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Eisbergの日記

2011-06-25

 放射線が脳に与える影響


放射線被曝による影響について、白血病やガンについては多く議論されているが、放射線は脳には影響を及ぼさないのだろうか。


人間の脳が多量の放射線を浴びる状況にはどんなものがあるかと考えてみると、真っ先に頭に浮かぶのは脳腫瘍の放射線治療である。放射線治療では癌細胞を狙って多量の放射を行うわけだが、周辺の健康な細胞にも放射線が当たってしまうことは完全には避けられないだろう。そうした場合、脳機能にどのような影響が出るだろうか。


日本語の医学サイトではあまりはっきりとした記述が見つからないのだが、英語のサイトで放射線治療について検索すると、脳腫瘍の放射線治療の副作用について多くのサイトで明白に書かれているのがわかる。


たとえばこんなサイトには、こう書いてある。


Delayed Effects

The effects of radiation therapy on the brain can vary depending on the individual. The onslaught of these effects fall into two categories--early delayed and late delayed. Early delayed effects can occur several weeks after treatment, and typically effect the cognitive functions of the brain. Memory problems are likely, however, this is a temporary condition that can last for up to a year. Late delayed effects happen in cases where physiological systems within the brain have been damaged. These effects are permanent, and can become progressively worse over time. Late delayed effects may include personality changes, impaired memory, decreased intellect and confusion.


脳への放射線治療の影響には個人差がある。副作用には早期に見られるものと晩発性のものがあり、早期の影響は記憶力の低下などの脳機能への影響で、治療後数週間で現れ、1年以内に自然に消える。晩発性の影響は脳が治療によって損傷を受けたことにより発生し、生涯に渡って続く。時間の経過とともに悪化していくこともある。主な症状は人格の変化、記憶障害、知能低下や思考の混乱などである。



放射線が脳機能に影響を与えうることはわかったが、ただし、上記は、脳の外部から大量の放射線を照射する場合であり、原発からの放射能漏れによる被曝とは別の状況である。しかし、事故処理の作業員が被曝により脳にダメージを受けていることは、NHKスペシャル、「チェルノブイリ原発事故 終わりなき人体汚染」で報告されている。


D

(この動画は4つに分割した最初のものだが、リクイデーターが負った脳障害については主に3つ目と4つ目の動画に出て来る)



では、リクイデーターのように多量の被曝をしたわけではない原発周辺住民についてはどうだったろうか。一般民の場合、原発の周辺からは退避しているため、外部被曝の程度はリクイデーターとはまったく異なるレベルで、問題となるのは主に内部被曝、それも低線量被曝となる。低線量の被曝からも脳へ影響が及んでしまうことはあるのだろうか。


これといってはっきりとしたデータは見つからないものの、脳機能への影響に関する論文はいくつか見つけることができる。


AJE(American Journal of Epidemiology)に掲載された"Neurobehavioral and Cognitive Performances of Children Exposed to Low-Dose Radiation in the Chernobyl Accident The Israeli Chernobyl Health Effects Study(N. Bar Joseph, D. Reisfeld, E. Tirosh, Z. Silman, and G. Rennert、2003)"によると、チェルノブイリ事故で被爆し、その後イスラエルへ移住したウクライナ人の子ども1629人を対象に行った1998–2001の調査では、被曝量と子どもの知能には相関性は見られないという結果が出ている。


一方で、ノルウェイのオスロー大学心理学科研究グループによる"The Chernobyl accident and cognitive functioning: a study of Norwegian adolescents exposed in utero.(2010)「チェルノブイリ事故と認知機能 母親の胎内で被爆したノルウェーの成人の研究」"では、母親の胎内で被曝した成人グループは対照グループに比べ、言語的作業記憶力、言語記憶力および実行機能が低いという結果が出ている。(残念ながら、この論文はオンラインではアブストラクトしか読むことができない)


また、フロリダのFlagler College and KGA Internationalは、"Longitudinal neurocognitive assessments of Ukrainians exposed to ionizing radiation after the Chernobyl nuclear accident.(2005「チェルノブイリ事故で被爆したウクライナ人に関する長期的脳認知評価」)"という論文で、チェルノブイリ原発から150km以内に住む原発作業員、林業従事者、農業従事者と原発から数百キロ離れたところに住む健康な人との脳機能を比較したところ、前者の知的作業を行う際の正確さや効率は後者に比べ明らかに低かったという結果を発表した。(これもオンラインはアブストラクトのみ)


