文明崩壊 上・下

ジャレッド・ダイアモンドの、こういうのはなんというんでしょう。本。
上巻で現代のモンタナと崩壊した過去の文明社会(イースター島、ピトケアン島、アナサジ、マヤ、アイスランドグリーンランドなど)を、下巻で問題を解決して乗り越えた文明社会と現代に迫る危機などを紹介。ある文明は崩壊し、ある文明は危機を乗り越えて存続した、その差は何なのか。文明の崩壊という千差万別であるはずの難しい事象を、5つの要因、環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応、から比較している。危機を乗り越えた文明社会として日本が紹介されているのはうれしい。
とにかく細かい。そしてしつこい。同じことをくどくどと繰り返すので読みづらい。年輪から何がどのようにわかるかまで懇切丁寧に解説するので 読んでいて興味が薄れるところもあるが、以前マジュロに生えている(私の家の裏にも生えている)ことがわかったモクマオウの話が出てきて興味がわいたりした。人間とは勝手なものです。
私も環境破壊とか世界の飢餓とかに興味がわかない口ではあるものの、世界の裕福な人たちの言う「世界は豊かだ」に対する著者の反論の中に、「世界の人口の80パーセントを占める第三世界の数十億人」というくだりがあり、なぜか納得がいった。つまりこの本を読むような人たちは圧倒的に裕福な少数派なのである。これが比較的均一にできた日本にいるとわからないというか実感しづらい部分で、この本を読んで納得できた。

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)