患者の生命と安全を脅かす看護協会

★ このエントリは2007年1月に別のところに書いたログの再掲です。

助産婦の引き抜きに100万円?

看護婦・助産婦(「看護師」「助産師」とも呼ばれているらしい)の不足が深刻化している(下に掲載したasahi.comの記事参照)。

助産婦を引き抜くために、100万円を用意する産科医院があると聞いた。100万円という金額が、支度金なのか月給なのかは知らないが、いずれにしろ大したものだ。

テレビドラマでは「時給3,000円のスーパー派遣」とやらが鼻をふくらませて威張っているが、その程度の時給なら、その辺をウロウロしている看護婦でも楽に稼いでいる。

日本中の病院が、看護婦確保のために必死になっている。新卒看護婦のために各病院が開催する職場説明会では、豪華なおみやげが出るという。いくつかの病院説明会をハシゴすれば、持ちきれないほどのおみやげをもらえるという。

看護婦の引き抜き合戦は激化する一方だ。いったい、看護婦一人に、いくらの支度金が支払われているのだろう。興味のあるところだ。

大都市の大病院に集中する看護婦

看護婦不足は、地方でとりわけ深刻だ。地方の病院が看護婦確保のためにいくら頑張っても、それをあざ笑うかのように看護婦は大都市の大病院に流れていく。昔なら鼻も引っかけてくれなかったような大都市のブランド病院が、良い条件で雇ってくれるからだ。

昨年改定された看護基準により、病院は、それまでよりはるかに多くの看護婦を雇わなければならなくなった。そうしないと、診療報酬を減額され経営が立ちゆかなくなるからだ。そのため、大都市の大病院は看護婦の大量採用を始めた。結果、地方の病院では急激に看護婦不足が生じた。このままいけば、地方の病院は経営危機に陥り、倒産が続出するだろう。その結果、地方に住む人びとから医療が奪われる。

これが「格差」でなくてなんなのだろう。この格差を作りだした張本人こそ、久常節子率いる白衣の利権屋=日本看護協会と、厚生労働省の厄人達なのだ。
楽しく看護するにわか役人奮闘記―久常節子の看護課長体験



看護協会は長年「看護婦不足」を切望し、厚生労働省は「病院つぶし」を戦略的目標としてきた。両者は共謀することにより夢をかなえた。まさに、厚労省の“厄人”あがりの久恒ならではの“快挙”だ。

だが、有頂天になった久常節子の皺だらけの唇から発せられる「看護の質向上」の美辞麗句の影で、人為的看護婦不足のため医療の危機は深まっている。脅かされているのは患者の生命と安全だ!

久常の看護協会は、「看護婦の数と患者の死亡率との負の相関」という学説を唱えている。ならば、自ら戦略的に看護婦不足を引き起こしている看護協会は、確信的に患者の命を脅かしていることになる。これでは「患者殺しの久常節子」と呼ばれても文句は言えまい。

久常から 「助産師会」へのお裾分け=「内診問題」

利権でお腹一杯になった看護協会は、それまで微妙な関係にあった助産師会にも利権のお裾分けをした。それがいわゆる内診問題だ。

妊婦の内診は、看護婦に許されている静脈注射よりはるかに簡単な医療行為だ。ところが、看護協会は、それを助産婦の独占業務に仕立て上げてしまった。

久常は、堀病院の事件が起きるやいち早く「内診は助産婦の業務」との看護協会見解を発表した。

2006年09月11日

 横浜市の堀病院が准看護師らに無資格の助産行為をさせていたとされる事件をめぐり、日本看護協会は11日、妊婦の子宮口の大きさなどを確認する内診などの助産行為について「必ず助産師が実施するよう周知徹底する」とした声明を出した。

 同協会は「安全なお産のため、現場の看護師らに改めて呼びかけることにした」としている。

そして、彼女の息のかかった(と噂される)厚生労働省の木っ端役人は、そそくさと「内診は医師と助産婦以外はしてはならない」というバカげた通達を出してしまった。明らかなスタンドプレーだ。内診問題は、厚生労働省内部では、議論が始まったばかりの「検討中」の項目であったからだ。
http://diarynote.jp/d/75837/20061016.html

