映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

シャルル・ビナメ 監督「エレファント・ソング」1606本目

2014年のカナダ映画
グザヴィエ・ドランが英語しゃべってる。ネイティブじゃないという感じはないけど、フランス語の方が自然な気がする。。。

誰もが愛するものを失うという、悲しみに満ちた映画なんだけど、全員大人なので誰もオイオイ泣いたりしません。生きることはここでは、悲しみながら生きるということだ。ドラン演じるマイケル少年は、悲しみながら生きなくて済むこの結末を迎えるために、下世話な言葉でいうと”ひと芝居打った”んだ。
なんか、それでいい、気がする。

最後に登場するローレンス医師は、ドランの映画に出てくる、例えばギャスパー・ウリエルみたいな、モデルばりのイケメンかと思ったら、髪の薄い知的で暖かい感じのおじさんだった。これもまたいい選択だと思える。

役者としてのドラン、これから年をとるにつれて、幅が広がっていくのか狭まっていくのか、全然わからないなぁ。とにかく素晴らしい映画だったと思います。

エレファント・ソング [DVD]

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ジェイ・ローチ 監督「奇人たちの晩餐会USA」1607本目

本家フランス映画のリメイク。これは2010年の制作だそうです。
冒頭とか設定とかが違う。パーティの主催者ではなくて、ハイソなグループに入りたい男の上昇志向がポイントになってる。まだ結婚してなくて、ほぼ婚約者vs一度過ちを犯した昔の女、という形。(オリジナルでは妻と長年の愛人)腰痛がオリジナルではずっと続くけど、US版ではすぐ治る。
わざわざ変えた設定がそれほどしっくり来なくて、なんで変えたのかな〜と思ってしまいます。

主役のおバカさんのキャラクターも全然違う。なんか可愛くない。彼の趣味はマッチ棒でエッフェル塔を作ることではなく、ネズミの剥製で名画のパロディを作ること。
なんか全体に残念な感じで、おバカになりきれない感じの映画なんだなー。「ハングオーバー!」みたいな元気おバカさんがアメリカンっぽくて可愛いのに。

妻、じゃなくて彼女が逃げ込んだと思われる男の家というのがジャングルみたいで、笑えなくもないけど演出が重い。いっそのこと、もっとB級ムードをかもし出してくれたら・・・。

あ、この感じ。晩餐会でおバカさんたちを笑う彼らは、アメリカン・アイドルの審査員に似ている。