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平凡な生活:Une vie ordinaire

2017-05-18 フランスの大統領選挙から見えてきた日本の先進性

学者冥利につきるとは,このことかもしれない。

今年4月〜5月に行われたフランス大統領選挙は,とある地理学者が2014年に発表した200ページ足らずのエッセーから読み取れる予告通りに進行した。この地理学者はフランス社会党の崩壊を予想していた。

今回の大統領選挙の第1回投票で社会党候補ブノワ・アモンは6%程度の得票率に終わった。『21世紀の資本論』で世界的な名声を獲得したトマ・ピケティを始めとする,多くの高名な大学人をブレインに擁しながらである。前回の2012年の大統領選挙第1回投票で,オランド全大統領が30%以上の得票率であったことを思えば,「社会党の崩壊」が誇張ではないことがお分かり頂けると思う。

多くの政治学者ジャーナリスト社会党の政治路線,あるいは大統領候補者選びの方法で説明しようとした。曰く,オランド大統領は左寄りの選挙キャンペーンで当選しておきながら,経済的にはリベラルな路線を説明・弁明しなしに取ったことで,自らを支持する層を裏切ったのだと。あるいは,党内の予備選挙で候補を選ぶと党内でもコアな党員にしか受けない思い切り左寄りの政策を訴える候補者(ある種原理主義者)がほぼ自動的に選ばれてしまうものだと。

2017-05-12 デパートに行かない人の気持ちが少し分かった

所用でデパートへ。

先週の土曜に行った時,担当者は「私がいない場合は,註文書を誰かに渡しておいてください」とのことだった。

あのころのデパート (新潮文庫)

あのころのデパート (新潮文庫)

なので,今日は本当に幼児に必要な書類を渡すためだけにデパートに立ち寄った。売り場に着くと,やはり予想どおり担当の人はいなかった。代わりの店員がやってきたので,彼に注文書を渡して帰ろうとすると,なんと!その店員は,私の眼の前で私が渡した書類を,別の用紙にシャープペンシルで写し始めたではないか!注文のデータをメイルで送ってくださいとか,私の端末にコピーさせてください,という頼みならまだ分かるの

だが,今時,シャーペンで筆写とは!

当然,時間をとる。さらにびっくりしなのが「お待たせしてすみませんとか,お時間をおとらせしてすみません」の一言さえないのだ!こちらは書類を一通渡せばおしまいのつもりで1日の予定を組んでいる。自分の人んげんの小ささをばらすことになるが,次第に焦りが怒りに変わった。しかも決済にすごく時間がかかる。団体割引用の金券を使ったので,そのせいかと思ったら,違った!単に領収書を作るのに時間がかかっていたのだ!

デパートは人の時間をどう思っているのだろうか?デパートでの買い物が楽しいからとか,持て余した時間を潰すため(例えば老人やかつての主婦)といった動機でデパートに行く客が大半だった時代が確かに存在していたのだろう。だが,仕方なく少々厄介な用事を済ませたり,必要な買い物に迫られて,デパーチに行かざるをえない人もいることをデパートは知っておくべきだろう。

例えば,同じ洗剤でも,イオンの包装紙よりはデパートの包装紙の方をありがたがる人々がいて,そういう人たちのために仕方なくデパートに行くということもあるのだ。だからこそ,デパートには客のストレスを減らすために,スピーディーで,適切な対応(例えば,客が使っている敬語には,それなりの敬語で対応するとか)をしたもらいたい。デパートの値段の意義はそこにしかないのではないだろうか?それができないなら何のためのデパートだろう?

デパートを発明した夫婦 (講談社現代新書)

デパートを発明した夫婦 (講談社現代新書)

残念ながら,今日のデパートは私の2度と行かない店リストに載ってしまった。

2017-05-05 フランス大統領選挙:ル・ペン/マクロンのテレビ討論

現地時間で5月3日の夜に行われた,大統領選挙最終候補二人によるテレビ討論を見ようと試みてはみた。

しかし,最後まで見る我慢ができなかった。言い訳になるが理由は2つある。一つは討論を見なくても,二人の主張ははっきりしているので,最後まで必要性を感じなかったためだ。1月末に発覚したペネローペ・ゲイト,すなわち最有力候補とみなされていたフィヨン候補夫人の架空雇用疑惑のせいで,今回の大統領選挙は例年より早めに関心を抱いたために,私自身二人の主張を聞いたり,それに対するコメントにたくさん触れていた。同時に,つい数日前までは極右政党である国民戦線の党首だったル・ペン女史と銀行で大儲けをしたのちに経財相を務めたマクロン氏では,そもそも世界観も,支持層も全く異なっている。わざわざ2時間以上の討論を見てその二人の意見・主張・提案の違いを確認する必要を感じなかった。とはいえ,ル・ペン女史は数日前に右派「立ち上がれフランス」党党首のポンデニャン氏と選挙協力を結んだせいで,経済政策,特に通貨問題には大きな政策の変更が見られたのだけれど...