内診問題に対する看護協会の対応は、一見、不思議な行動に思える。普通であれば、専門職にとっては、独占業務の範囲を拡大することは、当該専門職の立場を強化するはずだ。従来、産婦人科領域で、看護婦は助産婦の下働きのような存在だったから、内診を看護婦の独占業務とすることは、産婦人科領域での彼女らの地位の向上を意味するはずだ。バカの一つ覚えのように「看護婦の地位向上」と叫び続けてきた看護協会にとっては、「内診問題」は看護婦の地位向上のための千載一遇のチャンスであったはずだ。ところが、久常は、それを気前よく助産師会にプレゼントしてしまった。

明らかに利権のお裾分けだ。

これで、助産婦不足に猛然と拍車がかかった。只でさえ、医師不足で危機にある日本の産婦人科医療は、久常の暴挙で壊滅的打撃を被ってしまったのだ。

百害あって一利なしの看護協会は解散しろ!それが患者のためだ

おそらく、今年の春の改定で、看護基準は緩和されるだろう。日本医療はこれ以上、看護協会に利権を与え続ける余裕はない。すでに、テレビ局を始めとしてマスコミがこの問題に目を付けている。医師会や病院会を始めとして各種業界団体も制度見直しの要求を始めている。下の記事にあるとおり、中医協でも見直しの方向で議論が進められている。

しかし、単に看護基準を緩和しても、根本的な解決には至らないだろう。自民党内部に食い込み肥大化を続ける看護協会を解体しない限り、慢性的な危機にある日本の医療は救えない。

そのためには、まずは、殺人的看護婦不足を創りだした下手人=久常節子を退陣させることだ。

■ 看護師不足、より深刻に 来年需要、7万人増 日医試算
2007年01月17日付asahi.comより
 
 全国の病院間で看護師の獲得競争が激化している問題で、日本医師会は16日、全国の病院へのアンケート結果をもとに、08年4月に必要になる看護師の数は06年10月よりも約7万人多い88万1000人になるとの試算結果をまとめた。現状通り年3万人ペースで看護師が増えても、深刻な看護師不足に陥る可能性があるとしている。看護師は待遇がいい都市部の大病院に集中する傾向があるため、日医は、このままでは地域の中小病院との看護師配置の格差が深刻化しかねないと指摘している。

 17日の中央社会保険医療協議会中医協)で報告する。看護師を手厚く配置した病院に診療報酬を上乗せする昨年4月の診療報酬改定が影響し、需要が膨らんだとみられ、中医協でも改定の再見直しを求める声が高まりそうだ。

 調査は3185病院を対象に実施し、全国の病院の約4分の1に当たる2091病院が回答。各病院の現在の看護師の配置と将来の増員予定を尋ね、それを元に将来必要な看護師数を試算した。

 それによると、診療報酬が最も手厚くなる「入院患者7人に対して看護師1人」の基準を満たすのは、06年度は300床以上の病院の16.3%だったが、07年度には38.8%に増え、08年度は54.6%に達する。

 この結果、病院で必要な看護師数は06年10月末の81万2000人から08年4月には6万9000人増の88万1000人に達する。看護師数は99〜04年は、年平均約3万人の増だが、病院勤務の看護師に限れば年間約1万人しか増えていない。この傾向をあてはめると、08年4月には現在よりも2万〜5万人程度、看護師の需給関係が悪化する計算だ。

 日医は准看護師の養成増などを提案しているが、中医協内では「看護の必要度の低い病院まで看護師を集めていることが問題」として、診療報酬の上乗せは急性期医療を中心とする病院に限るべきだ、との声も強い。

後記:堀病院の事件は不起訴となった。それならば、早く内診を助産婦の独占業務から外し、看護婦の業務としろ。そうでなければ、産婦人科医療は立ちゆかなくなる。もはや厚労相と看護協会のやっていることは犯罪行為だ。

年間約3000人が出産する堀病院(横浜市)の無資格助産事件で、横浜地検は31日までに、保健師助産師看護師法違反(助産行為の制限)の疑いで書類送検された堀健一院長(79)を不起訴処分(起訴猶予)とする方針を固めた模様だ。起訴して刑事責任を問えば、産科医や助産師の不足が深刻なお産の現場に与える影響が大きいことや、また堀院長が地検側に院長職を辞する考えを伝えたことなどを踏まえ、総合的に判断したとみられる。