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平凡な生活:Une vie ordinaire

2017-02-21 パトリス・シェローの『フェードル』

大竹しのぶ主演で『フェードル』が上演されるれしい(もう公演は始まっているのだろうか?)。

この公演とはあまり関係ないのだが,2003年に今は亡きパトリス・シェローが演出し,ドミニク・ブラン嬢が演じるを見た。独仏共同テレビ局ARTEで放送されたものらしい。

度肝を抜かれた。フランス語が全く古びて聞こえない。例えば,サラベルナールが演じる『フェードル』は私の耳には,とても古臭く聴こえてしまう。演劇というよりは唄いのように聞こえてしまう。だが,シェローの手にかかると,フェードルも,イッポリットもアリシーも,みんな現代人として,つまり普遍的な存在として蘇る。

ギリシア悲劇〈3〉エウリピデス〈上〉 (ちくま文庫)

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また,イッポリットとアリシーの相同性と,アリシーとフェードルの対比を強調した演出も見事で,大変説得力がある。イッポリットもアリシーは互いに惹かれている。だが,に恋愛慣れしていないうえに,そして恋愛慣れしていないだけにやたらとプライドだけは高い。まあ,若さゆえに,とても面倒くさい存在である。そんな二人をの気持ちを人生の先輩である二人の召使というか相談役がうまく解きほどいてゆく。

二人の恋愛感情が面倒臭いとはいえ可愛い部類に入るとすると,フェードルが懐いている恋愛感情は,次元が使う。自分ではどうすることもできない,力に取り憑かれてしまって,それから逃れることができない。逃れる術があるとすれば,自ら命を絶つしかない。その力とは,義理の息子,イッポリットへの断ち切れない思いだ。この思いに食いつかれて,フェードルはのたうちまわる。恋愛を自分の置かれた状況改善に使おうとするアリシーとの対比は鮮明だ。

この芝居をどのように日本語に移し替えることができるのか,この狂気とも言える恋愛感情をどう大竹しのぶが演じているのか大変気になるところだ。

2017-02-20 インドの張本智和・オフチャロフ戦

ネットでワールドツアーインド戦の決勝戦を観戦。13歳の天才卓球少年張本智和君が,今ではドイツ卓球の顔になったオフチャロフに挑んだ試合だ。ITTFの実況で見たかった。しかし,日本からはネットで実況が見られなかった。テレビに権利を押さえられているらしい。仕方がないので,試合翌朝にYoutubeで観戦。アップしてくださった方,ありがとうございます(日本語は通じないと思いますが)。テレビ東京はいい加減卓球を金儲けの道具にするのはやめてもらいたい。日本の卓球協会もこんなテレビ局とは一刻も早く縁を切ってもらいたい。

D28 地球の歩き方 インド 2016~2017

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さて,試合の内容だが,ゲームカウント4−0でオフチャロフの貫禄勝ち。試合の出来は... オフチャロフ選手も張本選手も普通の出来だろうか。

とはいえ,オフチャロフ選手が疲れていないわけがない。2週間前がフランスのアンチーブで開催されたヨーロッパトップ16で優勝,先週はスイスオープンで優勝,そして今週はインドで準々決勝で大島選手を,準決勝で丹波選手を共にフルセット(いい試合でした!久しぶりに丹波選手のいい試合を見た気がする)の末に破っての決勝戦なのだから。かなり疲労が溜まっていたはずだ。こうしたコンディションのもと,自分よりも一回り以上も若い選手を相手に,普通に集中できて,何事もなかったかのように勝ってしまうのだから,やはりオフチャロフ選手は素晴らしい!どこに行っても「ディーマ,ディーマ」と愛されるわけだ。

離婚して、インド (幻冬舎文庫)

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さて張本選手だが,完敗とはいえ,立派な善戦だった。正直,ジャイアンにボコられるのび太状態の,いわば以前の丹波選手のようになるものと予想していた。それからすれば大健闘だった!

