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2010-11-13

雲井龍雄 「釋大俊 時事に憤を発し、慨然として済度の志有り、将に其の親を尾州に帰つて省せんとす、之を賦して以て贈る」

「釋大俊 時事に憤を発し、慨然として済度の志有り、将に其の親を尾州に帰つて省せんとす、之を賦して以て贈る」

 

生當雄圖蓋四海   生きては当(まさ)に 雄図 四海を蓋(おお)ふべし

死當芳聲傳千祀   死しては当(まさ)に 芳声 千祀(し)に伝ふべし

非有功名遠超群   功名 遠く 群を超ゆる 有るに非ずんば

豈足喚爲眞男子   豈(あ)に 喚(よ)んで 真の男子と 為すに足らんや

俊師膽大而氣豪   俊師 膽(たん)は大にして 気は豪

憤世夙入祇林逃   世を憤つて 夙(つと)に 祇林(ぎりん)に入りて逃る

雖有津梁無處布   津梁(しんりゃう) 有りと雖も 布(し)くに処(ところ)無し

難奈天下之滔滔   奈(いかん)ともし難し 天下の滔滔たるを

惜君奇才抑塞不得逞  惜む 君が奇才 抑塞(よくそく)して 逞しうするを得ず

枉方其袍圓其頂   枉(ま)げて 其の袍を方とし 其の頂を円くするを

何事衣鉢僅潔身   何事ぞ 衣鉢 僅(わづか)に 身を潔くし

不爲鹽梅調大鼎   塩梅と為つて 大鼎を調(ととの)へざるを

天下之溺援可收   天下の溺(おぼれ)たるは 援(たす)けて収む可(べ)きも

人生豈無得志秋   人生 豈(あに) 志を得るの秋(とき)無からんや

或至虎呑狼食王土割裂  或(あるひ)は 虎呑狼食 王土割裂するに至らば

八州之草木任君馬蹄踐蹂  八州の草木は 君が馬蹄の 踐蹂に任せん

君今去向東海道   君 今 去つて向(むか)ふ 東海道

到處山河感多少   到る処(ところ)の山河 感多少

古城殘壘趙耶韓   古城 殘壘(ざんるい)は 趙か韓か

勝敗有跡猶可討   勝敗 跡有り 猶(なほ) 討(たづ)ぬ 可(べ)し

參之水 駿之山   参の水や 駿の山

英雄起處地形好   英雄の起る処(ところ)は 地形好(よ)し

知君至此氣慨然   知る 君 此(ここ)に至らば 気は慨然

當悟大丈夫不可空老  当(まさ)に悟るべし 大丈夫 空しく老ゆ可(べ)からざるを


(大意)


人と生まれたからには、

生きている間は、この世界を蓋うような壮大な志を持って生きるべきだし、

死んだ後は、千年の後にまで伝わるような生き方と名前を心がけるべきである。

生きている間、あるいは死んだ後に伝わる、

その事績と栄光が、はるかに人々に抜きん出るものとならなければ、

どうして男の中の男と言うことができるだろうか。

大俊師、君は、肝っ玉が据わって度胸があり、豪快な気性の持ち主で、

この腐った世の中に疑問を持ち憤って、仏門に入った。

しかし、世の中の人々を救うための教えと智慧はあるけれど、

廃仏毀釈などの時代の激変と逆境の中で、

志と才能を生かす場所を十分に持つことができなかった。

時代の流れがあまりにも速く酷く流れていくのは、どうにもしようがなかった。

衣服を墨染めの衣に変えて、頭を剃って出家した、その志をおさえて曲げなければ生きれず、

廃仏毀釈という時勢の中で、君の稀なる才能が、覆われ塞がれて、十分に発揮できないのが本当に惜しまれる。

しかし、どうして、君は、己が一身の衣鉢ばかりを清くするだけで、

この時代と社会を治し正す身とならないのだ。

天下が乱れ、世の中の人々が溺れかかっている時は、進んで手をさしのべて助けなければならない。

人と生まれてきたからには、どんな時であっても、必ず志を発揮し、自分を生かす時と場所がある。

それがない時なんてないのだ。

もし、欧米列強や、国内の邪悪な人々が、虎や狼のようにこの国を食い物にし、精神的にも物質的にも、この国が四分五裂する事態に至った時は、

誰がそれを救うというのだろう。

君しかいない。

君が立ち上がって、転輪聖王のように疾駆すれば、人々は君に従い靡くだろう。

君はそれほどの器量と胆略の持ち主なのだ。

君は今、江戸を去って、郷里に向かい、東海道へと旅立つ。

いたるところの山河に、多くの感慨を持つだろう。

戊辰戦争後の、東海道沿いの諸藩や旧幕府の城の跡は、古代中国の秦に滅ぼされたあとの趙や韓の古都や廃城のようなありさまだろうか。

戦場の跡もおとずれて、追憶と供養をすべきだろう。

そして、その昔、徳川家康が立ち上がって、そして晩年を過ごした、

三河駿河の山々や風景、富士山矢作川などは、

本当にすばらしい風景だ。

英雄を養う景色と山河だ。

(君も、今は疲れて、郷里に帰らなければならないかもしれないが)

君も、きっとそれら故郷の山河に至れば、再び気力は充実し、

きっと、人と生まれてきたからには、空しく老いるべきではなく、

必ず何らかの事業をなすべきだということを、悟ることだろう。

(人生は空しく過ごすべきではない、再びともに手をとりあって、志を遂げ、この国を建て直そう)

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