検索はお百度:「百度」(Baidu、バイドゥ)の由来

知ってる人も多いと思うが、

インターネットのサービスの中で中国で最大、世界で第4位(Alexaのデータによる)の訪問者数を誇る「百度」(Baidu、バイドゥ)が、2007年に日本語版サービスを開始するという。
CNET Japan2006/12/06「日本進出が決まった中国最大の検索サービス「百度」の実態」
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20337724,00.htm?tag=nl

私がこのインタビュー記事で非常に興味深かった、しばらくあれこれ連想してしまったのは、インタビューに答えるバイドゥの会長兼CEOであるロビン・リー(Robin Li)さんが、「百度」(Baidu、バイドゥ)という命名の由来について語った部分だった。

バイドゥは、中国語の漢字で「百度」と書きます。それは100回という意味で、中国古来の詩に由来します。大切なものを探すときに、100回ぐらいいろいろな場所を探しますが、意外な場所から発見をするということだそうです。

中国の人たちは「大切なものを探すときに、100回ぐらいいろいろな場所を探し」、しかも「意外な場所から発見をする」という貴重な経験則を現代にまでちゃんと継承しているのかなと感心したと同時に、そういう意味のこもった「百度」を検索エンジンの名前にしたところに、私は「検索」に関する非常に深い認識すら感じた。そして刹那に「百度参り」、「お百度」を連想した。何かを感じて、グーグルで検索してみたら、面白い記述を二つ見つけた。面白いと感じたのは、まるで「検索」について語っているように思えたからである。

百度参りは、願いを叶えてもらおうとする仏さまや神さまに、100回お参りして祈願することです。同じ願い事で、100回を1セットとして何回も繰り返す場合もあります。平安時代の末頃から始まったと言われています。回数を重ねることで仏さまと顔なじみになり、信仰心の篤さと願いの切実さを訴えてご加護を得る、という考え方です。これから発展して、交渉事などでも「お百度参り」とか「お百度を踏む」という表現が使われます。

しかし、回数を重ねることは、本来別のところに意味があります。まず、回を重ねることによって、無駄がなくなり洗練されます。お参りは雑念を持たずに、一心に祈ることが大切です。回を重ねればすぐに精神統一することが上手になるでしょう。また、回を重ねることで今まで気づかなかったことに気づきます。お百度は修行の一形態なのです。したがって、単に回数をこなせば良いのではなく、一回を大切に参拝しなければなりません。
「お百度参り・百度石」http://www.tctv.ne.jp/tobifudo/newmon/kigan/hyakudo.html

この説明を、「検索は、検索エンジン(Google、Yahoo、Baidu)さまに、100回入力して祈願することです」のように私は読んでいた。自分が何を探しているのかをはっきりさせることからはじまり、お目当ての情報にたどりつくことまで、「検索」の幅は非常に広いが、どんな検索も「あちら側」にいて姿の見えない神様(検索エンジン)頼み、一種の祈願のようなところがあるから。

また、回を重ねることは、ひとつには、「無駄」がなくなり「洗練され」る、つまり「精神統一」力の向上につながり、もうひとつには、「今まで気づかなかったことに気づ」けるようになるという箇所では、検索という未だにお手軽な機械的な操作としかみられていない節のある行為が持つ本当の意義について書かれているような気がした。だから、私は思わず、検索とは精神修行の一形態であり、単に回数をこなせば良いのではなく、一回を大切にしなければならない。しかしながら、やはり百度は入力する覚悟で臨まなければ、願いは叶わない、などと読み替えていた。

また、次のWikipediaの「百度参り」の記述では、検索に関するより高度なアナロジーに誘われて、笑ってしまった。

百度参りの方法は、社寺の入口から拝殿・本堂まで行って参拝し、また社寺の入口まで戻るということを百度繰り返す。俗にこれを「お百度を踏む」という。社寺の入口近くに、その目標となる「百度石」という石柱が立てられていることがある。回数を間違えないように、小石やこより、竹串などを百個用意しておいて参拝のたびに拝殿・本堂に1個ずつ置いたり、百度石に備えつけられているそろばん状のもので数を数えたりする。

百度参りは人に見られないように行うとか、裸足で行った方がより効果があるなどとも言われる。

検索エンジンを作ることは、現代の神様か仏様を作ることにも等しいのだと再認識した。久しぶりに、中国から神様か仏様がやってくる。しかし、検索エンジンという現代の神様か仏様の本当の姿はまだちゃんと見えない。


現在の「百度」のインターフェース。グーグルに似ている。「MP3」検索ができるのが目立つけど、著作権処理大丈夫かと思った。日本語版では修正されるのかな。