とはいえ,前半はオフチャロフ選手のしゃがみこみサーブに全く対応できなかった。ワールドツアーの決勝戦というレベルの試合では,ここまでレシーブができない試合を見ることは極めて珍しい。あまりに対応できないので感動的でさえあった。とはいえ,後半ではそのサーブを,相手の油断もあったとはいえ,一発で打ち抜いていたけれど...(この少年のことを世界中が注目するわけだ)

全体を通じて,ラリーになると張本選手の分が悪かった。ブロックミスをはじめとして,ミスが多かった。やはり,オフチャロフ選手のボールの威力に対応できなかったのだろう。オフチャロフと普通に壮絶な打ち合いをしている水谷選手の凄さが改めて分かった。ただ,0−4とはいえ,随所に見所のあるラリーがあったのも事実だ。

インドの観客の反応も興味深かった。戦前はオフチャロフ選手への声援が多かったのだが,試合が進むごとに張本選手への声援が増えていった気がする。これは昨年のジュニア世界選手権でもそうだった。生では見たことがないが,張本選手のプレー振りには,観る者を惹きつける何かがあるのかもしれない。また,インド卓球のことがよくわかったお客さんが多い気がする。将来は卓球大国になるのではないだろうか。

総括すると,ストレート負けとはいえ,1時期の丹波選手や吉村真晴選手のように何度やっても勝ち筋が見えてこないという試合ではなかった(だから,やはり張本君はすごい!)。カタールで当たることがあればもしかするともしかするのではないだろうか!?頑張れ張本選手!

新版 インドを知る事典

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2017-02-16 奇妙な大統領選挙

フランス大統領は有効投票数の半数以上を獲らなければ当選とならない。そこで,4月の下旬に第1回投票で候補者を二人に絞り,2週間後の5月の上旬に最終候補者二人の間で決選投票が行われる。投票行動でよく見られるのが,第1回投票ではお気に入りの候補に投票し,第2回投票では嫌いな候補に投票しないというパターンだ。これをフランスメディアは「第1回投票では選び,第2回投票では排除する」と要約している。

すごいお母さん、EUの大統領に会う

すごいお母さん、EUの大統領に会う

もっとも最近は,第1回投票で「役に立つ投票」をする候補者も増えている。左派の候補が票を奪い合い大本命の社会党候補ジョスパン候補が第2回投票に進めなかった2002年の大統領選挙第1回投票を教訓としているらしい。事実,2012年の大統領選挙第1回投票でも,社会党の候補だったオランド現大統領に票を投じた3割以上の人が,オランド現大統領よりも政治的にはさらに左に位置するメランション候補への投票を考えたらしい。それでも第1回投票でオランダ氏が1位に慣れたのは,多くの有権者が「役立つ投票」という選択をしたからだろう。

さて,ここから本題だが,2017年の大統領選挙が従来の選挙と根本的に異なるのは,今回の選挙は形式的には2回投票だが,実質的には1回投票と変わりない可能性が高い点だ。第1回投票では極右政党国民戦線党首のマリーヌ・ルペン女史が決選投票に進むことはほぼ確実視されているからだ。しかも現段階では,彼女が他候補を抑えて第1回投票では1位になることが予想されている。同時に,世論調査は第2回投票では,得票率が45%を超えることはないと予想している。

つまり,第1回投票で2位にさえなれば,ほぼ自動的に次期大統領になれる可能性が極めて高いのである。しかも第2位に滑り込むために必要な得票率が読めない状況にある。20%前後あれば十分と考える論者も少なくない。これでいくと今,第2回投票進出圏内にいる候補は,前回のブログでも取り上げたフィヨン候補,財務大臣を務めていたマクロン候補,文部大臣を務めていた社会党選出のアモン候補,左派のメランション候補ということになる。

なので,家族を法外な給与で政策秘書に雇い,しかもそれが偽装雇用の疑いがあるせいで大きく人気を落としている右派のフィヨン候補からすると,仮に人気が回復しないままでも,まだ十分に第2回決選投票に進み,大統領になる可能性が十分に残されているのだ。しかも,投票する方に第1回投票の決定的な重要性がどれだけ浸透しているのは定かではない。今年の大統領選挙から目が離せないわけだ。