さて,最後まで見ることができなかったもう一つの,そして最大の理由は,今回の討論の調子というか,雰囲気が,従来行われてきた最終候補二人による討論とは全く違っていたからだ。ここまで相手への敬意を欠いた討論は,第2回投票直前の討論では見たことがない。礼節の欠如という点では,昨年のアメリカ大統領選挙におけるトランプ/ヒラリーの討論も相当だったらしいが,おそらく攻撃性,敬意の欠如(これはすなわちテレビを見ている有権者に対する敬意の欠如でもある)では,フランスにおける両候補のテレビ討論もまったく負けていないだろう。

アンケートではマクロン氏が圧倒的に優位なので,ル・ペン女史は討論でいわば捨て身のタックルを試みたのだろう。同時に,現状に対する「怒り」がル・ペン女史への投票の大きな原動力になっている以上,彼女はその怒りを,グローバル化で徳をした階層,職種のシンボルであるマクロン氏その人に直接ぶつける必要を感じだのであろう。一方,マクロン氏は流・ペン女史の捨て身の攻撃をいなすとか,一段高い所から諌めるということを全くしなかった。ル・ペン女史と同じレベルの土俵まで降りてしまった。そして殴り合いの喧嘩をしてしまったという感じだ。

マクロン氏の言動が単に政敵から受けた攻撃への反撃なのか,ル・ペン女史を圧倒的に支持する民衆層への軽視の表れなのか意見のわかるところだろう。だが,あそこまでの攻撃性は,ル・ペン女史支持層への根源的な無理解がなければできないのではなかろうか。

1995年にシラクは社会的分断をテーマに選挙キャンペーンを展開した。20年経った今,グローバル化,ヨーロッパ統合がその分断をさらに押ししすめ,対話不可能なまでにその分断を深刻にし,対話不可能にしてしまったと言えるかもしれない。その点において,選挙結果の如何にかかわらず,二人の無責任さは重大である。

2017-05-02 フランスの政局を分析するアラン・トゥーレーヌ先生

大統領選挙決選投票を1週間後に控えた4月30日の夕方,『C politique』(毎週日曜日夕方に第5チャンネルで放送)にゲストとして招かれた社会学者のアラン・トゥーレーヌが70年代後半からのフランス経済政策について面白い発言をしていた。

まず,今回の選挙をトゥーレーヌは歴史的と位置付ける。すなわち,フランスの国外で起こっていることが投票に際し決定的な要因となることは,フランス民主主義の歴史において初めての事態であると。これはもちろん,グローバル化,ヨーロッパ統合を意識しての発言である。今回の大統領選挙の真の争点は,大方の予想を裏切って,移民問題でも,イスラムでも,汚職でもない。あえて言えば,目の前の失業問題でさえない。グローバル化する世界,ボーダレス化するヨーロッパフランスがどう向き合うかが,真の選挙の争点だ。ここまで外圧がフランス政局に大きな影を落としたことは,少なくとも第二次大戦後はなかった。

フランス経済政策に対するトゥーレーヌ先生の論評も面白かった。曰く,ここ30〜40年の間フランスが,アメリカイギリスの背中を必死追いかけながら続けてきた脱工業化政策は根本的に間違っていたと。右派政権も,そしてとりわけ左派政権は,公務員を意識した政策に終始してきた。また,右派も左派も,組合や共産党の力を弱めるために,フランス経済の脱工業化を食い止めようとしなかった。それが結局,多くの失業者を生み出し,多くの人びとがフランス社会から忘れ去られ,除外される事態が生じてしまったと。来週の投票では,極右政党を政権につかせないため,マクロンに投票する以外に選択の余地はない(つまり,白票を投じたり棄権をすべきではないということ)。

マクロンが大統領になった場合,たとえ銀行出身の彼が工業や産業の振興に興味がないにせよ,フランス社会の周縁部に追いやられた多くの労働者を,フランスの再工業化を通じて社会に再統合する政策を菅が実行すべきであるう。さもないと,マクロンは,5年後には極右政党が政権に就くための大通りを準備することになるだろうと。

トゥーレーヌ先生の分析は,これから2〜30年の日本の行方を考える上で,面白い視点を提供してくれているように聞こえた。この点についてはまた次回。

トリノの奇跡

トリノの奇跡

2017-04-17 アジア卓球選手権レヴュー:おめでとう平野選手!

