Hatena::ブログ(Diary)

エナメル異端審問

2018.02.12

[][]差別日本人

野中広務と辛淑玉の対談。

部落差別を受けてきた野中さんの話を中心に、日本における差別の話。基本的に辛さんが日本を叩きたいだけのようにも思える。

部落差別というのは関東ではあまり馴染みがないけども、確かに存在した話であって風化しないよう努めるのは良いのだが、差別そのものは無くしたほうがいいわけだからわざわざ掘り起こしてこれが差別だー!と騒ぎ立てるのはいかがなものかと。その点で野中さんは大事なのは今後という点を強調されていたので好印象。

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

2018.01.31

[]黄昏彼女たち

サラ・ウォーターズ長編小説

1922年ロンドン近郊。戦争で男手を喪い、母とふたりで暮らすフランシスは、生計のため広すぎる屋敷下宿人を置くことにする。広告に応じたのは若い夫婦レナードリリアンバーバー夫妻だった。家の中に他人がいる生活に慣れないフランシスだが、ふとしたきっかけからリリアンと交流を深めていく。

以上amazonより粗筋抜粋

『荊の城』『半身』で二連勝、『エアーズ家の没落』で一分けという印象のサラ・ウォーターズだったが、今回も負けに限りなく近い引き分けで、通算二勝二分け。鬱鬱とした雰囲気は良いが今回は百合要素が強く、終盤のちゃぶ台返しも弱かったのが私には合わなかった。思い返してみれば過去の良かった二作品にも百合要素はあったので、そもそもこれは著者作品の重要な要素だったのである。それがドカンと前に出てきた今回の作品で、今更ながら気がついた次第である。自分では百合要素も気にならないつもりでいたが、生生しいのは苦手らしい。

また作品の転回点となるリリアンの告白は読者の受け止め方により何とも解釈できるもので、この曖昧さがインパクトに欠ける点ではあるが同時に物語を複雑にしていて良い点でもあるかもしれない。だから受け取り方によってはやっぱり傑作と感じる人もいるんではないかな。著者の別の作品『夜愁』も読んでみようか悩むところである。

2017.12.31

[]2017年のまとめ

f:id:enamel:20171225085642j:image

あっという間に2017年も終わってしまいましたなあ。いろいろあった2017年。

遺体搬送をした。

いきなりです。棺を作ったり日本と連絡したり、私たちも大変でしたが、亡くなった方もご遺族はそれ以上に大変だったと思います。ご冥福をお祈りします

●すえまつ君と二人だけで3か月、お店を回した。

経理担当まさか任期短縮。ピエロになりたいそうです。これにより日本人スタッフはすえまつくんと私の二人になった。よく頑張ったなというか、結構いけるなというか、そんな感触

テレビ局取材をいろいろ手伝った。

これも仕事の話。今年はなぜかテレビ局の取材がよく来た。飛行機飛ばしたり大統領にインタビューしたり。無茶振りも多いが、狭い国なのでなんとかなってしまうことが多いのは、手配する側にとってはありがたいことです。

それ以外にも商用で来る方が多かったような気もする。今後の仕事に期待。

祖母が亡くなった。

一時帰国の時に祖母が危篤になり、私がこっちに戻ってから亡くなった。91歳なので医者文句も言えないし、亡くなる前に何度もお見舞いには行けたので、海外にばかりいる身としてはそれでも良かったとは思うのだけども、やはりお葬式に行けないというのは気持ちの踏ん切りがつかないものです。

●在留邦人長期滞在ランキングが上がった。

私より長くこちらにいた邦人の方が立て続けに二人も帰国してしまい、これで在留邦人長期滞在ランキングは4位に。

●新入社員が二人来て、すえまつ君が帰国した。

5月に一人、9月に一人、新入社員が入った。これで人員的に楽になったぞー、と思ったのも束の間、年末にはすえまつ君が帰国。契約半年くらい延長してくれたのでした。お疲れ様でした。

●冬にもこっそり一時帰国した。

「人員的に楽になったぞー」の直接的な効果として、冬にも一時帰国できるんじゃない?と思い立ち、10日間だけ帰国。中8日という厳しい日程ながら、スキーに行ったり温泉に入ったり河口湖に行ったりと、なかなか濃い内容でした。子供たちも日本の寒さに驚いてました。

他にもいろいろあったような気もするけども、いろいろ忙しかったということで、このブログ更新もだいぶ滞ったのでした。とりあえず年内に読んだ本、見た映画を下に列記。感想はまた覚えていたら書くかもしれないし書かないかもしれない。

2017年に買ったCDは1枚、読んだ本は33冊、見た映画は8本、でした。たぶん。

[]生産性

生産性を向上させよう、という話。

生産性はコストの削減と成果の増大により向上するが、スタッフ全員が意識することが必要である。特に管理職は生産性を向上させることで自分時間を増やすことができる。

その他著者のマッキンゼーでの経験による研修ノウハウ言語化、会議の達成目標ブランク資料等々の話は面白かった。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

[]忘れられた花園(上)(下)

ケイト・モートンの長編ミステリ

20世紀初めにオーストラリアの港に辿りついた少女の身元を探る話。過去現代錯綜しつつ明らかになる謎、というロバート・ゴダード彷彿とさせるゴシック・ミステリは私のストライクゾーンど真ん中らしく、一気に読んでしまった。オススメ

[]風がページをめくると

出久根達郎エッセイ

風がページをめくると (ちくま文庫)

風がページをめくると (ちくま文庫)

[][]哲学の謎

哲学の問題を哲学の初心者とそうでもない人の対話篇。

昔の本はこういうスタイルが多くあったと聞くので、著者もその真似をしたかったのだろう。対話という形は事実を並べられるよりも頭に入りやすいように思う。それが頭にしっかりと残るかといえばそれはそうでもないので、すっと入ってすっと出ていく、立食い蕎麦屋のような印象。

