アンモニアの実験室製法
昔 河合塾である先生が
実験室で簡単にアンモニアを発生させるには
どうすればよいか
正解は
アンモニアのボンベを開く だそうである
工業的にはもちろんハーバー法で窒素と水素を直接化合させるわけだが
実験室ではとうてい無理
そこでいろんな方法を使うわけだけど
確かにボンベがあるならそれが1番簡単だ
ない場合には
ところがセンター試験に出題されるのはただ1つ
塩化アンモニウムに水酸化カルシウム(消石灰)
を加えて加熱する である。
この方法は中学校の教科書にもよく載っていて実際によく行われているが
固体と固体の混合物から気体が発生する という面白い現象ではある
弱酸の塩(塩化アンモニウム) に 強塩基(水酸化カルシウム) を加えるわけだから
加熱しなくても発生するのだが 加熱によりアンモニアを系外に追い出せるのですみやかに発生する
アンモニアの乾燥には塩化カルシウムは使えない のでソーダ石灰か生石灰を使う
(もちろん十酸化四リンや濃硫酸などの酸性の乾燥剤は反応してしまうので論外)
そして水によく溶け空気より軽いので上方置換する
センター試験に出題される気体で
上方置換するのはアンモニアだけ である
さらに アルカリ性の気体はアンモニアだけ ということも覚えておいていい
アンモニアは分子構造が水に似ているので水にきわめてよく溶ける
このとき大部分は分子のまま溶けているけれどごく一部だけ電離してアンモニウムイオンと水酸化物イオンになる
NH3 + H2O → NH4 + + OH-
この反応でアンモニアは水素イオンを受け取っているので酸であり
水は水素イオンを与えているので塩基である(ブレンステッドの定義)
またアンモニアは水溶液中で電離して水酸化物イオンを出すので塩基である(アレニウスの定義)
さらにアンモニアは非共有電子対を与えているので塩基である(ルイスの定義)
アンモニアの電離度はそんなに大きくないので1価の弱塩基であり
アンモニアの 塩化物 硫酸塩 硝酸塩 などの水溶液はすべて酸性 なので
センターレベルなら 〜アンモニウム はすべて酸性 と考えていい
さきの反応で左向きに考えるとアンモニウムイオンは水素イオンを与えているので酸である
アンモニアは金属イオンに対して配位子として働きいろいろな錯体を作る
銅(II)イオンにアンモニアが4つ配位した テトラアンミン銅(II)イオンの深青色は特に有名