最近,公私ともにいろいろなことが起こりすぎていて,ブログどころではない状態が続いている。

とはいえ,先週,中国無錫で行われた第23回アジア卓球選手権で平野選手が優勝した。日本でも大々的に報道されているようだが,あまりにめでたいことなので簡単に感想をメモしておきたい。

今回の優勝は大変な快挙だ。中国選手を立て続けに連覇した国際大会の優勝となると,水谷選手がツイッターで喚起しているように,恐らく,2005年にリエージュで行われたW杯以来なかったことだ。このW杯で,ドイツの英雄ティモ・ボル選手は王励勤,馬琳,王皓の三選手を立て続けに撃破した。

そして,日本の選手が中国のトップ選手に立て続けに勝利したことは,日本卓球界が輝いていた50年代,60年代でもなかったことかもしれない。日本卓球界にとっては歴史的快挙だ。

卓球基礎コーチング教本

卓球基礎コーチング教本

昨年の11月,平野選手は中国スーパーリーグに参戦した。そこでの経験が今回の優勝に生きていることは間違いないだろう。だが,スーパーリーグは平野選手にとっては,あくまで修行というかお勉強の場だった。戦績も良くなかった。とはいえ,スーパーリーグで平野選手は奮闘した。丁寧選手とはスコアは離されたものの,なかなかいい戦いだった。朱雨玲選手とはフルセットの戦いであと一歩まで追い詰めた。陳夢とはややなすすべなしという戦いだった。陳夢選手は攻めのスピードでは若干他の中国選手よりは劣るものの,ブロックがうまく,中陣のラリーが安定している。なので,これまでは,平野選手の攻撃では歯が立たなかった。なので,平野選手の方に終始余裕が見られた,決勝の陳夢戦が一個人的には,平野選手の成長が一番感じられる試合だった。

世界最強 中国卓球の秘密

世界最強 中国卓球の秘密

とはいえ,スーパーリーグ後の,ジュニア世界選手権(昨年12月)や今年のカタール・オープンでは,中国のトップクラスの選手ではなく,若手の選手に惨敗に近い負け方をしていたのだ。今回は何が違ったのだろうか?調子や体調,あるいは試合球も大きく影響しているのだろうが...

技術的にはやはり,フォアハンド側の対応が格段に上達したことが大きい感じがする。丁寧戦の最後のポイントでもわかるように,

1)フォアに大きく振られても,強打で対応できていた。

また,ほんの1〜2ポイントだが,

2)フォア側に来たツッツキのレシーブを,従来ならループドライブでつないでいたであろうところを,フォアの強打でポイントできていた。このような1ポイントが相手にはおそらく脅威になるのだろう。さらにフォアハンドが安定したことによって,

3)チャンスボールを確実に得点できるようになった。

この点も無視できない。チャンスは作っても,相手選手にコートから下がられて,うまくいなされてしまうということが,これまでは多々あった。1ゲームが21ポイントから11ポイントになったことで,1ポイントの重みがいわば2倍になった。確実に得点できる時に得点するだけで,勝機は2倍になるのだ。この観点から言えば,今後中国の脅威になるのは,伊藤美誠選手でも,石川佳純選手でもなく,早田ひな選手だろう。平野選手に並んで,早田選手が対中国という点では,最も良いラリー戦を展開していたからだ。早計だが,今大会を見る限り,2020年は,平野選手がエースで,伊藤,早田でダブルスを組むのが一番勝機がある気がする。しかし,協会にその度胸はないだろう。

さて,平野選手に話を戻すと,フォアハンドだけでなく,フォアに回った時のバックハンドも上達して感じがする。

4)フォア側にサーブを出されても,強力なチキータでレシーブから攻撃できていた。

さらに,サーブも良かった。回転もさることながら。コースや長さも良かった。フォアで処理するかバックで処理するか迷うコースに,コートから出るか出ないか最後までわからない長さのサーブが何本もあった。見事だった。

とはいえ,今回の大会は幾つかの幸運が重なったことも無視できない(最も,このレベルだとそういうことがないと優勝はできないだろうが)。

中国卓球の真髄

中国卓球の真髄

まず,個人戦でありながら7ゲームマッチではなく,5ゲームマッチであった点だ。3ゲーム取ればいいのと,4ゲーム取らなければならないのでは,心理的な負担が大きく違う。短距離走長距離走の違うがあるだろう。また,ボールがニッタク製であることも影響しているのは水谷選手が,松平賢二選手が指摘している通りだ。また地元で開催されたことが,中国の選手には大きな負担であったのかもしれない。あれほど緊張した,朱選手や,陳選手の表情は見たことがなかった。

こうした要素が,平野選手に有利に働いたとはいえ,今まで世界中の卓球選手の誰もが出来なかったことを,平野選手は果たしたことに違いはない。おめでとう平野選手,ありがとう平野選手,そして頑張れ平野選手!

勝利はすべて、ミッションから始まる。

勝利はすべて、ミッションから始まる。

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