映画と人とわたし

2018-05-21

ピーター・チャン監督「最愛の子」1806本目

これは辛いなあ。
自分たちと違う文化圏の、遠い世界で起こっている特別な事件だなんて思えない。
世界中のどこの親も子供がいとしい。探して探して、疲れ果てても諦めきれず、仲間を募って旅立つ。
「みなさん、新しい子供を作らず、探し続けましょう」

「十日目の蝉」。「そして父になる」。
何が何でも子どもを欲しがる人もいるし、他人でも親子として幸せを見つける人たちもいる一方、実の親でも情愛のない人がいる。ペットなんて一匹残らず、どこかから誘拐してきた動物たちだ。
愛情には理由はないし、どんな事情も関係ない。

というか、これは「愛」なの?「執着」ではなく?
人間って本当にむずかしい。

愛と執着のぶつかり合いを法廷闘争に持ち込むことで、一応の秩序を作ろうとする。
そこでまた一人、子供が・・・。

とてもよくできた映画だし、とてもいい映画でした。

2018-05-20

ペク監督「ビューティー・インサイド」1805本目

家で映画みるの、3週間ぶり。
このDVDもレンタルしたままずっと寝かせてしまい、今月のDISCUSは8枚まるまる残ってる。
そろそろ連休ムードを終わらせなくては。

この映画は、韓流のロマンチックなドラマ(時代物より、「シークレット・ガーデンとか)みたいで、可愛く切なくちょっと「キュンとする」(死語?)映画でした。いくら無理な設定でも、ハン・ヒョジュが可愛いから。それが何の因果か考えることもなく、ひたすら観客も流されて行けば良いのです。

この胸キュン感、韓国独自だよなぁ。

2018-05-11

ギャレス・エドワーズ監督「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」1804本目

傍系ストーリーなので、よく知ってるキャラクターがほとんど出てこない。
スターウォーズ風味の別の映画みたいな感じもするけど、ストームトゥルーパーは紛れもなくいつもの奴らなので、やっぱりスターウォーズなんだなぁ。K-2SOって奴も、見た目はC-3POとも違うけど、雰囲気がやっぱりこの世界の人だ。

面白いけどちょっと長く感じたのは、私は結局本筋のスターウォーズの筋のほうに興味があるからかな。
ディエゴ・ルナはこの映画でもがんばってたのね。主役の女の子、フェリシティ・ジョーンズは、スターウォーズのヒロインにしてはちょっと悲壮感が強いような気もします(もっとカラッとしてるキャラクターが多いイメージ)。ちょっと、若い頃のレイア姫みたいに元気で勢いがあってチャーミングです。
アジア人の味方のスナイパー、ドニー・イェンはここでも迫力あります。

色々魅力はあるんだけど、やっぱり私は本筋のだけでいいかな・・・。

クレイグ・ガレスピー監督「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」1803本目

ジェットスターオーストラリアから戻る機内で見ました。
字幕なしの英語でちょっと辛かった・・・。

トーニャも母も強烈。
どいつもこいつもみんな乱暴で口が悪くてすぐ手が出る。
スリー・ビルボード」もこんな世界だったな。

しかし力作です。脇目も振らずにバカみたいにスケートだけに生きてきた一人の人生だ。人は失敗するから、落とし穴にまんまと落ちるから、愛しい。

夫ジェフがまた最低すぎて清々しいくらいだ。ファッキンファッキン、言いすぎ。

エンディングはイギー・ポップの「パッセンジャー」でエンドロールが始まります。しかもオリジナルじゃなく、スージー&ザ・バンシーズの秀逸なカバーだ!この曲が収録されたアルバムがすごく好きで、久々に聞き直してみたいと思ってたところ。音楽の趣味が合う映画に駄作なし!(※主観)

マイケル・グレイシー監督「グレイテスト・ショーマン」1802本目

彼は暗闇にいた異形のひとたちに光を当てたのか?それとも彼らを平穏から見世物へと追いやったのか?
賛否両論あってもおかしくない、むしろ議論したり考えたりしてみたい映画だと思います。

そもそも、どこまでもいい人そうなヒュージャックマンでなければ、反感を持ってしまいそうな映画です。普通に考えると、「これは金になる」と踏んだ珍しいもの(それは南国の動物でも珍しい機械でも代替がきく)を安く買って高く売るという、商売の基本です。人道的な見地から始まったものではないです。これ以上キレイゴトっぽく描いていたら反感の方が強くなってたと思う。