A06 地球の歩き方 フランス 2017~2018

A06 地球の歩き方 フランス 2017~2018

2017-02-15 現代版カノッサの屈辱:サルコジに救いを求めるフィヨン

マレーシアアメリカ,日本でもいろいろなことが起こっているようだが,フランス大統領選挙の動きも大変慌ただしい。

「クリーンで誠実な私だからこそ国民の皆さん厳しい政策協力を訴えられるのです!」,というフランソワ・フィヨン氏のメッセージは,『カナール・アンシェネ』の一連の報道により全く意味をなさなくなってしまった。逆に,〈嘘つき〉,〈他人には厳しいが自分の家族には優しい〉,〈市民感覚が致命的に欠如している〉と言うネガティブなイメージが張り付いてしまった。ここ3週間,公共の場に現れる度に待ち受けた市民からたっぷりとヤジを浴びせられる始末。普通の選挙キャンペーンができない状態にまで追い込まれてしまった。

ヴァレンタインの翌日,フィヨン氏はサルコジ氏の元を訪れて昼食を共にした。相次ぐスキャンダルで八方ふさがりのフィヨン氏は,窮余の策としてスキャンダル慣れしている(!?)ニコラ・サルコジ大統領選挙キャンペーンの立て直しへの助言と協力を仰いだ,というのが大方の見方のようだ。

「起訴されたドゴール大統領を一瞬たりとも想像できますか?」と,金銭スキャンダルにまみれたサルコジを明らさまに狙った問いかけをキャッチフレーズに中道・右派の大統領候補選出予備選挙で大勝したフィヨン氏からすると,これほど屈辱的なことはないであろう。

しかも,フィヨン氏がサルコジ氏の元を辞した後には,サルコジ派の若手議員の中でも一番の有望株で,サルコジ氏が大統領になれば首相に指名されるものと目されていた(因みに,フィヨン氏はサルコジ氏が大統領の5年間,たった一人で首相を務めた),いわば懐刀のフランソワ・バロワン氏がサルコジ氏を堂々と訪問している。これもプライドのフィヨン氏にとっては面白くないことだろう。

不思議フランス 魅惑の謎

不思議フランス 魅惑の謎

だが背に腹は変えられない。フィヨン氏は世論調査でもどんどんと人気を落としている。このままいけば,決選投票に進むことさえ困難な状況にある。ここまで追い詰められた彼がなぜ諦めようとしないのか。それはフランス大統領選挙選挙方法と,従来にはなかった2017年ならでは特殊な状況が複雑に絡んでいるようだ。この件についてはまた触ることにしたい。

2017-02-14 バレンタイン

今日はバレンタイン。知人の話だと,やはりバレンタイン直前の週末は混むらしい。

恥ずかしながら,貧乏が身体に染み付いているせいか,子供の時から今まで,私にとっての世界1のチョコはグリコのアーモンドチョコレートだ。その次は明治のミルクチョコレートだろうか。

昔,パリで暮らしてた時,部屋に尋ねてきてくれたフランスの知人に,日本から送られてきたグリコのアーモンドチョコレートを1粒試食させたことがある。リアクションを注意深く見守った。フランスでは味わえない味なので,さぞや感激するかと思ったところ,意外にして大変不愉快な反応だった。私からグリコのアーモンドチョコレートがもらえることが,どれほどありがたいことかもわからずに,大して感謝もせず,「やっぱり日本のチョコは甘すぎる」という冷静というよりは無礼な返事が返ってきた。この時ばかりは,チョコを返せと言いたくなった。

だが,この知人の反応は間違っていない。私も,フランスチョコレートを美味しいと思ったことがないからだ。ところがミルクのたくさん入ったスイスチョコレートは嫌いではない。トブラロネーネのチョコには目がない。数年前にリンツクレームブリュレ風味のチョコレートには,かなり感動した。

そのせいか,今までバレンタインでチョコをいただいても,グリコのアーモンドチョコレート以上の感動を味わったことがない。だが,忙しい中,人混みをかけわけ,試食の列に並んだ末に買われたチョコだと思うと,やはり感謝せずにはいられない。ありがとうございました。