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2010-01-04
勝間和代や香山リカのように『苫米地英人』にも検証の手を!
苫米地英人、という人がいます。
苫米地 英人(とまべち ひでと、1959年9月7日 - )は、東京都出身の計算言語学者、認知心理学者、脳科学(または機能脳科学、脳機能科学)者。カーネギーメロン大学博士(Ph.D.)。
彼の経歴を簡単に書くとこうなります。
上智大学卒業後、三菱地所に勤務し、その後カーネギー・メロン大学に留学。博士号を取ったあとは徳島大学で講師をやりながら、ジャストシステムの事業を手伝う。この頃、世間ではオウム真理教事件が起こり、たいへんな騒ぎとなりました。ここから少しおかしくなっていきます。彼は公安からオウム信者の脱洗脳を頼まれ、引き受けるのです。さらには実際に脱洗脳を行ってしまう。詳しくはウィキペディアなどを参照してもらうとして省きますが、この後、彼は研究職を失ってしまいます。それからは「洗脳」についての書籍を出したり、催眠術師としてテレビに出演したりしているのです。
現在、彼は三週間に一冊のペースで書籍を刊行し、そのどれもが数万部のヒットを飛ばしているという売れっ子作家です。その内容も『営業は「洗脳」―一瞬でお客様を支配する禁断の営業術』というビジネス書、『英語は逆から学べ!』という語学学習書、『世界一簡単に目標がかなう 成功脳の作り方』という自己啓発系、『脳機能を活性化する「超」快眠術』という健康書、『テレビは見てはいけない』というメディア批判の新書、『スピリチュアリズム』というスピリチュアルブームに警鐘を鳴らす本など、非常に多岐に渡っています。その中で一番刊行点数が多いのは自己啓発系です(なんとなく勝間和代さんと一緒に並べられているイメージがあります)。そして、苫米地さんの書籍のどれにも「最新の脳科学」云々という宣伝文句がつけられており、本文にも脳科学に絡めた記述が多々あります。私には彼の本がやっていることは、既存の自己啓発書のノウハウに「これが最新の脳科学です」と付け加えているだけのように見えます。
世界で最も洗脳に精通し、各国の顧問を務める著者が、人生を変え得る強力なノウハウを大公開。
軍事関係者や心理学者、脳機能学者の一部しか知り得なかった秘伝を初公開。
これ、全部違う本の宣伝文句です。
彼の支持層はとても広いと言えるでしょう。自己啓発、メディアリテラシー、スピリチュアル、語学学習、ビジネス、その受容者をことごとく取り込んでいます。書店に行けば、どのコーナーにも彼の本が平積みにされているという状況さえあるほどです。
また、威風堂々としていながらも茶目っ気のある性格や、わかりやすく面白い話術などから、テレビ番組にも出演。とりわけ、水道橋博士と共演したネット番組『博士も知らないニッポンのウラ』、テレビ番組『博士の異常な鼎談』はホスト役がお笑い芸人ともあり、トークバラエティとしても非常にクオリティの高い内容で、浅草キッドの支持者であるサブカル層まで取り込みました。
苫米地さんはいくつもの肩書きがありますが、彼の本業はなんなのでしょうか。いったいなんの事業で財をなし、日々生活をしているのでしょうか。
それはコンピュータプログラマーを主としてやっているようです。彼が経営する会社では「KeyHoleTV」というサービスを提供しています。これはP2P型のTV番組送受信ソフトで、これをPCにインストールしているといつでもどこでも、遅延なしにテレビ番組が視聴できます。
苫米地さんは元々、人工知能プログラムの研究のために留学しており、学位の方もコンピュータプログラミングに関するものなのです。
それが何故、プログラマーが催眠や脳科学についての書籍を出しているのか?
彼の言葉によると恩師に「人工知能について研究したいなら、実際の人間の脳にも詳しくならなきゃいけない」と言われたそうです。
「そうしたら、人間のすべてがわかった」
しかし、具体的にどこでどう勉強したのかは語られていません。脳科学の学位は取得していませんし、医学の方も形跡はありません。著書によると大学のキャンパスで友人たちと裸踊りをした、とかは書かれています。
繰り返しますが、彼が学位を取ったのは「計算機言語学」であり、脳科学ではありません。しかし、彼はそれをあたかも脳科学で博士号を取ったかのように見せかけている節があります。母校のカーネギーメロン大学でフェロー(特別研究員)をやっているとプロフィールに書かれていますが、それがどの分野についてで、いったいなにをしているのかは、よくわかりません。日本校の設立に協力しているという話はあります。
脳科学分野について、彼がしきりに言及するのが「サブリミナル」です。これは映像の中に実際には視認できない「コーラを飲め」などのメッセージをカットに入れることにより、それが刷り込みとなって視聴者がコーラを飲んでしまう、行動を操ってしまう、といったものだと理解しています。たとえば、彼の語学学習書には音楽CDがついており、「聞けば英語耳になる」サブリミナル音源が含まれているそうです。また、彼が手がけた「奇跡の着うた」というものがあります。これはそれを聞けば「おっぱいが大きくなる」「背が高くなる」などの効果をもたらす着うたのことで、これにも効果が現れるサブリミナル音源が入っていると明言しています。
しかし、ちょっと待ってください。「サブリミナルは効果がない」というのが現在の科学の主流見解では?
