eliyaの日記

2012-01-30

日銀理論と貨幣の中立性 14:36

日本銀行、FRB、ECBの根本的な考え方の違いの続き。日銀理論が正しくなるような経済学の仮定について少し考えてみました。


貨幣の中立性

通常の仮定では、「貨幣の長期的な中立性」が導かれます。これは、金融政策のどのような変化も最終的には物価水準に吸収されてしまうから、貨幣量や金融政策は長期的には実体経済に影響を及ぼさない、という結果です。新古典派、ケインジアン問わず、マクロ経済学者に広く信じられています。これは裏を返せば、貨幣は長期的には物価水準にのみ影響を及ぼす、ということです。これに基づいてECBやバーナンキの主張がでてきているのでしょうし、これに素直に従えば、日銀の主張は間違いということになりそうです。

ただ、実証的にはよくわかりません。個人的にはどんなものであれ「マクロ長期XXX」の実証分析は信用しないことにしています。そんなにデータないとおもう。


貨幣の超中立性

ただ、ゼロ金利制約下ではすべてのことが違ってきます。貨幣の中立性もそう。一般のゼロ金利下の理論では、将来の金利に働きかける政策以外は無効(Krugman 1997)という結果がよく知られていますが、ゼロ金利制約が永遠に続くと仮定すると、将来の金利に働きかける政策も無効になります。(たぶん。自信なし)


長期均衡名目金利が負であると仮定します。このとき、中央銀行は均衡金利にできるだけ近い金利水準を達成しようとするので、ゼロ金利政策を継続します。このときは、いわゆる「時間軸政策」すらも無効です。どんなに強く現在と将来の緩和にコミットして、それが信任されたとしても、短期預金と現金はいつまでも完全に代替的なので、将来の緩和のコミットは意味をなさず、現在および将来の物価水準およびその他すべてののマクロ変数に影響を及ぼしません。インフレーションターゲットすら無効になる恐れがあります。インフレーションターゲットが「ターゲットを達成するまで現在の緩和を続ける」という形でなされた場合、それは時間軸政策と実質同じで、無効です。これを貨幣の超中立性と名付けましょう。金融政策は完全に無効になります。

現在の日本の無リスク長期均衡金利がどうか、ですが、負である可能性はあると思います。なんといっても日銀がゼロインフレーションターゲットを取っているのが大きいです。実質金利が少しでも負だったら名目金利も必ず負になるわけで。現在の30年国債の金利は1.94%で、ゼロではないですが、リスクプレミアムを考慮すると、無リスク金利そのものはすでにゼロである可能性が有ります。


ただ、金融政策を生き残らせる方法はあります。「長期均衡名目金利が負である」という仮定を満たさないようにしてしまえばよいのです。名目金利は期待インフレ率と実質金利で決まるので、どちらかを操作すればよいです。

中央銀行なら金融政策で期待インフレ率を高めて名目金利を高めましょう、非不胎化した為替介入しましょう、国債も買い切りましょう、ケチャップも買おう、だと思うんだけど、日銀は今のゼロパーセントを中心とした期待インフレ率に満足しているように思えます。だとしたら残されたのは実質金利しかないわけで、こーぞーかいかくがんばろー、になるのかな。


とりあえず非合理的に見えた日銀の行動に一筋の合理性を見いだしたので、ここまでにします。結局は「ゼロパーセントを中心とした期待インフレ率に満足」するかどうかなんだな。

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