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elm200 の日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-02-02

知識経済に乗れない人たち


これはかなり微妙な問題で、私のような立場の人間がいうと地雷を踏みかねないのだが、あえて皆さんに質問したい。今日の日本(そして先進国一般)でもっとも本質的な経済問題かもしれない。

ピーター・ドラッカーアルビン・トフラーを持ち出すまでもなく、現代が知識経済の時代だということに異議を挟むひとはいないだろう。特に、インターネットが普及してからというもの、世界での情報処理のスピードが途方もなく速まり、新しい情報や知識にすばやく飛び乗れる人たちに大きな経済的機会が訪れるようになった。

先進国は、新興国の追い上げを受けて、どこも高付加価値型の経済構造への転換を急いでいる。高付加価値型、とは「アタマを使って稼ぐ」ことと言い換えても、大きな間違いはないだろう。情報技術(IT)、金融、製薬などが典型である。

しかし、皆さんが日常生活で十分観察してきたように、情報の処理能力には人によって大きな格差がある。情報の処理能力とはシンボル操作能力と言い換えてもいいのだが、シンボル操作が生まれつき得意な人間と不得意な人間がいることは、否定しがたい。

問題は、先進国の経済が、高付加価値型に転換するにつれて、シンボル操作が不得意な人たち向けの仕事が急速に失われてきているのではないか、ということだ。肉体労働的な仕事でさえも、高度な知的作業が必要になりつつある。たとえば現代の日本の工場では、労働者たちは複雑な機械の操作を記憶しなければならないだろう。コンビニの店員が POS 端末に向かって行う作業は驚くほど種類が多い。

私はベトナムに住んでいるが、ここは仕事をするのに頭を使いたくない人には天国のようなところである。複雑な思考を必要としない仕事がたくさんある。というより、ほとんどがそういう仕事だ。たとえば、ここでは、バイクの駐輪場には必ず監視員がいる。彼らの仕事は、バイクを整列し、泥棒を監視することだけだ。また駐輪場の入り口では、駐車券を発行するのだが、これにひたすらバイクのナンバーを書き込む係の人がいる。この人は一日中、虚心に数字を書き込み続けるのだ。

もちろんベトナムでも、こうした頭を使わない仕事の給料は高くないだろう。それでも、これだけ大勢いるということは、なんとか生きていける程度のカネは稼げるに違いない。仕事があれば、自尊心を持って生活することができる。家族を養うこともできるかもしれない。

いいとか悪いとかという価値判断以前に、働くとき、頭を使うより体を使いたい、というタイプの人たちは、どの社会にも一定の割合で存在する。こうした人たちにとって、日本のような先進国は住みづらく、ベトナムのような新興国は住みやすいのではないだろうか。日本で人々の間に所得格差が広がっているというけれど、ひょっとしたら原因は、知識経済に乗れない人たちがいるから、ということなのかもしれない。先進国の経済がこういう人たちとどう接したらいいのか、私には妙案が浮かばない。いいアイディアがあれば教えてください。

P.S.

ちなみに、はてなでこの文章を読んでいるような人たちは皆すでに十分知的なので「知識経済に乗れない人たち」には該当しない。はてなブックマークでクダを巻いているような人たちもね。あと、あらかじめ言っておくと私は、「知識経済に乗れない」ような人たちの知り合いがあまりいない。だから無知と偏見はあるだろうと、思う。地方の進学校から、東京の某大学に行ったからであろう。そこらへんは、地方のダークサイドを知る、わが同志 id:KoshianX 氏のほうが見識が深いと思う。

hogehoge 2010/02/03 02:02 その通りだと思います。もう一つ、コミュニケーション力も必要なのかもしれません。単純な肉体労働が減って、小売とか介護とか、顧客と対面する仕事が増えています。口下手だったり、引っこみじあんだったりする人たちの、仕事が無いと言う側面がります。だから、ニートや引篭もりは働くことを怖がる。コミュニケーションを取るのが苦手だから。

