三月のライオンと、橋と、川。

先日最新刊が発売された羽海野チカの「三月のライオン」は東京の下町に住む少年の話なのですが、思えばかなり印象的に橋梁が描かれているのでした。いや、今日4巻読むまでまったく意識してなかった。ひとはほんとうに自分の見たいものしか見たいのだなあ。二月にちょうどぶらぶらしてたあたりだった(というのに、橋のカットを見てようやく気がつくあたり、立派な橋好きとして成長しつつあるのか、マヌケなだけなのか)。



ていうか、1巻の表紙からそのまんまじゃんね。陰の主役と言ってもいいほど饒舌に人物の心情を映すこの橋は、霊岸島から月島に渡る中央大橋。三姉妹のいる古き良き下町は月島なのねー。



これは、霊岸島水位観測所。日本の標高の水準点だったところ。ここの水面が「海抜ゼロメートル」の基準になっていたとのこと。現在は護岸工事によって基準点は移転したものの、モニュメントとして遺されてるそう。斜方12面体といういっぷう変わった立体で、見る角度によって姿をぐるぐる変えるもの。とても象徴的。



これは亀島川水門隅田川に注ぐ河口にある、防潮水門。わー、アングルまで一緒だ!



BO菜クルーズに参加した時に川上から中央大橋を撮ったもの。カットは橋の上からみたものだろうけど。位置関係的に右岸の橋のたもと、小さなビルの一室に桐山は住んでるんだろう。

マンガのロケ地を訪ねあるく趣味はぜんぜんないんだけど、自分がぶらぶら散歩したことのある街に彼らが暮らしていると思うと、とても面白い。ただひとつ残念なのは中央大橋は新しい橋なのでラッキーさんが不在なのことなのよね。ちぇ。

LOB TOKYO BO菜 at 江東区のあちこち

たいへん珍しいアングルからのラッキーさんをいっぱい見てきたよ!ボート・ピープル・アソシエーションの「LOB TOKYO BO菜」という催しに参加して、船でたくさんの橋をくぐってきました。橋が低いので、いきおいラッキーさんもすぐ手に取れそうな位置に鎮座ましてる。びっしりならんでる姿がいちいちかっこいい。催し全体のレポートはこちらから→ iccw blog // はてな避難所 「LOB TOKYO BO菜」

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山手トンネルウォーク

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イベント終了後、つるとんたんであさごはんを食べて帰宅。シャワー浴びて出発。なにこの強行スケジュール。目指すは山手トンネルウォーク。池尻大橋から歩いてすぐのところにある、山手トンネルと東名/都心環状線をつなぐ大橋ジャンクションのなかをてくてく歩こうという催し。広く一般に広報されていたせいで参加者は驚きの15000人。老若男女が集う一大イベントになってました。まあ、こういうライトアップとかいらないんだけど…。パネルや映像の展示、なぜか消防車だのパトカーだのも勢ぞろいしてすっかりお祭り騒ぎ。

ぐるぐると二周のぼる勾配はけっこうバンクもきつくて、ずっと歩いていると山側の脚が「ちょっとしんどいんですけど」って言い出すくらい。車でのぼったらなんのこともないんだろうけど。路面に書かれた文字の長体っぷりに驚いたり、「歪み測定システム」の存在に驚いたり(そうだよねえ、一度でき上がっても歪むんだよねえ)、たっぷり二時間かけて満喫してきました。あちこちにいる係のひとに何を聞いても答えが返ってきて楽しかった。現場のひと、つよい。

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個人的にいちばんぐっと来たのが、このトンネルを掘り進んだシールドマシンの刃が展示してあったところ。ぴかぴかにお化粧されたトンネルの中ではとても武骨でくたびれた展示品ではあるけれど、完成までの来し方に思いを馳せさせるすてきさがある。シールド工法って、掘るというよりもひげそりみたいにじりじり地盤を削っていく方法なので、その最先端がこれだったのか、と思うとただ感嘆するばかり。

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刃先の部分の材質を問うたら「超合金です」と言われてひっくりかえる。実生活の文脈で初めて聞いたよその単語…。コバルトやタングステンをメインに、細かな混合比は機密事項になるようなシロモノだそうで。「IHIさんも教えてくれないです」とか、笑った。

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それがこんな風につるつるになってしまって、場所によってはパッキリと欠けているところさえあった。というか、そもそも溶接部分がどんだけの力に耐えてるんだ、とか考え出すと深みにはまりそう。土木のスケールってなんだか本当にケタはずれなんだなぁと改めて思う。そしてやっぱりディテール好きなじぶん。

とくに連絡を取り合っていたわけでもないのだけど、あちこちで知った顔とすれ違ったり合流したり。みんなでごはんを食べて綾瀬へむかう。雨は止まない(とほほ)。

横濱散歩

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三渓園の裏門辺り。地層が露出しているのはかつての海岸線、謎の中華風四阿、背後には煙突と高速道路。ヤバ借一級。

