個人制作の映画

現在、個人ないし少人数のアマチュアグループでの映画撮影は、カメラ一体型VTRで行われるのが普通である。2000年代前半からDVDやメモリー素子に記録することで、磁気テープを使用しないデジタルビデオが普及しているが、DVビデオも現役である。

アナログ式のビデオテープレコーダが普及する以前は、8ミリフィルムで撮影するのが主流であった。業務用の35ミリフィルムは、個人では機材の調達が困難(カメラに限っても、購入だと数百万円必要であり、「保守に信用がおけない」ため、個人向けのレンタルはほとんど行われていない)であり、またフィルムも高価であった。よって、個人向けに、小さなフィルムを使うことでフィルム代や現像代といった感材費をおさえた。

一方、1980年代にベータカムが普及するまでは、テレビ局での野外撮影や、上述のテレビ映画には16ミリフィルムが用いられることが多かった。16ミリであれば、35ミリに比較すれば安価な制作が可能であり、個人でも「手を伸ばせば、何とかなる」ものであったため、「16ミリでの映画制作」が、「アマチュアにおけるゴール」とみなされてきた時代が長く続いた。

8ミリフィルムでの映画制作については、8ミリ映画の項も参照のこと。

近年ではデジタル式ビデオカメラとPCベースのノンリニア編集機材の低価格化により、アルビン・トフラーの「第三の波」に登場する生産消費者が台頭しつつある。またプロユースでもノンリニア編集システムと連動した映像管理ソフトなどが利用されている。

日本では、明治時代から個人撮影の映画が制作され始めた。戦前から一部でカラーフィルムで撮影が行われ、NHKで2003年に『BSプライムタイム 映像記録 昭和の戦争と平和 カラーフィルムでよみがえる時代の表情』前編後編、『NHKスペシャル 映像記録・昭和の戦争と平和〜カラーフィルムでよみがえる時代の表情〜』、2006年に『BS特集 カラー映像記録 よみがえる昭和初期の日本』前編後編と計3本で取り上げられた。