映画と人とわたし

2018-09-11

※※ブログ移行のお知らせ※※

はてなダイアリー」が終了するらしいので、「はてなブログ」に引っ越します。
1904本目(キリが悪いな)からは、以下をご覧いただけますようお願いいたします。
長い間ずっと、または、時々、見にきてくださって本当にありがとうございました!

はてなブログ「映画と人とわたし」by 榎木田恵子(ペンネーム
https://enokidakeiko.hatenablog.com/

ジャン・ジャック・ベネックス 監督「ベティ・ブルー インテグラル」1903本目

まだ見てなかったのが意外。若い頃の私が見そうな映画なのに、存在を忘れてた。やっと借りてきました。
で、感想だけど、いい。この映画、良いです。
ロクデナシたちのバカみたいに純粋な愛、って最高にいい。

ベティの天衣無縫な可愛さは、ハラハラしながら目が離せない。
笑った顔が水原希子みたい。今見ても現代的な、少女が憧れる少女という感じです。
あんな町のあんな小屋に住んで、ベランダで一緒にワインを飲むなんて、天国かしら。
ゾルグの優しさは、心が広いのか?無頓着なのか?見栄を張ってるのか?
違うな、私たちと同じで、彼女の奔放さから目を背けることができないんだ。
誰でも自由に生きたいと思っていて、枠からはみ出したいと思っているのに、自分で自分を縛っているから、彼女をそんな自分の出口のように思ってしまうんだな。

ただ、大きすぎる愛は相手を意外と傷つける。
純粋さはすぐ粉々に壊れる。ベティの心もゾルグの心も。

ゾルグを演じたジャン=ユーグ・アングラードは、この間見た「5時17分、パリ行き」で描かれた「タリス銃乱射事件」に居合わせてたのか。この映画が作られて32年後に見た映画の現実の事件にこの俳優が出ていた、ということは事件が2015年だから彼はもう60代でこの映画の中の若い男ではなく・・・(混乱している)

そしてこの原作者は、「エル」と同じなんだ!30年間、それぞれの関係者が重ねてきた時間を思うとなんだか感慨深い・・・。

アレハンドロ・ホドロフスキー 監督「エンドレス・ポエトリー」1902本目

強烈な自意識の続き。

自分、自分、自分、
もうアレハンドロによるアレハンドロ語りの厚さ、濃さに当てられっぱなしです。
でもそこには普遍もある。
自分中心ではあるけど、自己愛と同じくらい深い自己嫌悪もある。こんな自分でも愛してやろうじゃないか、生き抜いていこうじゃないか、と、最低な天才アレハンドロは自分に向かって言う。息子たちにも、スクリーンの向こうに向けて言う。

祝祭とか豊穣とかは、あるけどエミール・クストリッツァとかセルゲイ・パラジャーノフとか、朴訥な映画の方が神様に近いところにいるように感じてしまいます。ホドロフスキーはもっと論理的で理屈っぽい。
でも、赤い人たちと骸骨たちの絵はよかったなぁ。

2018-09-03

S.S.ラージャマウリ 監督「バーフバリ 伝説誕生」1901本目

熱い、熱いよ!
インド人って物静かで思索深く、知的で勤勉に職場では見えるけど、集まるとすぐ踊りだすような実態が掴めないところがあるのですが、こういう映画を見ると、奴ら暑苦しさを隠してるだけだな!と思う(いい意味で)(いや本当にインド料理インド人も大好きです)。

この映画、アメリカでも大ヒットしたそうですね。こんなにスパイシーな、オブラートなしのインド映画なのに!やっぱり日本映画も、お醤油の香りただよう小津映画の方が、バタくさい(死語?)現代劇よりインターナショナルに受けるのかもしれません。

しかしスパイスまみれではあるけど、過剰なほどの映像効果、使いすぎのCG、愛よ、英雄よ、伝説よ!
もう王の子は空だって飛ぶし彼には重力など関係ありません。この過剰感、中国の映画にも通じるところがあります(チャイニーズゴースト・ストーリー的な)。

週刊少年マンガ誌の巻頭カラーのようでもあります。アメコミ的でもあるということかな。
こんな、ある意味とんでもない映画がインターナショナルに楽しまれてるのって、なんか愉快。

わかりやすいストーリーだけど、インド人の俳優さんたちが一目では区別がつかなくて・・・
意外とそこで戸惑っているうちに、あれよあれよと「続く」で終わってしまう二時間強でした。
このままでは終われない・・・「王の凱旋」も見なければ・・・!

園子温 監督「新宿スワンII」1900本目

2017年の作品。
どういうわけか、新宿スワンの1を撮ったのは園監督だけど、2は違う監督だと思い込んでた。

見た後にも同じことを思っている。これは本当に園子温監督作品?
血みどろの闘争シーンもないし、広瀬アリスのダンスの場面は真剣に作られたという感じがどうもしません。
もっともっと素敵に撮ってあげられたんじゃないかなぁ。
滝(浅野忠信)と白鳥綾野剛)の一騎打ちも、スローモーションで、ごまかしてる?
滝が逆上した関(深水元基)に話仕掛ける場面のしんみりとした音楽・・・。
どうも、「らしくない」気がしてなりません。
「忙しすぎて監督が倒れてる間に誰か別の人が撮った」とかだったら、笑えないなぁ〜。

ヤクザの面々は、今回も魅力的でしたが。
バカになれる男って本当に素敵。

新宿スワン?

