Raha Raissnia: seeing sounds and hearing shapes:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、10月23日、296日目。


Day 296: Jonas Mekas
Tuesday, October 23rd, 2007
7:24 min.

Raha Raissnia
and Dalius Naujo,
film performance

ラハ・ラスニア(1968-)
ダリウス・ナウージョによる
フィルム・パフォーマンス

大きな作業机の上で若い女性が長大なフィルムを相手に「格闘」している。メカスのナレーションが入る。「ラハはフィルムを切ったり、編集したり、作ったり、貼ったり、スライスしたりしている」。メカスはラハの手作業を感心しながら観察する。フィルムの一コマ一コマに彩色したり、何か手を加えているようだ。

照明が落ちた会場で、出来上がったばかりの「フィルム作品」の上映会が始まる。ラハはフィルムを少しずつ手動でプロジェクターに通してスクリーンに映写する。傍ではナウージョによる即興的かつ実験的な演奏が始まる。

このパフォーマンスは2004年6月5日にニューヨークのThomas Erben Galleryで行われた"Raha Raissnia: Epitaphios - Paintings, Works on Paper, and Painted Films" である。

ラハはイランのテヘラン出身の画家。1979年のイスラム革命後の、そして1980年からのイラン・イラク戦争下の故国に絶望した彼女は83年に合衆国に移住した。最初は兄の住むテキサスに、その後現在にいたるまでニューヨークのブルックリンに住み創作活動を続けている。生々しい印象を与えるグラファイトの抽象画で知られる彼女は、アーロン・ヤッサン(Aaron Yassin)による2004年のインタビューによれば、2003年から「システム」と名付けたプロジェクトを開始した。それは描く行為としては完結する絵画を音楽家とのオープン・エンドな共同作業(open-ended collaboration)に拡張するパフォーマンスである。「システム」というのは、絵を描くことがひとつのシステムだとすれば、音楽を作る、演奏することはもうひとつのシステムであり、それら異なるシステムが同時に働くことによって展開する新たな世界にラハは強い興味があるという。彼女は音を見る、形を聴くことについてずっと考えてきたともいう。なお、ウェブ上にラハに関する日本語情報は存在しない。