OpenBSDの資金難についての雑感

OpenBSDプロジェクトが資金難に陥っているようだ。

本の虫: OpenBSDが資金難で開発停止の危機
http://cpplover.blogspot.jp/2014/01/openbsd.html

OpenBSDプロジェクトのリーダーであるテオさん(Theo de raadt)は、パピープロジェクトのバリーさんに何となく似ている(バリーさんを20倍くらい性格悪くした感じ)。それで、長年なんとなくウォッチしてきたんだが色々思うところがある。

まず、OpenBSDは非常に寄付しにくい体制だった、ということが挙げられる。これまでOpenBSDに金銭的に貢献しようと思えば、テオさんに個人名義で送金するかプロダクト(CDとかTシャツとか)を購入するしか実質的な方法がなかった。
これは何度か議論になったが、テオさんもその度に「それがどうした文句があるか」的にやり過ごしてたし、他の開発者もそれをよしとする風土があった。そういう態度は、僕は個人的には大好きなんだが、現実的に考えるとちょっと厳しいものがある。

プロジェクトの資金がいろいろなことに支払われる、[....]時にはビール代にも。ビールはアイディアに化け、アイディアは新しいコードに化ける。

と、テオさんは古いインタビューで述べておられる。大変よい態度だ。

それから、開発体制が独裁的で偏執的ということもある。これもちょっとパピーに似ている。かつてバリーさんが自らの開発体制を
「結局のところは、私がPuppyで次に何をするべきかについて決めるという事です。委員会なし、取り巻きグループなしです。あなたは私に忠告するかもしれません。しかし、私にはあなたが言う事や期待する事に何もする義務がありません。あなたは私が何かバカな事をしたと思うならば、やれやれ、おあいにくさま。」
と言ったことがあるが、OpenBSDもだいたい似たようなものだ(技術的なレベルは全然違うが)。OpenBSDは計算機業界にとってかなり重要な成果物を幾つも開発してきたが、リーダー(と主要開発陣と信者)が偏執的で偏愛的なんで、ちょっと過小評価されてる向きがある。

最近はOpenBSD Foundationというものができ、OpenBSDプロジェクトもだいぶ「社会化」しているようだ。
http://www.openbsdfoundation.org
しかし寄付金、少ねぇな。これはカナダドル換算なんだろうか。

During 2013 The Foundation received $30,983 in new donations and received $32,000 in donations from the Old OpenBSD Paypal for a total of $62,983 in revenue.
During 2013 the Foundation paid out $54,873 to support it's activities.

かつては、アンドロイドのCライブラリにはOpenBSD由来のコードがかなり使用されていた。最近はどうなんだろうか。
どこか大口の寄付をしてやろうというベンダーはいないんだろうか。
OpenBSDがストップすると、(技術的にもライセンス的にも)困る人が沢山でてくるような気がするんだが。

P.S 1
河豚板というOpenBSDのフォークがあって、これはパピーのコンセプトにかなり近い。

P.S 2
パピーでは直接のOpenBSD由来のコードは殆ど使用されていないと思う。libbsdくらいか。