Where is the birthplace of sushi? Here! - さすが発祥の地、濃い味付けですがこれは美味しい!

 世界にはカリフォリニアロールのようなローカライズされた寿司、その他摩訶不思議なモノがのっている握り寿司などが存在します。例えば…、
 
 
 (タイで見つけた5バーツ(15円)のドラえもん寿司!2014年2月。)

 また日本でも最近はレールに乗って動くお店ではハンバーグがのっていたり、他にも国内の沖縄にも独特のスパムがのった寿司もがあるそうです。好む人がいるからそういうものが生まれるのでしょうし、そういう意味でそれはそれで良いと思います。

 先週、本学の医学部の先生から「若狭たかはま鮨」の素を頂きました。そこで早速昨晩作ってみました。すると、これがとても美味しい!(ありがとうございました!!)
 
    
 (タマゴで覆ってしまうと何が入っていたのかわかりませんね…。じつは右の写真の左上に見える塊、この鯖のソボロが味を引き立てています!)

 配分量通りに作ると、普段いただいているお寿司よりは相当濃いのですが、甘さはさほどなく、この鯖のソボロがいい具合にアクセントになっており、癖になりそうです。この商品はもっと世界に知れわたってほしいですね!

 中の説明書きを読むと、なんとこの福井の嶺南地方の高浜町がすし発祥の地なのだそうです。少し調べたところ、奈良の平城宮跡で見つかった「贄札」が日本最古を示すとのこと。まさに地域ブランド商品ですね。

 地域ブランドというと漠然としているかも知れませんが、要は一般的なもの等との違いがあり、そこに訴えるべき何らかの優位性があればいいわけです。以前このブログで大分県一村一品運動に触れました(下記にリンクを記載)。そこでは「ひとづくり」の大切さが基本であることも述べました。ともするとプロセスではなく結果だけをみて、地域の特産品を用いた「ものづくり」のみに重点が置かれがちです。しかし「ものづくり」に訴えかける想いと違いを込めるには、そしてその違いに気づくには、やはりヒトというソフトな資源に注目する視点は欠かせず、どうやらそこが全国、全世界の地域ブランド戦略の成否になっている気がします。
 
    
 (タイの片田舎のショッピングモールで見つけた一村一品モノを販売するお店です。夕方なのにお客がいない…。2014年3月。)

 中小企業地域資源活用促進法という法律があります。これは中小企業が地域の資源を活用することで地域の活性化を目的とする(第1条要約)ものなのですが、以上のような視点から、もう少し支援対象を広げると良いと思います。

 まず「違い」を生み出すという点では、現状ではビジネスアイデアを応募というところから始まります。しかしその段階で、もう手遅れかもしれません。それ以前の考案段階から支援対象とすることです。特に域外の知、特に地域の外部と内部の双方をクロスさせることです。これは本学で授業をしていて気付いたのですが、学生のグルーピングで県内と県外出身者の双方の意見が混ざると、それなりに面白いアイデアを出してくれます。つまり多様な集合知が、域内の思考の枠を超え、新たなアイデアを生み出します。そして域外のニーズを捉えたものづくりにつながります(またものだけでなく無形のブランド作り支援もあっていいのではないかと思います)。地域でいくら考えても、そして「これは凄いんじゃないか(ピカーン!)」みたいなものを開発しても、なぜか全国発信すると売れないことってあるでしょ。

 その上で東京を超えたグローバルマーケティングへの支援です。実際に国内への販路支援は現在もあります。都心のデパートの地方名産フェアーなるものも良いのですが、その販路開拓は引き続きやるとして、中小企業ではできないことをもっとセットにすると良くなります。海外販路開拓支援は別の政策で行われていますが、例えば一連の流れ(むしろ海外市場を念頭に置いたものづくりという新しい視点)にするなどです。

 海外の日本フェアーですが、日本通の外国人から見ればありきたりの内容との意見も聞くこともあります。最近は日本人より日本通な外国人も多いとされます。グローバル化情報格差を少ししか縮めていないようです。どうやら地方のグローバル化はこれからです。乱立する地域ブランドは、訴求する対象が日本人1億人ちょっとではなく、世界の70億人であっても全く問題ないわけです。日本人でも、フランス料理というとワインを必ず飲んで、ポトフやでんでん虫を頂き、牛肉や白身魚をメインとするだけでもないわけです。一般的には確かにフォーマルなものをまず思いうかべますが、フランスのプロヴァンス地方の田舎料理、野菜の煮込みや仔羊料理もどこかそそられるでしょ?^^

 以上は一つの例ですが、要はものづくり部分だけを支援するのではなく、「起案」段階から「新たに開拓する」消費者に届くまでの一貫した流れを作り上げるところまで行うということです。一部だけの支援であれば政策効果の判断は難しいですが、流れをセットにしたうえであればその判断も明確です。成功モデルであればその地域ブランドは支援を終えても自立します。いつまでも支援がなければ立ちいかない場合は失敗モデルとして諦め、失敗の要因を分析し次の案に生かせば良いわけです。このような反省を伴う失敗であれば、むしろ政策としては無駄ではなく成功(失敗の発見という意義)といえるでしょう。

 これからの政策には必要なのは、審査し予算をつけるだけでなく、ハンズオンという単純なレベルでもなく、一貫した支援と次につなげる未来志向です。

(関連の過去のブログ)
→ 大分県の一村一品運動について
→ 鯖街道と鯖江市は関係ないという話