましたよ。池袋だけど。笑

色々話せて楽しい夜でした。遊びに来てくれたみなさんに多謝。

2018-10-17

フェーズ


何となく、最近潮目が変わったというか、何度目かの新しいフェーズへの移行が行われた気がしてます。勿論ある瞬間に切り替わった!というものではなく、いつの間にか変わっていたのだけど。

人生には何度かのフェーズ移行があると思ってます。僕の場合は小学5年で初めてそれが起こり、その他大勢の真面目な人から、少しだけずれたその他大勢になった。それが男子校に入ったことで混迷を極め、友達も出来ず、日陰の世界に入り込む。そして1度目の結婚、福岡移住、26歳での離婚へ。多分これが思春期で、この時に自分の内面世界の土台が出来たんだと思う。深くて、輪郭がはっきりしない沼のような世界。歌詞は全部ここから引っ張り出す。

そこから埼玉に戻って新しいフェーズが始まった。今の嫁に出会い、メジャーデビュー。一番華やかな時期。毎日が陽光に照らされたような日々。でもレコード会社との契約が切れて、その事実に本当に気がつくまで時間がかかった。事実をなかなか受け得れられないダメ人間。それが第3フェーズ。

そしてサラリーマン生活を始めるのが第4期。そのまま2度目の結婚、子供も生まれ、10年サラリーマンをやる。サラリーマンを辞めた後もフェーズは変わらず、なんとなく自分の置き所がわからないまま5年、合計で15年くらい過ごしてきた。良き家庭人としての自分の形をなんとか形作ろうとしてた時期。

そして今。やっと音楽人としての自分が出来てきた気がしてます。デビュー前は音楽にすがってるだけだったし、デビュー後も浮かれるばかりで浮き足立ってた。でも契約が切れ、何より家庭人としての自分を考えながらも決して音楽を離さず、自分の場所を探してた。ステージ上はあまりしっくりこなかった。でも曲を作ることにフォーカスしたら何かが朧げに見えてきた。そして評価されることが増え、やっと仕事と言っても良いくらいになった。

そして腰痛発症。これが実は大きい出来事。刻印されたもう若くないという事実。もう残り時間は多くないという大きなプラカード

このまま死ぬまで行くのかなあ?なんて考えてます。なんとなく最後のフェーズのような気がして。

愛情を過不足なく受けた幼児期、彷徨い歩いた思春期、一瞬だけ輝いた芽吹きの時期、そしていつまで経っても開かない花に水をやり続けた家庭人の時期。それらは全て養分になって今の自分を作ってる。どの時期も自分。誰でもない自分。

金曜日のDJの日にこの間知り合った人が遊びに来てくれることになりました。お酒飲みながらその人と話すのが楽しみでしょうがない。新しいフェーズだからこその出会い。

今度はしっかり手を振って歩けそうだな。朝のウォーキングのように。楽しんで。少しだけ早足で。

2018-10-12

作曲工程公開


良い曲を作るのには時間がかかります。でも時間をかければ良いかと思えばそういうわけではないです。

自分の考える奇跡ではないレベルで良い曲が出来る時間軸、タイムスケジュールは以下の通り。勿論これより早くできることもあるし、長くかかることもある。でもこのくらいの時間は欲しいかな。作曲家として、曲を集めるコンペ主催者への締め切り期間要望日記。

まずコンペ情報を見る。メールに気が付かないで日にちが経ってることもあるけど、それは気にしない。情報を見た瞬間、何かが閃く。ここでメロディーが降りてくるなんてことはほぼないけれど、うまくいけば方向性みたいなものが見える。これを一日か二日、何をするでもなく考え続ける。

そして次がリアル作曲日。一日唸りながら楽器を持ち替えたり、散歩してみたり、シャワー浴びたり、映画見てみたり、本読んだり、勿論音楽聴いたり、刺激を与えながらメロディーを探す。この最初の取っ掛かりがどのくらいで出てくるかが全く読めない。全く出てこない時もある。でも一日あればなんとかひねり出せる。取っ掛かりが出てくれば、あとは経験とテクニックで曲は形作ることが出来る。これでトータル三日。

そしてメロディーがなんとなく浮かんだら、サウンドアレンジを飴を舐めるようにずっと考える。この状態にいる時の自分は完全に不審者。上の空でブツブツ言ってる。たおも嫁もこの時の自分には何を言っても無駄なことをよくわかっているので、放っておかれる。これが最低一日。でも二日欲しいかな。これで五日。

そしていよいよデモ作り。ベーシックは一日あればなんとかなる。まあサウンドが頭にどれだけ具体的に浮かんでいるかにもよりますけど。ギターの人にとっては鍵盤とドラムの打ち込みが地獄。鍵盤弾きの人はここで有利に!俺はギター!ギターも上手くないけど。。。そして二日目に細かい音を加えて、なんとか完成、これでトータルぴったり1週間。

そうなんです。曲作り、出来れば一週間は欲しいんです!情報見て、パッとメロディー閃いて、アレンジを同時進行で考えつつデモ作ってってやれば一日で作れることもあります。でもそうじゃないんだよねえ。もっと手間暇かけたいの。音楽をちゃんと作りたいの。なのでどうかコンペの主催者の方々、出来れば締め切りを一週間後に。しかも音楽だけを作って生きてるわけじゃないから、毎日作業出来るスケジュールかもわからない。なので出来れば十日後に。心を込めてお願いしたい。

まあ何を甘いこと言っとるんじゃー!って叱られるのかもしれませんが、僕の感触ではこのくらいは必要ではないかと。ジャンルが違えばまた作り方も全然違うし、こいつの作り方何?って笑われるかもしれなきけど。

以上、一人のか弱き作詞作曲家の嘆きでした。作詞の話はまた今度。現場からは以上です。