日本には「バリバラ」というすごい障害者バラエティ番組があって、障害者の人たちが異形を演じる番組内ドラマはすごく面白かった。見ちゃいけないのでは?でも見てみたい、という暗いテントの中の怪しげな世界。人間にはそういうものを覗き見たい本性が備わっていると思います。見たい人の欲望、対象となる人の収入と割り切り、いろんなバランスがうまく取れなければ成り立たない世界です。

妻はマンハッタンバイ・ザ・シーで主人公の妻を演じたミシェル・ウィリアムズ。すごく普通っぽくていいなぁ、と思った。ああ、ブロークバック・マウンテンでも驚愕する妻を演じてたな。ナオミ・ワッツよりもさらに普通で、その普通さが可愛くて、同性からも異性からも好かれるけどヒロインではない。
こういう存在感がドラマには欠かせなくて、とても大事です。

感想としては、面白かったけど、やっぱりちょっとキレイゴトっぽい気がしました・・・。

2018-04-27

ニコラス・レイ 監督「大砂塵」1801本目

1954年のアメリカ映画。
テーマ曲の「ジャニー・ギター」が原題。(Johnnyを「ジャニー」って書くのって、ジャニー・ギターとジャニーズ事務所だけだよね。音の通りに表記する習慣があまりないのかな)

冒頭から、どこかで見た感じのアメリカのゴツゴツした砂漠。アリゾナ州に違いない!(←たまたま去年旅行したからって、知ったような口を)

出演者たちの風貌も骨太でいいですね。西部の荒くれ者の街で、銃も持たずなぜかギターを弾く男・・・これが「ギターを持った渡り鳥」になるのか・・・。

そしてこの映画、セリフがいちいち名セリフっぽい。不思議な味だなぁ。やけに濃い登場人物たちが、宝塚みたいに濃い芝居をするし。だいいち、ヒロインが「麗しのサブリナ」みたいな短髪(ライバルの女もだ)で「男まさり」。ジャニーギターくんの方がなんとなく優しげです。この時ジョーン・クロフォード50歳、スターリング・ヘイドンはまだ38歳!日本で言えば吉永小百合級です。(かなり女性が年上の「年の差婚」だけど、ことさらそれに触れずにストーリーが進行する映画)

西部劇ってとにかくドンパチドンパチと続く映画が多くて苦手だけど、この映画は多分監督がそれほどドンパチが好きじゃなくて(むしろ最低限に留めてる)、「強い女と優しげな敏腕狙撃手のちょっと過激ロマンス」を描きたかったのかな、と思います。うん、この映画なら私も大丈夫。

大砂塵 [Blu-ray]

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2018-04-26

マシュー・ウォーチャス 監督「パレードへようこそ」1800本目

Lesbians & Gay Support the Miners!
炭鉱夫を応援するレズビアンゲイの会。もうこれだけで最高だなぁ。だからイギリスが好きよ。
お人好しで、ちょっとお目出度くて、向こう見ずなロンドンLGBTたち。どこかですごく困ってる人たちがいると聞いて、居ても立ってもいられなくなった人たち。でもナイーブすぎて、きっと傷つくよなぁ・・・。

エピソードは色々だけど、安易なドラマじゃなく、辺境の炭鉱夫の妻たちが本気で彼らを面白がるのもリアルだし、彼らに反抗する人たちの割合もリアルだ。
俳優さんたちが実にいいです。シャーロックモリアーティを演じたアンドリュー・スコットとか。赤毛のジョージ・マッケイもいいし、ものっすごく田舎のおばちゃんらしいイメルダ・スタウントン英国アカデミー賞助演女優賞!)も素敵。

時代がね・・・。サッチャー政権の時代は英国ロックが最高にカッコ良かった時代でもあり、エイズが本物の脅威だった時代でもある。ピンポイントで、この時代にしか設定できなかった映画。

赤い炭鉱の車が走ってくるのが見えると、私まで本当に嬉しくなる。
映画でもなんでも、作っている人の魂の暖かさって出るよね。この映画はとても暖かいです。
心が寒ーくなったときに、もう一度見たくなる映画。