哲学の謎 (講談社現代新書)

哲学の謎 (講談社現代新書)

[]夜長姫と耳男

どこかで面白いという噂を耳にして、キンドルで見つけたので読んでみた。これなんていうサロメ?というのが感想。あれ、サロメって誰が書いたんだっけ。ワイルダー?それは大草原の小さな家?いやそれはローラ・インガルスか。ジーン・ワイルダー?それは羊に恋してしまう人か。ちなみにウィキペディアを見たら、ギルダ・ラドナーの3番目の夫だそうですよ。この情報は私以外で得する人がいるんだろうか?ワイルド?ワイルド・バンチ?まあとにかくサロメしか頭に浮かばなかった私はもう少し柔軟な頭を養うべきであると思った。

夜長姫と耳男

夜長姫と耳男

[]あなたの知らない千葉県の歴史

あなたの知らない千葉県の歴史 (歴史新書)

あなたの知らない千葉県の歴史 (歴史新書)

[]壊された夜に

アイランドホッピングを前に読む本がなくなるという窮地から逃れるために空港で買った本。長編サスペンス?

なんだかよくわからないけど命を狙われている女性が殺し屋にさらわれてアレー?という話。説明不足なまま転がりだす前半は面白かったが、後半から恋愛要素が増量されて、ぐったりさせられた。

[][][]教授のおかしな妄想殺人

監督脚本ウディ・アレン(2015 米)

出演:ホアキン・フェニックスエマ・ストーンほか

内容:実存危機に陥った教授が新しい生きがいを見つける。

[][]スターウォーズ/フォースの覚醒

監督J・J・エイブラムス(2015 米)

出演:ハリソン・フォードマーク・ハミルキャリー・フィッシャーほか

内容:ジェダイ復讐の30年後。

新しい主人公3人はレジスタンスポーと、元トゥルーパーのフィンと、ゴミ漁りのレイなんだが、ポーは登場時間が少ないので記憶に残らない(飛行機の中で4回くらい映画を見てやっと存在認識した)、フィンはいつも口開けて鼻の穴開いてハアハアいうだけ、頼みの綱であるレイも謎が多すぎて存在する理由希薄なような。まあそのあたりは続編で明らかになるんでしょう。というわけでこれはハン・ソロの映画です。

[][]家族はつらいよ2

監督脚本山田洋次(2017 日)

出演:橋爪功吉行和子西村正彦、夏川結衣中嶋朋子林家正蔵妻夫木聡蒼井優風吹ジュン小林稔侍ほか

内容:久しぶりに会った友達が死んだ。

家族はつらいよ2 豪華版(初回限定生産) [Blu-ray]

家族はつらいよ2 豪華版(初回限定生産) [Blu-ray]

2017.09.11

[][]世間とは何か

中年男性ってどうしてあんなに汚らしいのですか」という女子学生の問から始まる「世間」探求の書。

歌に詠まれた世間、徒然草における世間、真宗教団における世間、西鶴作品にみられる世間、漱石荷風にとっての世間、等々、様々な角度から世間というものを捉えようと試みる。そのいずれも日本人にとっての世間であり、その変化は日本社会の変化でもある。愚管抄において『世と人は別のものではない。世は国の道理で善悪を定めたもの。人というのは私的な家の内のこと』と言い切っており、世という言葉には、あきらかになっている現実である「顕」と、それに対する目に見えない力の働き「冥」と、その二つが同時に内包されているものである、とされているのが日本人の感覚として的を射ているようで興味深い。それから徒然草における兼好の現代的な感覚にも驚いた。

以下は「世間とは何か」という問いに対する回答と思われる個所の抜粋

日本の個人は、世間向きの顔や発言自分内面の思いを区別してふるまい、そのような関係の中で個人の外面と内面の双方が形成されているのである。いわば個人は、世間との関係の中で生まれているのである。世間は人間関係世界である限りでかなり曖昧なものであり、その曖昧なものとの関係の中で自己を形成せざるをえない日本の個人は、欧米人からみると、曖昧な存在としてみえるのである。ここに絶対的な神との関係の中で自己を形成することからはじまったヨーロッパの個人との違いがある。

オススメ

「世間」とは何か (講談社現代新書)

「世間」とは何か (講談社現代新書)

2017.09.04

[]一四一七年、その一冊がすべてを変えた

二千年前に古代ギリシャで記されたルクレティウスの「物の本質について」を中世に再発見した人の話。

世界史には疎いので歴史の主舞台が古代ギリシャからローマ帝国へどのように移っていったか、またローマ帝国初期に異教徒であったキリスト教がどのようにして国教化したか、ということについて知らなかったが、そのあたりがクリアになった。昔ゲームセンターにあったタイル崩しのゲームで背景の画像が少しずつ見えてくる仕様のものがあったが、歴史の知らなかった部分を知ることは、アレに近い。

キリスト教の国教化に伴う多神教への迫害については、不勉強にして知らなかったのだが、なかなか衝撃的な話である。これを知らずして一部のムスリム蛮行非難するのは片手落ちというものである。もちろん、だからと言ってムスリムは何をしてということではないし、今更キリスト教が謝罪すべしというのでもないが、全キリスト教徒はキリスト教が多数派になるためにしてきたことを知っておくべきである。

2000年前の古代ギリシャで書かれた内容が「全てのものは不可分なまでに小さいもの(原子)でできている」というもので、またその内容によってキリスト教から敵視され、駆逐され、その600年後に発見され、それが後世に大きな影響を与えた、という歴史上の事実は何ともドラマチックである。