先進国で、コミュニケーションスキルと、シンボル操作スキルが無い人は、働くことから排除されてしまうと言う問題がある。
昔は、土木とか、道路工事でそういう人達を吸収していたのでしょうね。

fugafuga 2010/02/03 02:56 その話は中学か高校で習いましたよ。

elm200elm200 2010/02/03 13:51 hoge さん

コミュニケーションスキル、確かに重要ですね。農場・鉱山・工場などでの労働が減った代わりに対人的な仕事が増えているというのはご指摘の通りです。これはコミュニケーションスキルというのは、学校の勉強で必要な頭脳とはちょっと違いますが、これも一種の「頭のよさ」と言えそうです。

一人で黙々と単純作業を繰り返す、みたいな仕事がどんどん減ってきているのかもしれません・・・そういう仕事が好きな人には、生きづらい社会なのかもしれません。

taku_ichimitaku_ichimi 2010/02/03 14:02 http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20081120
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20081121

あたりでしょうか?
ぜんぜん見当はずれであればすみません。

elm200elm200 2010/02/03 17:18 taku_ichimi さん

ありがとうございます。そうですね〜。ちきりんは(例によって)いいことを言ってますね〜。
たとえ給料は安くても仕事があるということが、人間としての尊厳をもって生活するには必須なので、もし今後、「非知識経済的」な仕事の単価が大きく下がった場合、こうしたひとたちは、ちきりんのいう「格安生活圏」で暮らすといいのかもしれないです。(というか、いまもすでにそうかもしれないですね・・・)

ベトナムなんかもちきりんのいうままですね・・・。スーパーマーケットは中流以上の人が行き、昔ながらの市場はそれ以外の人が行きます。スーパーのほうが割高なのですが、2つの別々のマーケットが成立しているようです。

tails_of_deviltails_of_devil 2010/02/03 23:51 はじめまして。
そのとおりですけど、先進国であれば仕方ないですね。単純労働は殆どなく、知的で付加価値の高い仕事が求められます。ただ、それほど高度な技術や知能を必要とせずとも既得権でそれなりの収入がある方たちがまだまだいるのも事実。いずれは淘汰されるでしょうけどね。
今後日本が先進国であり続ける気があるのなら、現在の状況ではなく、将来のことをもっと見据えて行動しないといけないでしょうね。

hagehage 2010/02/04 01:52 最低賃金を撤廃すれば国内でも生きていけるんじゃないんですか?
もし私がホームレスになってしまったら、時給400円でも働きたいですね。
ゴミ箱なんて漁りたくありません。
400円なら需要はかなりあると思います。
個人的にはめんどくさい部屋の掃除とか車の掃除やってもらいたいな。

hujihuji 2010/02/04 02:50 単純労働者が今、先進国で需要が減ってますが、これは最初の段階に過ぎないと思ってます。
いずれはホワイトカラーもそうなると思う。
お隣中国は世界の工場と言われてますが、いつまでもその地位でいるわけじゃありませんし。実際、技術を吸収し自社開発してる企業がたくさん生まれてます。
グローバル化の流れに逆らって鎖国すれば大丈夫ですが、経済持たないでしょうし、日本人だから高給といったこと自体がグローバル社会じゃおかしいわけで、どんどん是正されると思う。
日本は今後格差拡大していくと思いますが、低所得者向けのマーケットも自然にできてベトナムなど海外に出て行かなくとも十分暮らせるようになるんじゃないかな。

民主党が最賃1000円を公約としてますが、これは1000円未満の労働需要を国内で調達させないってことですから、失業者を大量に作り出します。それを税金で支える。
これは最初のうちは機能してもアジアとの賃金差の平均化が進むにつれて支えられなくなるでしょう。「知識経済に乗れない人たち」は今は小さいですが日本でもそこそこの規模になるんじゃないかな。

another botanother bot 2010/02/04 18:32 私には「知識経済」や「高付加価値」という言葉はまやかしのようにみえてなりません。
大多数の人はレールの上を歩んで生活しているだけで、ホワイトカラーだろうがブルーカラーだろうが同じです。日本(先進国)とベトナム(途上国)を比べても割合や規模が違うだけで
ライフスタイルに本質的にそれほど違いがあるでしょうか?

