映画と人とわたし

2018-02-17

ルイス・ブニュエル監督「小間使の日記」1738本目

1964年の白黒映画。タイトルは「家政婦は見た」とも訳せる(笑)。
ルイス・ブニュエルの「ブルジョワジーの密かな愉しみ」が面白かったのでこれも見てみた。
こっちの方がシリアスかな。
徳のある老人役が最近は多いように思えるミシェル・ピコリは、中年の頃はいつもスケべな偉い人の役ばっかりだ!ジャンヌ・モローは、メイド服が可愛いけどもうかなり迫力があって、若くて可愛い女の子っていう感じではないです。

この映画って、徹頭徹尾、男はみんなセクハラ野郎で女は老若とわず狙われる対象なんだけど、
以下ネタバレ
なんとなく小間使いと運転手の罪を世間では同等に扱っているのかな(小間使いが主人の死と関係があるのかどうかは語られないけど)、というのがやりきれないけど、これが当時の世相なのかもしれません。

美人というのは・・・得なのかな・・・損なのかな・・・。
男たちを思い通りにできるのは「強い」と思うけど、町中の性欲たちと闘いつづけなければならないのは大変だ。

それにしても、ルイス・ブニュエル作品って好きだな。監督自身の、強い女性の弱さに向ける視線に愛を感じる。
アンダルシアの犬」だけ見て「げげ!」と思ってたけど、見れば見るほどいいです。
全くレンタルしてない「ビリディアナ」がどうしても見たいので、買うかな・・・。

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2018-02-16

河瀬直美監督「光」1737本目

この監督の映画って、プロの役者じゃない人たちが出てきて普段の生活をしてるって印象だったんだけど、最近はプロの人たちが演技をしている印象が強くなってきた。永瀬正敏は、「パターソン」の”ただの日本人観光客”の方がいい。

重ーく作ってある映画だなぁと感じた。紛争国家の人たちが底抜けに明るく笑ってる映画とか見た後に見ると、視覚障害のある人たちの愉快でたまに苦しい日常の方が見たかったとか思ってしまう。その重さはなんのためのものだったの?って。

映画の中の誰にも共感できない。監督はもしかしたら、説明スクリプトですごく嫌な思いをしたことがあって、それを映画で訴えたかったんだろうか、と思った・・・。

光

2018-02-14

オムニバス 「セブン・デイズ・イン・ハバナ」1736本目

わりと最近の映画じゃないですか。2012年。
キューバに旅行したので、関係のありそうな映画を見まくってるだけですが。
この映画はオムニバスで、普段目につきにくいラテン諸国の(当時)新進気鋭の監督がハバナでの7日間の出来事を1日ずつ担当しているようです。

2日目にハバナで開催されている映画祭に参加するために来島したサラエボ映画監督は、もしやエミール・クストリッツァなのか?あの「アンダーグラウンド」の、「パパは出張中!」の「黒猫白猫」の!?なんで彼がここに?
私ものすごくこの監督が好きなんですけど、そういえば黒猫でも、あけすけな市井の人々への愛があふれてたなぁ。地元のミュージシャンに「島を出たら売れるよ」みたいな適当なことを言って「そういうの聞き飽きたよ」って言われたりするのも、クスリと笑ってしまいます。

ネットを探したら英語版のWikipediaに、どのエピソードをどの監督が撮ったのかわかりました。
1日目の「ユマ」(アメリカ人という意味らしい)は役者としてよく出てるベニシオ・デル・トロが監督。
やっぱり・・・「Ritual」は「Love 3D」「アレックス」のギャスパー・ノエ。それしかわからないや。

ハバナって、赤道直下の熱帯の島とは違って、どこか枯れた、こなれた風情があって、懐かしいような優しさがあります。この映画にはそんな優しさがいっぱいあったな。ものすごいドラマも大爆笑もないけど、私この映画好きです。

セシリア乗った舟が漕ぎ出していく明るい夜の海が、今までにみたことがないほど美しいです。
あんなイカダみたいな舟って、密入国かなぁ・・・。マイアミキューバから目と鼻の先だけど。

