雨樋の滝



以前暮らしておりました家は、郊外の一戸建て。ある晴れた日、ベランダで洗濯物を干しておりますと、屋根の下の部分にきらきらと光が反射しているのに気付きまして。どうやら、屋根の軒の部分をぐるりと取り囲むように設置された雨樋に水が溜まってしまっているよう。雨水が流れ落ちるべきパイプが、落ち葉などで詰まってしまったのでしょう。これは何とかいたしませんと。
早速、庭に出まして屋根を見上げ、軒樋とパイプの接合部分を探し、長い梯子を掛け、手に細い棒を持ち、慎重に梯子を上がり、屋根の上に手を伸ばし、この辺りかしら?と目星を付け、棒で接合部分を数回突ついてみた、その時。ゴボ…ゴボゴボ、シャーッと水の流れる音がし始めたと思いましたら、ザーッ、ゴゴゴゴーッと、恐ろしいような音と共に、突如我が家に華厳の滝が出現?!うわー、いったい何が起こったの、と屋根の下で梯子にしがみつく私の背中を掠めるように、細いパイプでは処理しきれず、しかも勢いがついてしまった水が轟轟と流れ落ちているのです。もう少し、外側に梯子を掛けておりましたら、滝に打たれて荒行に耐える修行僧状態だったかと。落ち葉たっぷりの泥水を頭から被らずに済みましたのは幸いでした。雨樋のお掃除の際には、どうかご注意を。春の嵐で思い出しました、雨樋のお話。