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2010-02-27

アメリカの組織から日本の社畜問題について考える


現代日本の最大の社会問題は、滅私奉公転職困難というこの社畜問題かもしれない。これさえ解決すれば、たとえ経済がよくならなくても、日本人はもっと幸せになれる気がする。(ついでに経済もよくなるような気がする)

いい加減、負の連鎖を断ち切れよ | おごちゃんの雑文

日本の社畜文化とは、ほぼ正反対のアメリカの企業社会。日本の社畜問題の解決のヒントが見つかるかもしれないと思って、今日はアメリカの組織あり方について考えてみた。

で、実際に海外で働くとどうなるか - Keep Crazy;shi3zの日記
はてなブックマーク - アメリカで働いたり住んだりするとこうなるのか?

この中で「アメリカではいかに従業員の首を切りやすいか」という話がでてくる。人種・性別・宗教を理由にした解雇はダメだけど、それ以外はたいていOKだと。さすがに上司の気分だけで、クビというのは少ないかもしれないが、上司の命令は絶対で、それに数回従わなかっただけでクビになる、というのは十分ありうると思う。

現に私もアメリカ企業の日本法人で働いていたとき、アメリカ人の上司と喧嘩してクビになった。私は彼の方針がどうしても納得いかなかったので、反論を繰り返していたところ、もう来なくていいと言い渡された。

ひどい話だと思うかもしれないが、考えてみると、この上司の上にも、さらに上司がいて同じことなのである。自分もまた首になる危険がある。実際、私がこの会社から追放されてしばらくしたころ、風の便りで、この上司は成果が出せずに更迭されたという話を聞いた。アメリカの会社は何事もやることが素早い。

アメリカである地位に就くというのは、極端にいえば、自分の部署という中小企業の社長になるようなものである。絶大な権限が与えられると同時に重い責任も負う。自分の部下を、まるで仕事机でも購入するように、自分の権限で雇うことができる代わり、成果が出なければ自分自身がすぐに左遷されたり解雇されたりする。

アメリカの組織では上下関係は非常に重要である。部下は常に上司の意向を考えながら仕事をする。仕事の切り分けはすべて上司が行うので、同僚との関係はそれほど重要ではない。性格の悪い上司をもった部下というのは悲惨である。日本の組織とちがって、上司の命令は軍隊的な意味で絶対服従なので、本当につらいのだ。逆によい上司をもった部下は幸せである。そのためカルガモの親子たちのように、上司が転職するタイミングで、部下たちも一緒に他の会社に移るという話をときどき耳にする。部下たちにとっては、会社自体よりそのよい上司のほうが重要なのだ。

こう見るとアメリカもなかなかシンドイ社会だ。しかし「仕事をする」という組織の本来の目的に忠実である、ともいえる。こうした組織では「間違ったこと」は長く続かない。あるマネージャー A が恣意的に部下を解雇していれば、A の上司 B は、A が無能であると判断して、A を更迭するだろう。仮に A が B におべっかを使って更迭を逃れたら、こんどは B の上司 C が B を問題視する、という具合に。そうやって組織の上へ上へ問題が送られていき、社長が問題を処理できなければ、株主によって追放される。株主が行動を起こさなければ、会社の経営が傾いて会社が市場から追放される・・・というわけだ。

日本の場合は、上司は査定は行っても人事権を持っているということがほとんどない(人事権は人事部にあり中央集権的に制御されている)。上司は部下たちに仕事を丸投げすることも多く、細かい役割分担は数人の部下が話し合って決める。アメリカに比べると部下の力が強いから上司に反論したり言うことを聞かなかったりすることもある。あるいは、組織図上の上司の他に、実質上の上司とでも言える他の実力者がいたりすることもある。そういうわけで、上司一人では何も決められないこともよくある。日本のシステム開発者を悩ませる「誰が責任者かわからない」問題である。

アメリカに比べると、上司が本来判断すべき事柄(仕事の分担等)の判断が部下に委譲されている。そのために最末端の労働者たちが「自分は仕事を任されている」と感じて経営者視点で働くことが多い。これはいいのか悪いのかにわかに判断しずらい部分がある。主観的にはやりがいを感じているのはいいのだけれども、実際には権限も情報も与えられていないし、給料も安い。意地悪く言ってしまえば、「騙されて搾取されている」と言えなくもない。

ちょっと考察が途中になってしまったけど、今日はこれくらいにしておく。日本でなぜ社畜が生まれやすいのか?転職がしにくいのか?解雇がしずらいのか?どうしたら変わっていけるのか?今後もしつこく考え続けていくつもりだ。

KKMMKKMM 2010/02/28 13:34 日本の場合、転職すると収入が下がる確率のほうが大です。
また、人事担当者は、3回以上、転職した人間は採用しません。

というわけで、社畜が、合理的処世術になります。

ジョンジョン 2010/02/28 15:29 はじめまして。たいへん興味深くご意見拝見させていただきました。
Harrison Bergeron (1995)という映画をご存知でしょうか?elm200さんのブログでの主張を肯定的に代弁してくれるたいへん興味深い映画だと思いましたので、お知らせまでに。
ちなみに、いろいろ探してみたのですが、どうやら日本ではこの映画が配給されていないらしく、残念ながらすべて英語での視聴になります。
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=-175006468841636088&hl=ja#

nanasinanasi 2010/02/28 15:44 KKMMさんの言う様に、これは「正社員が特権階級」である為だと思うよ。
「正社員を辞めさせられたら特権が剥奪される」と思うから正社員はNOと言えないんだよ。
これって雇用流動性(辞めても待遇が変わらない仕事が見つかるか)の問題だろ。
結局自分の身分保障を考えた正社員や組合が自らの首を締めてるんだよ。

takumi_yoshiokatakumi_yoshioka 2010/02/28 15:56 まさに!激しく同意します。日本の元凶は、そこにあります。しかし、それを正すのは容易ではありませんね。

