2010年03月09日
memorial filming
映画 |
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昨日、メカスから新サイト(http://jonasmekasfilms.com/)開設の知らせを受けた。最初の映像日記「Friends! Welcome!」では、87歳にして、エキサイティング!と繰り返し、年季の入ったトランペットで「再開」の音の狼煙を挙げるパワーには恐れ入った。時差の関係で昨日の日付になるが、第二弾の映像日記がアップされた。次のようなキャプション付きで。
Yesterday, Brooklyn,
after the prayer
at the Buddhist temple
for Raimund
知らなかった、、。メカスの友人の一人で、「365日映画」にも何度も登場した1933年生まれのオーストリア出身の建築家ライムント(Raimund Abraham)が3月4日に交通事故で亡くなったのだ。3月8日、メカス一行は祈祷旗(Prayer flags)が風にはためくブルックリンのチベット仏教寺で故人を偲ぶ。息子のセバスチャン、そして懐かしいPhong Buiの姿も見える。
香りのよいレンタカンバ(a sweet-scented black-birch)?
山田正雄さんのソローに関するある論文には、「ウォルデン池畔でソローが観察した哺乳類、爬虫類、植物、魚類、鳥類、昆虫類の名称一覧リスト」が掲載されている。それによれば、『ウォールデン、森の生活』に登場する植物類は72種、鳥類は60種、哺乳類・爬虫類・魚介類は56種にのぼる。ソローの細かい観察は『ウォールデン』だけではなく、例えば、『メインの森』でも発揮されていて、ソロー自身がまとめた「一覧表」には、樹木は23種、小さな木々と灌木は38種、小さな灌木と草本植物は145種、より下等な種類のもの9種、野鳥は40種、四足獣は8種、が記録されている。したがって、ソローの自然に関わる著作を読む時には、登場する動植物名を片っ端から調べるという面倒ながらも楽しい作業が同時進行する。時にはすっかりそちらに迷い込んでしまい、その日の内に本文に戻らないこともある。ちなみに、『コッド岬』は幸いなことに荒涼たる岬、海岸が舞台であり、登場する動植物は見知ったものに限られている。
たとえば、『ウォールデン』において、ソローがあるアイルランド人の森の先住者の記憶と住居跡の様子について語る次のような場面にはわずか数行に馴染みのるあるものから見知らぬものまで8種の植物が登場する。それらの植物を知らなければ、この場面を生き生きと思い描くことはできない。
日あたりのいい草地には、ストロベリー、ラズベリー、キイチゴ、ハシバミの茂み、ウルシなどが生えており、かつての暖房の隅には、リギダマツか節くれ立ったオークの木が生え、香りのよいレンタカンバらしい木が、敷居石のあったあたりで風にゆれている。(岩波文庫版『ウォールデン』下巻164頁)
この箇所で私は「香りのよいレンタカンバ」にひっかかった。「レンタカンバ」? どんなカンバ(カバノキ)だ? 「レンタ」って何? そして何より、どんな「香り」なんだ? 「香りのよいレンタカンバ」は原文では‘a sweet-scented black-birch’ である。ブラックバーチ、黒い樺の木か。それにしても、どんな香りなんだろう? その前に学名は ‘Betula lenta’ であることが分かった。ここに「レンタ(lenta)」があった。lentaは「堅い」を意味する種小名として使われている。Betula [ベトゥラ] はカバノキ、Birchを意味する属名である。ベトゥラ・レンタで堅い樺の木という意味だった。しかし「堅いカンバ」では様にならないので、「レンタカンバ」が使われたのだろう。
しかし、少なくもとウェブ上には「レンタカンバ」という植物名に直接関係する日本語情報は存在しない。唯一、深沢和三さんのカナダの森林と樹木に関する論文のなかに、括弧付けで登場するだけである。
チェリーバーチ(レンタカンバ)はスイートバーチまたはブラックバーチとも呼ばれる。樹皮が茶褐色から黒で、小枝を折るとよい香りがする。ウインターグリーンという精油のためである。
日本語名としては「レンタカンバ」よりも「アメリカミズメ」の方がよく使われているようだ。「ミズメ」は「カバノキ」の異名で、ミズメ(水芽)は,枝を傷付けると樹液が滴ることに由来するという。「ミズメ」からはアズサ,ヨグソミネバリ,アズサカンバなどの他の異名を次々と辿ることができるが、ここでは止めておく。
深沢さんの記述には「小枝を折るとよい香りがする。ウインターグリーンという精油のためである」という「香り」に関する貴重な情報も織り込まれていた。「ウインターグリーン」? 「精油」? 「ウインターグリーン」とは、シラカバから採れる基本精油(エッセンシャルオイル)の名称であり、主要成分のフェノール類のサリチル酸メチルが特有の芳香、あのサロメチールの香りをもつという。
森のなかでソローの鼻腔を刺激したレンタカンバの香りはサロメチールのような「香り」だったのだ。もちろん風に揺れるレンタカンバから漂ってきたのは仄かな自然な香りだったように思われるが。こうしてようやく150年余り前のソローの体験に嗅覚的に近づくことができた。だから、どうってこともないが、「レンタカンバ」や「香り」を浮遊する記号のままに読み進めるより、自然や感覚に繋ぎ止めながら読み進めた方が面白い。
参照
ヌルデの実(塩麩子)は強烈に酸っぱい
大内さんちのサクランボ(西洋実桜 / 桜桃, Wild cherry, Prunus avium)が丁寧に剪定されていた。捨てられるのを待つ枝を二本確保し、一本は杖代わりにして歩いているうちに、自然と腕が動きだし、指揮棒のように振りながら歩いていた。かなり怪しい。
もう一本はたんぽぽ公園のアジト跡に挿してきた。
向平さんちのチョウセンゴミシ(朝鮮五味子, Schisandra chinensis)の芽
エゾノコリンゴ(蝦夷小林檎, Manchurian Crab, Malus baccata var. mandshurica)
ズミ(酸実, Japanese flowering crab, Malus sieboldii Rehd.)、別名コリンゴ(小林檎)、マメサンナシ(豆山梨)、ミナリカイドウ(実成海棠)。
伐採中断されたプラタナス(紅葉葉鈴懸の木, London plane or Sycamore, Platanus acerifolia)
最近のコレクション(プラタナスの枝と実、ヌルデの実、サクランボの枝)。ヌルデの実は野鳥たちに食われる前に一房確保してあった。
ヒヨドリやシメが大好物のヌルデ(白膠木, Rhus javanica)の実を思い切って齧ってみた。強烈な酸味に舌が痺れた。ちなみに、ヌルデの実は生薬名を塩麩子(えんふし)といい、古来下痢や咳に用いられてきた。
参照


















小説の中に出てくるのですね。私はアロマの勉強で、ベトゥラ・レンタがカバノキ(バーチ)の学名だそうで。
文章内に出てくるウィンターグリーンは、ツツジ科のものなので、カバノキとは違う種類です。香りは確かにちょっと似ていますが、成分がかなり似ているので(サリチルメチル酸)間違えやすいかもしれません。
ウィンターグリーン昔はシラカバ、最近はヒメコウジ(ツツジ科)をはじめ、シャクナゲ(Gaultheria fragantissima)からもとるようですね。