雪殻塚snow shell mounds

昨日の大雪による「喧騒」が嘘のように静まり返った朝。除雪と排雪が一段落し、町がホッと一息ついた。綿毛のような雪が無風のなかゆっくりゆっくり舞い落ちて来る。

原生林のフェンスに寄せられた雪の壁は場所によっては2mを超える。その下から30cmくらいまではすでに氷になっている。

綿毛のような雪がはらはらと落ちて来るせいで大気の状態が変化するのか、数百m先を行く三人組の声がときどき急に大きく耳元に届いて、びっくりする。

今朝はカラスもスズメもジュウシマツの声も聞こえなかった。そのかわり、山鳩の甲高く震える声があちらこちらから聞こえた。見上げるとたくさん(10羽以上)の山鳩が飛び交い、一本の樹に集まった。その瞬間を撮った。見分け難いが、10羽写っている。

主要な道路はアスファルトが透けて見えるくらいまできれいに除雪される。



アスファルトに接していた雪は氷になっているので、その掻かれた氷が牡蠣の貝殻が積み上げられたかのような貝塚に見える。雪(氷)殻塚。

大きめの公園内の丘でソリ滑りに興じる保育園児たち。黄色い歓声が響き渡っていた。

How Are You Doing Tonight?:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、39日目。


Day 39: Jonas Mekas

Thursday February. 8th, 2007 7 min. 15 sec.

How Are You Doing
Tonight ? I sing
with Himalayas at
Zebulon, Brooklyn

今宵は
ご機嫌いかがかな?
私は歌うよ
ヒマラヤズ
ブルックリンのゼブロン

80歳を超えてなお、いよいよ、新しい友を作り、女性を大切にし、音楽とダンスとワイン(酒)を愛すること、というポリシーを気合いを入れて実践しているかに見えるジョナス・メカス。どれひとつ欠けてもいけない。もちろん、溺れ過ぎてもいけない。私にはすべてが欠けている。一人で生きて行ける、音楽なんて要らない、と嘯(うそぶ)いてみたり、酒は弱いくせに深酒してみたり、踊りは奄美以来踊っていない、どれもこれも不合格だ。深く反省している。が、なかなかどうにもならない。

専門的な知識や技術を習得したり、仕事をこなしたり、思想を深めたりすることと同じくらい、友を作り、女性を大切にし、音楽とダンスと酒を愛することができなければ、一人前ではない、というメカスの声が聞こえる気がする。実は前者の深い目的は後者にこそある、と。ワーカホリックよろしく、仕事漬け、インターネット漬けの毎日を送るだけの生活をしているようでは野暮ったいったら、ありゃしない。たまには、経済と情報の輪から抜け出して、さあ、一緒に歌おう!ところで、お前にはこころおきなく一緒に歌える友はいるか?

あと30年生きられたとしても、私がメカスの域に到達できるかどうかははなはだ心もとない。

翻って、彼、メカスはそうする自分と「連動した」カメラを実は孤独に回しつづけている。それは人生の機械的な記録ではない。幸福な時間を過ごしている「自分+カメラ」が見る世界の記録である。幸福な時間=記憶も現実には失われ、奪われていく。それはフィルムに定着され、誰かに見られることの中でかろうじて継承されて生きながらえることしかできない。