ていうか私は実質まる2日しかいなかったから、せめて7デイズほど滞在してみたいな、ハバナ・・・・・。

2018-02-12

ウィリアム・A・ウェルマン 監督「つばさ」1735本目

1927年の映画。古い・・・実に古い。
タイトルをどこかで見たのを覚えていて、ツタヤでなんとなく借りたんだけど、白黒なだけじゃなくてサイレント映画でした。

最初はとっつきにくいんだけど、クララ・ボウのお茶目な可愛さ(そして、当時のマンガみたいにくっきりしたメイク)に見入ってるうちに、だんだん言葉のない世界に慣れてきます。時々しか表示されない字幕はもうあてにしないで、言葉のない動画のつもりで見ていれば大丈夫。映像は思いのほか精細で、人物の表情は雄弁です。

クララ・ボウの”おてんば”でコミカルな可愛さ、何かを思い出すなーと思ったら、多分手塚治虫のマンガに出てくる女の子たちに似てるんだな。手塚自身、この頃の映画をきっと見てるから、本当に影響を受けてたのかもね・・・。

大昔のフォード自動車(「流星号」ってなんて素敵なネーミング!)が今の私にはポンコツにしか見えず、その時代の飛行機で大戦を戦うなんて悪夢のように思われるんだけど、空中戦の場面があまりによくできていて驚愕です。CGもコマ撮りアニメも使ってない分、本当に何人か亡くなったんじゃないかと思うような迫力があります。
人間がすごくよく描けていて(こういう部分は、時代と関係ないのですよね)、英雄の悲しみも、お茶目な女性の一途な思いも、切ないけどカタルシスが与えられていて、映画としての満腹感が高いです。

さすが、これほどの古さを超えて淀川長治(懐かしいでしょ)が推してただけのことはあります。
無邪気な彼と彼女の明るさに救われます。(ここで戦争を肯定してしまうから、その後も続けちゃったんじゃないのか〜、というツッコミはせず)

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リチャード・フライシャー 監督「10番街の殺人」1734本目

1971年イギリス映画
たちこめるイギリスっぽさ。
殺人シーンから始まるので、最初から犯人とわかっている男のずるさと悪どさで、見ているのが不愉快でたまらなくなります。
しかし実話ってひどいな・・・。「切り裂きジャック」も実話だし、この事件では無実の男に罪を被せている。
事件が起こった町で撮影しているし、暗くてなんとも言えません。
ここまで鬱々とする映画もあんまりないなぁ。
精神的に強い人が、元気なときに見ていただければと思います。

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2018-02-10

廣木隆一監督「彼女の人生は間違いじゃない」1733本目

テーマがね、ぐっとくる。
震災のことが私にもわかるとは言わないけど、私にも痛いこと、叫び出したくなることがある。だからこういう出口が欲しい瞬間が少しはわかる。
好きじゃないというか何ともない赤の他人と、そういうことをすること。そういうことでお金を稼ぐこと。
恥ずかしいことを恥ずかしくやること。

瀧内公美って素敵。普段はクールだけど可愛く笑うこともできる。男の子は女の子の、何もしていないときの表情に吸い込まれるんだと思う。男の子になって、こんな子と恋をしてみたい。
で、高良健吾がやっぱりいいな。この人清潔感あふれるイケメンなのに、こういう汚れ役もまっすぐやりきるのがいい。

都会の硬い会社でガツガツ働いてる私に一番ないものが、平和で何もない田舎で退屈な家族と暮らして、平凡に押しつぶされそうになることかもしれない。いや、私にもあるのに気がつかないでどんどん押し殺してるだけかな・・・。

子犬を拾ってきたり子供が生まれたり、そんな日々が続く。戻ってきてくれてよかった。ありがとう。

降旗康男 監督「タスマニア物語」1732本目

1990年フジテレビが作った映画。テレビっぽ〜〜い。
海外といっても、未開発の山林が多いタスマニアが舞台。なんでこの映画作ったんだろうね?
タスマニア観光協会からのお話かしら。
バブルの名残りを残しつつ、すでに「北の国から」で環境派のイメージがある田中邦衛バブル後の方向性を託してるのか。
当時私は就職したばかりのはずだけど、この映画のことは全く記憶にない・・・。何やってたんだろうなぁ。

当時はまだ、航空会社が「子供の一人旅サポート!」とかやってた時代なのかな。
まるで、家や学校が辛くなったときに逃げ込める”裏山”みたいに、子供たちはタスマニアの野山を探検します。「スタンド・バイ・ミー」みたいでいいです。

タスマニアに近々行ってみようかな、というのがまずあって、その参考資料?として借りてみました。ホバートはあまり特徴のない穏やかな都会だけど、子供が逃げ込める裏山があるのが素敵でした。

タスマニア物語 [DVD]

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