映画と人とわたし

2017-10-07

エリア・カザン監督「草原の輝き」1641本目

1961年の作品。
タイトルを見て「いんねむりしったのね」と歌い出してしまう自分の昭和感がイヤです。

ディーニー(ナタリー・ウッド)が美少女!で、バド(ウォーレン・ビーティ)はどこか優しげなスポーツマン。高校生にしては大人びた二人ですが、育ちが良すぎて愛と性のはざまで深く苦悩します。
こんな時代(1928年という設定)のアメリカ若者たちも、悩んだのね。私たちの時代にも悩んだし、自由に見える今の子達も同じことで悩むのかもしれない。どんなに世の中が自由になっても、個人個人の成長は避けられなくて、純粋さを失うことの代償に大人として生きていく責任を帯びていくわけです。

最後のディーニーの毅然とした表情が美しい。バッドは堕落したように思う人もいるかもしれないけど、彼らしい生き方を見つけたんだろう。気立てのいいアンジェリーナ(バドの身重の妻)が、彼が昔愛した身なりの良い女性の出現に動揺するのもわかるし、彼女に幸せでいてほしいとも思う。

1929年大恐慌の前年ってことなんだな。株の大暴落によって破滅したバドの家と、娘を入院させるために株を売ったことで売り抜けられたディーニーの家、という時代背景も重いです。

エリア・カザンこの映画でも深いな。

デイヴィッド・リンチ監督「ロスト・ハイウェイ」1640本目

1996年の作品。
もう見なくてもいいんだけど、デイヴィッド・リンチのメジャーな作品を全部見てしまおうと思いついてしまったので、また頭おかしくなりそうでやだなぁ、と思いながらもレンタル。
実際、何かの精神の病をシミュレートしているかのようなこの気持ち。

いきなり夜のハイウェイを相当のスピードで飛ばしている(左右に揺れながら)映像に、デイヴィッド・ボウイの曲が被さる。時代としてはインランドエンパイアやマルホランドドライブ、ストレイトストーリーより前で、デューンエレファントマン、ツインピークスより後。

「6歳のボク」のパトリシア・アークエット、お母さんじゃない姿はなかなか妖艶です。
この映画での”キラー・ボブ”、ミステリーマンを演じたロバート・ブレークはその後、実生活で実妻を殺害したとして訴追されたとか。悪い魂ってのが演じた人に乗り移ったりするのかしら、なんて考えるのは縁起が悪いですね・・・

この映画も、男の浮気心と殺意と心の中のやましさが、幻覚やら現実やらになって彼をさいなみ続けるという辛いお話だったのではないかと思いますが、今回は特にボウイやらルー・リードの音楽、マリリン・マンソンやヘンリー・ロリンズの出演などもあって、とってもロックで比較的お茶の間的な作品となっています。(ほんとか)

はー、やっとこれでリンチ卒業だ。と言ってる間にツイン・ピークスの新シリーズのDVDVODが始まってしまう・・・。

矢口史靖 監督「サバイバルファミリー」1639本目

面白かった。
突然の大停電、と同時にあらゆる電子機器が動かなくなる、という事態そのものに関する説明は何もないまま、巻き込まれた平凡な家庭の生き残りをかけた踏ん張りを映画にしました。
もう全然本当っぽくはないの。
社会全体で見るとどう人が流れるか、なんていう視点は完全に置いといて(つまり、都会から田舎へ流れた人は他にも大勢いただろうけど、この家族が出会うのはあちこちの地元に住み続ける人だけ、とか)、とにかく一家四人が、困る。困りながら、ジタバタしながら、なんとかしようとする。それがとても面白い。

以下ネタバレ
2年以上たって、電気があった生活を忘れかけた頃に突然の復旧。ニュースでは原因がわからないという話だけが流れて、家族はまた元の生活に慣れていく、ただ、お母さんが鯖を上手に下ろせるようになっただけ。

映画は偏ったノスタルジーを催させるような作品ではなかったけど、なんとなく、何もない生活がちょっとだけ羨ましい気がしました。

サバイバルファミリー

サバイバルファミリー