そして、ドイツのテレビ局ZDFはNanoという科学番組で、"Strahlung schlägt Kindern aufs Gehirn Forscher: Veränderungen bei 11- bis 13-Jährigen「放射線は子どもの脳を破壊する 研究者らが11歳から13歳までの子どもの脳に変化を確認」"という番組を放映している。


Strahlung schlägt Kindern aufs Gehirn - Forscher: Veränderungen bei 11- bis 13-Jährigen


番組によれば、キエフの国立放射線医学研究所チームが11歳から13歳の被爆した子ども100人を被曝していない50人の子どもと比較調査したところ、脳神経疾患、知能低下および脳波の変化が見られた。特に変化が顕著だったのは左脳だった。研究者の一人、ロガノフスキー氏は 「母親の胎内での被曝が精神疾患や認知能力の異常を引き起こす。また、てんかんの症例も多い」と述べている。ウクライナ政府は原発事故の影響を過小評価している。「政府は汚染地域で病気になった子どもは20%に過ぎないと言っていますが、子ども達の半数以上が病気です」とナデシュダの女医、オルガ•サカローヴァ氏は語る。「事故後の数年間に見られた疾患は主に甲状腺癌でしたが、現在は脳腫瘍や心疾患が最も多いのです」

悠羅悠羅 2011/06/25 16:05 子供を持つ親としては大変気になることです。
携帯電話や、高圧鉄塔からの電磁波が脳腫瘍の原因になると
前から言われていますよね。
携帯については最近WHOも認めています。
電磁波と放射線はほぼ同じようなものですが、
なぜ放射線に関しては

「害はない」

になってしまうのか、おかしなことですね。
放射線とは無数の細かい弾丸のようなものと捕らえれば
それが脳を突き抜けて無事でいられるほうがおかしいと
思います。

調べないから、わからない、わからないから、無い
この3段論法を使えばどんな毒も菌もウィルスも隠し放題。
日本だけでなく世界中で使われているようです。

MM 2011/06/26 00:24 最近知り合ったウクライナの女性はチェルノブイリで、妊娠中に原発事故にあったらしい。
子供には、ある問題があり、医者には癲癇と診断された。でも知能が高いとのこと。
彼女は、「放射能は身体に悪いので絶対避けるべきだが、知能を高める説がある。」と言いました。
教養のない人ではありません。ロシア語圏でそんな説があるのかしら。
デマならたちが悪いです。

eisbergeisberg 2011/06/26 09:32 悠羅さん、キエフの研究はサンプル数があまり多くないので、実証には不十分かもしれませんが、「実証されていない=危険はない」ではないですから、注意が必要ですよね。

eisbergeisberg 2011/06/26 09:35 Mさん、そのお子さんが優秀なのは良いことですが、放射能が知能を高めるという説があるとは、、、、。

mimichatnoirmimichatnoir 2011/06/26 11:00 投稿名が、ここに貼られると、なぜか、変わってしまっています。Mと書いてあるのは、最近ちょくちょくコメントしている、私mimichatnoirです。連絡まで。

eisbergeisberg 2011/06/26 12:28 Mimichatnoirさんでしたか。考えてみればベルリンにはロシアはもちろん、ウクライナやベラルーシ出身の人が結構住んでいそうですね。彼らにお話を伺うのも参考になりそうです。

吉田明彦吉田明彦 2011/07/05 10:14 サンデー毎日6月26日号
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/DetailZasshi?refShinCode=0900000004910200740612&Mail_id=2005&Action_id=101&Sza_id=A0
がこのことを詳しく報じています。

抜粋です:

「チェルノブイリのデータが示す/しのび寄る脳内被曝▼懸念される東電社員の被曝レベル▼子どもの脳からセシウム137検出」から:

「脳の破壊が、さまざまな精神疾患や身体の病気の原因だったのです。原発の事故処理作業中に吸い込んだ放射性物質が脳に入り込み、あたかもミクロの爆弾のように脳神経細胞を破壊したと考えられます」
 チェルノブイリ原発事故から10年が経過した1996年。ウクライナ・キエフ脳神経外科研究所を訪れた広島大原爆放射線科学研究所非常勤講師、山田英雄氏は現地の教授が語る作業員たちの症状を聞いて背筋が凍る思いだった。
「チェルノブイリ病棟」と呼ばれる施設を訪ねると、高線量の放射線の中で命を顧みずに作業に当たった約50人の"英雄"がいた。だが、ある男性は感情の起伏が激しい躁鬱症状にあり、山田氏の前で突然怒り出し、レーニン勲章を床に叩きつけた。別の男性は物忘れがひどく、買い物すらろくにできなかった。現地の専門家から「作業員の脳の多くに血流の悪化や萎縮など何らかの異常がある」と説明を受けたという。p.119

 元放射線医学総合研究所主任研究官の崎山比早子氏はある論文に注目する。ベラルーシの研究者が同国ゴメル州で97年に死亡した住民の臓器に蓄積していた放射性セシウム137を調べたもので、他の臓器同様、脳にも大人で約300ベクレル(1キログラム当たり)、子どもで約500ベクレル(同)が検出された。別のデータでは、10歳以下の子ども52例の平均で385ベクレル(同)が脳から検出されたという。
「ある実験では、セシウムを口から取り込むと最初は胃の周辺にたまり、血液に入って肝臓、心臓、腎臓、ふくらはぎなどに移って約1週間で全身に回りました。たとえセシウムが微量であっても、頭痛やだるさなどの症状を引き起こす可能性はあります。チェルノブイリ事故で検出された脳内のセシウムの値は決して小さいとは言えず、放射能への感受性が強い子どもに影響が出るのではないかと心配です」(崎山氏)p.120

(脳の被曝を否定する放射線影響研究所主席研究員、中村典氏、広島大原爆放射線医科学研究所、細井義夫教授らの見解に反し)
 広島で原爆投下の直後から被爆者の治療にあたり、今年4月に『低線量内部被曝の脅威』を翻訳出版した医師の肥田舜太郎氏の見方は異なる。
「内部被曝は外部被曝とは違う仕組みで作用します。近年、微小な放射線物質はすべての臓器に入り、あらゆる病気の原因になると考えられています。脳に入れば脳の疾病を起こす。日本の学者は外部被曝の発想から抜け出せていない」p.121

eisbergeisberg 2011/07/05 12:32 吉田さん、重要な情報をありがとうございます。海外からはオンライン版以外の日本の新聞雑誌は入手が難しいので助かります。放射線被害というとガンや白血病ばかりが強調されますが、チェルノブイリ関連書などを見るとそれ以外の健康被害がとても多く報告されています。脳への影響も過小評価すべきではないと思っています。

匿名匿名 2012/09/16 02:53 事故後、3月の下旬に入るちょっと前から、目の方から痙攣が始まりました。その後、足の筋肉に、頻繁に痙攣がおこりました。いずれも生まれて初めての経験です。初期は、目と足の部分だけ、去年の秋からは、体のいたるところに痙攣が走ります。いまも、続いています。筋肉に大きな振動が走るような痙攣です。ネットで調べたら、セシウムが原因であると。日本の医師は、放射能のことに触れると、すぐに、関係ないと決め付けるのは、日本政府からのプレーシャだけでなく、医師たちは、いろんな恐喝を受けていると聞いています。恐喝のせいで、日本の医師が自分の良心に背いていことを言動するのでしょう。

3児の母3児の母 2013/03/28 01:13 首都圏在住です。原発事故当時は外出禁止になることもなく、子供たちは普通に学校へ通っていましたし、外遊びも外体育もやっていました。夏にはプールの授業や千葉の海で臨海学校も行われました。正直とても不安でした。そして昨年子供が通う中学校の生徒が脳腫瘍で亡くなりました。さらに今別の生徒が脳腫瘍で闘病中です。同じ中学校で同じ時期に2名です。また近所で高齢者の心不全による突然死がとても増えています。どうしても放射能の影響を考えずにいられません。私たちはここで生活していて大丈夫なのか?と不安になります。

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