潜在意識、意識と潜在意識の境界領域に刺激を与える事で表れるとされる効果。ただし科学的にはまだ証明されておらず、効果を疑問視する学者も多い。
ヴィカリ自ら「マスコミに情報が漏れ過ぎた。実験には十分なデータが集まっていなかった」と実験結果の懐疑性を告白している。
そもそも、この実験自体が実際に行われた証拠がジェームズ・ヴィカリの証言以外になく、映像技術的にも当時の技術水準では難しいと考えられ、嘘であった可能性が高い。
この件について、先程もあげましたネット番組『博士も知らないニッポンのウラ』にて、ホスト役の水道橋博士から突っ込まれています。彼はこのように切り替えしました。
「ホントは滅茶苦茶効くけど、悪用されるとマズいから効果はないっていうアナウンスをしている」
なるほど。サブリミナルがテロやその他凶悪犯罪に利用されることを防衛するためなのですね。納得です。しかし、いったいどうやって苫米地さん以外の科学者の口を閉ざすようなコンセンサスを取ったのでしょうか。どっかで「んじゃー、サブリミナルはなしってことで。かいさーん!」みたいな会議が行われたんでしょうか。
もう一つ、彼の主張には「ホメオスタシス同調効果」というものがあります。「同調」とは彼の説明によると「暑い場所にいたら汗を流して体温を調節する」のようにその場の環境に適応しようとする身体の現象のようです。それを彼は「記憶」や「意識」の領域にまで解釈を広げていきます。「ホメオスタシス同調効果」とは「映画を見て感情移入する」「話し相手が泣き出してもらい泣きする」ということがあるように、人間の意識の同調が行われるのでは、という彼の説です。
そして、ここからがよくわかりませんが、彼はそれを犯罪捜査に応用します。どうするかというと、事件の殺害現場で被害者の意識と同調し、殺害時に何が起きていたかを探るというのです。
実際に彼は雑誌『実話ナックルズ』の取材でこれを行い、記者に犯人の特徴を述べています。
ここまでくるともう「被害者の霊を降霊して犯人探し」とどう違うのかさっぱりわかりません。でも、最新の脳科学だそうです。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~conspire/asyura_tomabeti.html
私の彼に対する評価をはっきりと書いておきましょう。「芸人としては面白いが、科学者としては疑問符がある」です。
私は無知です。門外漢の一般市民です。専門分野についてはこれっぽっちもわかりません。なので「洗脳」も「サブリミナル」も「ホメオスタシス同調」も本当にあるものかもしれません。しかし、それを主張しているのが日本において「苫米地英人」ただ一人であり、それが何の検証も与えられずにベストセラーとして流通してしまっているのは、非常に怖い状況なのではないでしょうか。
例えば、同じカテゴリーに入れてしまうのは乱暴かもしれませんが、自己啓発や自分探し本を出している勝間和代さんや香山リカさんには優れた知識人の方が批判をし、読者に懐疑の余地を与えています。
■ケース(1)
“勝間和代ブーム”のナゼ?
http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=225&nif=false&pageStart=0
■ケース(2)
http://cruel.org/takarajima/kayamarika.html
■ケース番外編
脳は心を記述できるのか
http://sofusha.moe-nifty.com/series_02/2007/06/1_108a.html
(茂木さんと苫米地さんの対談というのも見てみたいですねー)
それが苫米地英人さんにはめぼしい批判がないので、一度飲み込むと鵜呑みするしかないような状況になっています。ぜひどなたか専門家の方に彼の検証を行ってほしいのですが……。
しかし、プロフィールに書かれている彼の経歴、学歴は本物なのは確かです。論文も発表しています。私がこんな心配をするのはおそらく素人だからであり、いつか「ホメオスタシス同調効果入門」という一般向け啓蒙書が広く読まれ、自明のものとされる世の中がやってくるのでしょう。そうなったら私も二次元美少女と同調して毎日が楽しく過ごせそうです。
そういえば、国際ジャーナリストとしてベストセラーを連発していた、落合信彦さんの活躍が最近ぜんぜん聞こえてきませんね。まったく関係ないことですが。
追記:続きあります。
- 2988 http://www.hatena.ne.jp/
- 2402 http://b.hatena.ne.jp/
- 1129 http://b.hatena.ne.jp/hotentry
- 645 http://twitter.com/
- 535 http://reader.livedoor.com/reader/
- 373 http://b.hatena.ne.jp/hotentry?mode=general
- 337 http://d.hatena.ne.jp/
- 332 http://ig.gmodules.com/gadgets/ifr?view=home&url=http://www.hatena.ne.jp/tools/gadget/bookmark/bookmark_gadget.xml&nocache=0&up_display_item=5&up_display_thumbnail=true&up_display_summary=true&up_category_all=true&up_category_general=true&up_category_soci
- 299 http://ig.gmodules.com/gadgets/ifr?view=home&url=http://choichoi.sakura.ne.jp/hatena_bookmark.xml&nocache=0&up_num_feed=10&lang=ja&country=jp&.lang=ja&.country=jp&synd=ig&mid=215&ifpctok=-730700562876011279&exp_split_js=1&exp_track_js=1&exp_new_js_flags=1
- 260 http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/enjokosai/20100104/p1








