2008-11-01
■ [国際金融]通貨危機と通貨スワップ ![はてなブックマーク - [国際金融]通貨危機と通貨スワップ](http://b.hatena.ne.jp/entry/image/http://d.hatena.ne.jp/eliya/20081101/1225547771)
韓国中銀とFRBが通貨スワップ契約を締結し、韓国ウォンの価値が14パーセント上昇しました。
http://www.webcitation.org/5c0RB2ZwU
通貨の価値を14パーセントも変えてしまう通貨スワップっていったい何なのか、少し調べてみました。日本も東アジア諸国や先進国を中心にスワップ契約を広く結んでいます*1。でも、そもそも「通貨スワップとは何を同意しているのか」はよくわかりません。ぐぐって見ましたが、財務省は詳細を公開する気はないようです。今回のFEDや韓国中銀のプレスリリース、それにbloombergを見ても詳細はわかりません。
詳しくわからないので自信ないのですが、調べた限りでわかったことを書いておきます。
通貨危機とは
まず、通貨危機のメカニズムについて見てみましょう。金融市場では、自己実現的な危機が発生することがあります。いったん通貨の価値が下落するかも、って思われると、投げ売りが発生して、実際に価格が下落して、それを見てみないっそう売り出して・・・。
この悪循環が発生するためには、将来の通貨の下落についてある程度実体経済の裏付けがある必要があります。実体経済が健全なら、そのうち通貨価値も復活するってわかっているわけで、投資家はパニックになりません。
このパニックだけでも厄介ですが、もしパニックで通貨価値が下落するってわかってれば、通貨をあらかじめ売っておくことで大もうけできます。抜け目のない投資家が、パニックのはじめの一押しさえできれば、あとは雪だるま式に通貨価値が下がって、大きな利益を得ます。
でも、一部の投資家の利害のために通貨価値が乱高下すると非常に迷惑ですよね。中央銀行の市場介入で投資家のはじめの一押しさえ耐えきれば、パニックは発生しません。必要なのは、はじめの一押しに耐えきるだけの手元資金です。そのための資金が外貨準備ですが、通貨スワップは外貨準備を補足する役割を果たします。
通貨スワップとは
40年前のFRBの論文によると、通貨スワップとは通貨市場の混乱と投機攻撃を避けるための防衛策です。通貨スワップとは、自国の通貨を担保に、他国の通貨を数ヶ月のあいだ借り入れる契約のことです。通貨を交換しているので、通貨スワップと呼ばれます。
日銀がFRBにスワップの行使を申し込んだとしましょう。日銀は、現在の為替レートでドルを買います。つまり、98万円をFRBに払い、一万ドルを直ちに受け取ります。三ヶ月後の精算時には、ドルを買ったときの為替レートで清算します。日銀は、1万ドル+ドルのでの金利をFRBに払い、98万円+円での金利を受け取ります。
スワップの権利は実際に行使される必要はありません。「スワップで外貨を調達できる」という可能性だけで、投機攻撃を押さえることができます。
疑問点
通貨スワップでは精算時の為替レートは確定しているので、為替リスクはありません。でも、信用リスクはどうなのか?国家がデフォルトしたときに、中央銀行のスワップ契約は履行されるのか?きっと非公開の契約書ではそこらへんも詰めてあるんだろうけど、「教えないけどお上を信じろ」ってのは少し抵抗がある。教えないのは後ろ暗いところがあるからじゃないの?ま、麻生首相とホテルのバー騒動を見ていると、できるだけ情報は隠したいっていう気持ちもわからないでもない。
そもそも、通貨攻撃は為替レートが実態と乖離しているときにだけうまくいくものではないのか?もし為替レートが実態と乖離しているなら、どれだけ外貨準備と通貨スワップがあろうと、為替の防衛はできない。もし、為替レートが実態と乖離していないのなら、現在の価格はファンダメンタルズを反映しているわけだから、スワップはやっぱり関係ない。でも実際に14パーセントウォンが上がっているわけで。わからん。「実態を反映した為替レート」そのものが通貨攻撃によって変わるのかな?通貨スワップの締結が、国際社会の「韓国経済は崩壊させない」というメッセージになった可能性もある。
通貨危機の理論的取り扱いについては、クルーグマンが10年前に書いた非専門家向けのレビューが役に立ちます。
有り難うございました。
役に立ったようで何よりです。