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穢れたこの世界を祝ってやる…

2012-08-24

「ホモ・ファーベル―西欧文明における労働観の歴史」



8月24日読了。夏休み12冊目。今週は6冊目とハイペース。
流して読んだので3時間程度で読み終えることができた。また文章が比較的平易に書かれていて読み進めやすい。且つ分かりやすい。しかし2700円なので購入は薦めない。

労働思想についてのレポートの参考文献として使うので詳細は書けないが、とても分かりやすい本だった。中世まではキリスト教的な労働観が支配的で、科学の発展で労働の地位は上昇し、やがて自己拡張的な労働と資本主義が浸透して今に至る、という歴史観。新しいことを述べてるわけではないが、持っている知識を補完・明確化することはできる。

本棚に置いてある「カーニヴァル化する社会」で現代日本の心性をざっと調べてCiNiiで関連する論文を斜め読みして、それを元にして私見を述べれば恐らく「70良」は来るだろう。

「友達・棒になった男」

友達・棒になった男 (新潮文庫)

友達・棒になった男 (新潮文庫)



8月24日読了。
収録されている3篇は全て戯曲で構成されていた。

・友達
「水中都市・デンドロカカリア」(新潮文庫)に収録されている「闖入者」と大体同じ。戯曲版というところ。勿論「闖入者」もかなり面白かったし衝撃を受けた。戯曲なので物語に明るさが増してそれに比例して不気味さも増す。笑顔で温和な雰囲気の物語なのにグロい。

個人的には安部公房の最高傑作だと思う。三島由紀夫も「友達」を絶賛したとのことで親近感が湧いた。三島の解釈が面白い。

連帯の思想が孤独の思想を駆逐し、まったくの親切気からこれを殺してしまう物語(P293)


8人の家族が突如何の縁もない赤の他人である男の家に闖入(無断で入り込むこと)する。但しそこに暴力は伴わずむしろ闖入者は平穏に事を運ばせようとしている。闖入者の大義は「隣人愛」であり、男の生活に奉仕する姿勢でいる。男の言い分は全て被害妄想であるかのような印象を与える。

なんとか君の倖せに役立ちたい、なんとか君に奉仕させてもらいたい……(P60)

異常に感じた男は警察に連絡するが、その警察も証拠の不足や被害のないことを理由に取り合わない。また男は婚約者から信頼を失くし、婚約者の兄は闖入者に取り込まれる。

善意とは何か。都会における孤独とは何か。民主主義とは何か。多数決とは何か。「俺のことは構わないでくれ。下手な親切はやめてくれ。一人が心地よいのだ。」

・棒になった男
1.鞄
「無関係な死・時の崖」(新潮文庫)に収録されている「家」に少しだけ似ている。妻が夫の保管しているトランクの中身を開けようか葛藤するが、遂に開けることはできなかった。中身は「先祖」らしい。

2.時の崖
「無関係な死・時の崖」に収録されている「時の崖」と全く同じ。試合中であるボクサーの思考が丹念に描写されている。妙にリアリティをもつ。

3.棒になった男
「R62号の発明・鉛の卵」(新潮文庫)に収録されている「棒」に似ている。P173における地獄の女のセリフは「棒」のP175における学生の考察とほぼ同じである。屋上から飛び降りた人間が特徴がないただの棒に変わり、生きている人間(「棒になった男」では地獄の使いであるが)が考察を加えるという構造は「棒」でも「棒になった男」でも同じ。

棒も現代に生きる人間も、特徴のない、使用者に忠実で、使用される間は擦り減らされる物体であるにすぎないのか…。

・榎本武揚
歴史物は苦手なので読んでない。

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