はてなからきましたはてなからきました 2010/02/28 16:11 >それを正すのは容易ではありませんね。
物事をよくしようという考えがあると
こんな風にすぐにいう人がたくさんいます。
悪い癖だと思います。
予言の自己成就みたいなもので、一見してわからないものの、その実、邪魔をしているように感じます。
自戒もこめて書きました。

通りすがり通りすがり 2010/02/28 20:42 っていうかですね、
日本の社蓄問題は日本人の人間性の問題でもあると思うんですよ。
そこから改めない限り、こんなの解決できっこありませんよね。
ゆとり世代以降の人間に掛けるしかない。

apollo440apollo440 2010/02/28 21:15 >現代日本の最大の社会問題は、滅私奉公・転職困難というこの社畜問題かもしれない。
>これさえ解決すれば、たとえ経済がよくならなくても、
>日本人はもっと幸せになれる気がする。(ついでに経済もよくなるような気がする)

まず、入り口が正しいのかがわからない。
それ以降の主張・考察をどう判断すればよいのだろう。

charlestonbluecharlestonblue 2010/02/28 22:24 「滅私奉公・転職困難というこの社畜問題」が日本の問題かわからないですが、日本は中間層が力をふるえる構造になっているのです。ブログを書いているエリート層からすれば、何中途半端やってるという感じですが、日本は少なくとも欧米のようにエリート社会ではないといいうことでしょう。普通の勤め人である中間層は、欧米では冷遇されているように思うのは勘違いかな。

takumi_yoshiokatakumi_yoshioka 2010/03/01 06:37 >物事をよくしようという考えがあると
こんな風にすぐにいう人がたくさんいます。
悪い癖だと思います。

僕がこう言う理由は、別に、それによって物事の成就の困難さを正当化するための理由ではありません。現実を理解したうえでの、困難さを述べてるだけなのです。

日本人が考えている、あらゆる問題の根源は、日本人自身の”チキン性格”にあると僕は考えています。そのため、決して自身が最初に行動して、そのリスクをとろうとはしないのです。LAでビジネスを行ってるので、わかるのですが、リスクをとることはたやすいことではありませんが、その覚悟なくして何も成就できません。

とるべきときは、取らざるを得ないのです。だめになれば、やり直せばいいのです。自身の考えが間違ってるかもしれません、しかし、大切なのはそれに責任をもつことだと思っています。Straightforward という言葉がありますが、それを信じてまっすぐ突き進むことです。信じてることを、主張することです。

これを日本人は行いません。故に僕は、困難だと思うのです。

しかし、時間が解決するとも思っています。ラフな言い方ですが、世代が変われば、すべてが変わるでしょう。

個人的な意見ですが、若い世代は、今までの世代と異なり、人生のリアルな幸せを求めているように見えます。物欲、金銭欲、出世欲などにこだわらない。それが、農業などに興味を持ったりする形で現れてると感じています。

そこには、すでにチキン性格の問題さえ関係ないのです。

少なくとも、社畜問題は、時間とともにそのように解消されていくだろう、と思っています。それに抗いながら解決されるのではなく、時間ともに、自然解消されていくでしょう。

ototakeototake 2010/03/01 17:39 社畜発生の原因は、精神論よりもやはり制度論に求められると思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E7%A4%BE%E5%93%A1%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%9B%87%E8%A6%8F%E5%88%B6%E7%B7%A9%E5%92%8C%E8%AB%96

企業人事を担当してみて痛切に感じるようになりました。
自分の現在勤めている会社も含めて、この不況下でも人材不足の企業は結構あります。
しかし、雇用リスクを恐れ、どうしても残業を増やす形になってしまう。
これでは、「ワークライフバランス」の実現など、夢のまた夢です。
派遣切り騒動などの影響でしょうか、「社畜型人間」がますます増えている、というのが実感としてあります。

ototakeototake 2010/03/01 17:59 私はオーストラリア企業での勤務経験があります。
上司に採用理由を尋ねると、「君は日本人にしては背が大きいからだよ」と言われました(半分冗談だとは思いますが)。
「こいつはどこか見所がありそうだから、ためしに雇ってみるか」、これがほぼ不可能ですね、日本は。

another botanother bot 2010/03/01 21:25 以下エントリのコメントを引用させてください。
「日本の製造業の労働生産性は低いのか」http://remote.seesaa.net/article/142115977.html

>同じ仕事(売上)に対し、日本は例えば5人で行い、アメリカは3人で行うとする。日本がアメリカと同様の給料を一人ひとりに渡そうとすると労務費が上がってしまう。そこで日本では基本給(時給)を下げてアメリカと同水準の労務費を保とうとする。しかし、実際には一人ひとりがアメリカと同じか、それ以上の時間働く為、労務費は思ったほど下がらない。そして会社の利益はその分減る。日米の利益の差は役員の報酬や株主の取り分の差として表れる。日本は仕事毎の労働人数が多い分、「生産性」は下がり、基本給が低い分だけ、労働時間は増える。労働時間が多い分、「社畜」が増える。

つまり、日本企業は「みんなで仲良くやっていこうよ」が受け入れられる人にはもってこいで、その結果として失業率が下がりますが、一人ひとりの時間毎の給料の低下と長時間労働がついてきます。反対に、「少人数で効率的に仕事をしようよ」という人が増えると失業率は上がりますが、労働生産性も上がります。結局、「社畜」を減らすには、この労働生産性を上げるか、「ワークシェアリング」の名のもとに労働時間を減らすことが対策となると考えます。

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