映画と人とわたし

2018-01-13

テオ・アンゲロプロス監督「ユリシーズの瞳」1715本目

ギリシャの監督のはずだけど、主役の「A」(ハーヴェイ・カイテル)が英語をしゃべるし(※一部ギリシャ語)、イタリアフランスの合作映画だし、ロシアみたいな場面がいくつも出てくるし(頭だけの巨大な彫像をクレーンで吊り下げてるのは、「グッバイレーニン」を思い出してるだけかな)、ちょっと不思議な映画です。

マイペースに自国語をしゃべり続けてるのは、Aだけじゃなくて全員そうみたいだ。わからない言語ばかりだし、ドナウ河の流域がどの国とどの国に渡っているのか、地理関係もわかってないし、歴史も知らないし、そもそもどの国が社会主義国かもわからない。こういう映画は、DVDでゆっくり見ながら徹底的に調べ物をした方が面白くなります。
というわけで、ドナウ河の流域の国々はこちら: ルーマニアハンガリーオーストリアセルビアドイツスロバキアブルガリアボスニア・ヘルツェゴビナクロアチアウクライナチェコスロベニアモルドバスイスイタリアポーランドアルバニア。なんとWikipediaで17カ国も示されています。(ギリシャ入ってないじゃん)島国の私からは到底想像もできない。ヨーロッパの歴史を、川とたどるだけでどれほど語れるでしょう!・・・つまりこれが監督の意図で、(といっても映画だけではわからないのでKINENOTEの解説から)ギリシャアルバニアマケドニアブルガリアルーマニア(※ここからドナウ河を上る)〜セルビアボスニア・ヘルツェゴビナに至ります。

旅する映画を作る監督なんだよな。近代史をたどる旅。誰も糾弾しないけど、倒れた人たちと、旅を続ける人たちに優しい気持ちを注ぐ。・・・だから、正直意味は正確に受けとめられていないけど、この監督の映画はなんだか良いのです。
失われていたフィルムを現像することは、過去をきちんと見直して受け留める意味を持つのでしょう。そこに到るまでに通り過ぎてきた、失われた人たちの心も、そこには込められているように思います。

ユリシーズの瞳 [DVD]

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