もちろん、レールからはずれて生活している人もいるため、そのなかの一部の人を
奨励するために「知識経済」や「高付加価値」といった言葉が作られたのかもしれません。

レールを作る人、レールの上を歩む人、またはレールからはずれて身動きできない人の3つに分類すると分かりやすいかもしれません。

elm200elm200 2010/02/04 19:47 another bot さん

コメントありがとうございます。
確かに大多数の人たちは「レールの上を歩いている」のは確かですね。
レールから外れている人たちが占める割合も、どの社会も似たり寄ったりかもしれません。

例によって私のブログは常に印象論なので(笑)感覚が違っていたらもうそれで仕方ないのですけど、
another bot さんは日本で身体だけを使ってやれる仕事が減っている気がしませんか?

以前は農場や工場がそういう仕事をたくさん生み出してくれました。昔、アルバイトでやった工場の仕事なんて、それはそれは退屈でしたよ(私にとって)。だけど、だんだんそういう仕事が少なくなっている気がします。いままでそういう仕事をよろこんでやっていた人たちは、これからどうなるんだろうなあ・・・というのがこのエントリの趣旨です。

another botanother bot 2010/02/04 21:04 elm200さん、

私は普遍論を好む傾向があるので、elm200さんの趣向とずれるのかもしれません。

以前、TVで経済学者の榊原英資が「これからの日本は製造業じゃなく、サービスでやっていかなくてはいけない」と言っていましたが、「そのサービスってなにを指してるの」というのが私の感想でした。

私のつたない知識を使えば、経済的価値は土地と労働によって成り立つものなのだから、製造業が重要なことに変わりはないと思います。ただそれは現在、農場や工場の仕事が減っていることとはまた別の話でしょう。そういった仕事は給料が下げられ、それに従事する人は細々とやっていくしかないでしょう。といっても価格では海外にすぐに負けてしまいます。このあたりは上でもすでに述べられていますね。私には答えようがありません。

snowbeessnowbees 2010/02/05 10:25 <アメリカの雇用対策がヒントになる>
1)イラクへの派兵。(戦争=公共事業)イラクの平和化を先導するはずのアメリカ軍は、平凡で素人っぽく、装備も悪く、訓練もきちんとされていない。イラク派遣部隊は、半分は*星条旗の下で参戦すれば帰化手続きが早まるのを見込んだ非アメリカ人で構成されている。もっとも難しい任務、たとえば政府施設やアメリカ大使館の警護は、民間警備会社が雇った傭兵がしている。これで本当に近代の帝国軍隊なのか……? *残り半分は、高卒などスキルがない、いわゆる「プータロー」が多いと。
2)国勢調査の調査員X250万人。(2010年度)
3)景気刺激策。エコ住宅の建設と維持管理など。道路建設。高速鉄道の建設。エコカー産業の助成など。
4)アメリカの産業別GDPシェア:
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081014/104522/?P=2
5)ところで、榊原、野口などの学者、評論家は、企業や事業経験が無いので、問題の分析だけで、「処方箋」がないか、貧弱である。したがい、最近は、彼らの記事を読むのは、時間と経費の無駄と決めた。

snowbeessnowbees 2010/02/06 07:31 訂正:
>2)国勢調査の調査員X250万人。(2010年度)

+失業率は、800,000人の国勢調査労働者が採用され10%われとなる。それ以外は雇用成長はゼロ。国勢調査員と政府採用を除くと雇用の伸びはマイナス。(出典:2010年に何が起きる)

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