新宿スワン?

2018-08-31

ルカ・グァダニーノ 監督「君の名前で僕を呼んで」1899本目

歴史に残りそうなタイトル。
何も知らなくても、これがきわめてロマンチックな恋の映画だということがわかる。
その中でも、繊細で新鮮な感覚を期待させます。
だって、冒頭から軽やかでクラシカルなピアノ曲が流れて、ギリシャ彫刻の画像に手書き文字なんて、すごく斬新じゃないですか?タイトルが素敵だなだけじゃなくて、次に何が来るのか想像できないという、映画を見る者の喜びをぐんぐん高めてくれています。

ジェームズ・アイヴォリーとくれば、私たちの世代が思い出すのは「ハワーズ・エンド」「眺めのいい部屋」、そして「モーリス」。エリオの幼さも美しいし、オリヴァーの快活さも美しい。エリオが奏でるギターの音色もピアノの響も、すごく気を配って非常に綺麗に録音されています。「いいピアノの音」「いい弦を張ったギターの音」です。

最初から彼らは女の子たちになんか興味ないのね。
エリオくん=ティモシー・シャラメ は、この映画の続編が撮影されるころにはオリヴァーアーミー・ハマーのような屈強な若者へと成長してるのでしょうか。

印象的な場面で何度も使われる坂本龍一ピアノ曲もまた美しい。「1996」に入ってる「M.A.Y in the Backyard」って曲。なんか恋する若者たちのバックにこんな曲が流れてると、とても高いところにいる人たちって感じがしてしまう。(私も若い頃、パンクとかワールドミュージックとかじゃなくてこんなピアノ曲を聴きながら恋をしたら、だいぶ上等な人間になってただろうか・・・わけないだろ・・・)
水死体みたいに美少年の彫像が浮かび上がって来るのを彼と彼が見て喜んでいる図って、無邪気でちょっと象徴的。

Is there anything I should know?
Because I wanted you to know.
って言いながら銅像の周りをぐるりと辿って向き合う。
何かが変わっちゃうのかな。何かが始まっちゃうのかな。

ラストシーンすごくいいですね。
家族がみんないるダイニングの隅で、暖炉に向かってうずくまるエリオ。
何もかもわかった上で、普段通りにテーブルに皿を並べる母。

これとか「アデル、ブルーは熱い色」とか「(500)日のサマー」とかさ。自分が恋をしたような甘さと苦さに浸れる映画ですよね。見終わってから苦しくなったりする。でも結局たぶん、すごく高揚したり泣きじゃくったりすることで生きた!って思えるのだ。

自分の名前で相手を呼ぶ、というのを真似してやってみるカップルっているんだろうな。同性どうしでも異性でも、なんか可愛くていい(異性だと違和感あるか)。

映像商品ではいくつかシーンを抜いて、続編に備えてるって話があった。続き、見たいなぁ!

2018-08-29

マーク・ウェブ 監督「gifted/ギフテッド」1898本目

「(500)日のサマー」が、優しく何気ない映画だったように、この映画も、喜怒哀楽があるけどどこか穏やかさが続いてるようなところがある。それは、フランクがメアリーを見る目がずっと暖かいから。メアリーがずっと元気で優しいから。

でも、なんとなく小粒な感じだなぁ。期待通りすぎて。私もっといい部分を見落としてるのかしら・・・。

2018-08-27

ショーン・ベイカー 監督「タンジェリン」1897本目

クリスマス・イブロサンゼルス。分厚い上着を着た女、タンクトップ一枚の女。みんな娼婦だ。
半分くらい見たところで、iPhone3台で撮ったという話を思い出しました。
臨場感あるなーと思って見てたけど、言われないとわからない。それは映像に手ブレがないし音声もクリアだからかも。なるべくビカッと光る白いライトとか当てずに、それでも明るく撮るのってどうやったんだろう。実はがっつりと台座に置いて、ごついマイクも接続して撮ってたりして??

トランスジェンダーの二人が生きてて素敵で、「本物の女」のダイナの方がくたびれた雰囲気。アルメニア人ドライバーもいいなぁ。妻の母親からは、国を追われた悲劇の民みたいなレッテルとか絶対貼るなよ!と怒られそう。

群像劇というのでしょうか、こういう作品には観客の私がその場にいるように感じられる演出は効果的。
しかし、監督は何を撮りたかったんだろう、何を伝えたかったんだろう。よくわからないけど、突っ込んで考え込むのはとても無粋な感じのする映画です。

車の中にぶら下がってるオレンジの形の芳香剤が、なんか安っぽくて可愛い。。。
まさかこれが映画のタイトル??