雨は強さを増してもはや「外に出たくない」レベルの降雨にも関わらず、@hajimebsの呼びかけで集まったちょう豪華メンバーで(タモリ倶楽部3本は撮れるとおもわれる)、中華街〜元町〜フェリス〜山手〜根岸森林公園三溪園とぐるり回ってきました。

地形図と地図と古地図とGPSと14人の視点を駆使しながら、街並みや建造物や地形の痕跡や景観のあり方や建築や団地や工場や橋脚や@kinoshitakeshiの幼き思い出をめぐるフィールドワーク。

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▲すんごいガケンチク。どうしてこうなった。

横浜の急峻な地形を楽しみつつも(前門の工場、後門のランドマークタワー!とかさ)、津波の影響で沿岸部の電車が止まったり、twitterを使って「その場にはいない参加者」とも時間と現在地を共有することで、想像以上のふくらみを見せた試みになりました。あまりに濃密な時間であったことよ。

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そうそう、途中で寄った白滝不動尊で富士塚的なものを見つけ、たいそうテンションが上がる。狛犬の台座が、富士塚の大きな特徴のひとつである黒ボク=溶岩なのをみて「もしや!?」と思えた富士塚センサーの発達ぶりをほめたい。→やっぱり富士塚でした。どうも移築っぽいんだけど、どこから来たのやら。

みんなといっしょに歩いていて思ったのは、自分には全然「地形が見えてない」ということ。街あるきにはずいぶん慣れてきて目に留まるものも多いんだけど、いちまい剥いだ「地形」そのものはぜんぜん読み取れてないことに気づかされた。鳥の目への道、まだまだ険しい。

当日前後のまとめ

事前リサーチとここまでのやりとり

けたかかり長といく高尾梅まつりツアー「ジャンクションもあるでよ」

先般さる飲み会で、ラッキーさんのけなげさすてきさを熱弁していたら「それってダメおとこみたいだね」と言われた。まさかドボク趣味から好きな異性のタイプを看破されるとは思わず動揺しきり。いや、たんなるダメおとこには興味ないです!専門性に没頭するあまりなにかを見失ってるようなダメおとこがいいんです。熱弁すんな。

@kakuyodo氏に、手を伸ばせば届きそうな彼をご紹介いただき「いきたーい!」と騒いでいたら、なんだかゴージャスなツアーを組んでくださった。濃すぎだぜ、これは。

ところで、3/13(土)けたかかり長といく高尾梅まつりツアー「ジャンクションもあるでよ」なのですが、京王高尾山口駅集合→ケーブルカーorリフトで山頂駅→八王子JCT→梅まつり→小仏関所跡→高尾駅→立川駅→多摩モノレール高架橋脚鑑賞で丸一日かかりますが如何?

この辺はまったくもって未開の地なのですが、八王子JCT近辺では裏高尾橋というダイナミックな工事がおこなわれていたり、ダンプエレベーターという魅力的な構造物もあり。さて、どうなるか。いちおう梅まつりもリンクしておこうか。これはこれですてきな催し。

れいによって適当に集合してゆるりと展開されるツアーになるはずです。もし同行希望の同好の士などあれば、コメントなりMentionを。集合時間さえまだ決めてませんが、てるてる坊主は作っておこう、とりあえず。

有坂蓉子×大山顕 presents 新春富士塚ツアー


こちら八丁堀の鉄砲洲富士。マンションに囲まれていながら、荘厳。

まさかの二日連続フィールドワーク。バレンタインデー×旧正月×新月という、節目の日に富士塚をめぐってきました。富士塚って富士講民間信仰?くらいの前知識しかなかったんだけど、思った以上に適当で、粋で、愛され親しまれてきた(いまでも)存在な事を知りました。地形的な観点(大山さんが事前にまとめた地形図との照合、すごくエキサイティング)でも江戸風俗的な観点でもまちづくり的な観点でも楽しめるすぐれもの。こんなに素敵なものが今まで見えてなかったとはもったいないことをした。

富士講も、もっと厳密に宗教的なものかと思ってたんだけど、要は町内会の娯楽のひとつみたいなものだったのね。富士山に登るのは大変なので、自分たちで作っておなじような御利益を得よう、というのが富士塚のはじまり。とはいえ実際に富士山の溶岩を運んできてつかっていたり(当時の運搬は海運がメインだったので川や海を使って山を作るという奇妙な構造に!)、富士のお中道のあたりが石楠花の群生地なのにちなんで五合目付近に石楠花を植栽してみたり、山を築くために掘った穴を富士五湖に見立てた池にしてみたり。判じ物のようにいろいろな工夫と見立てを凝らしているのがすてきだった。


歌舞伎町のど真ん中、西大久保富士。左右にふたつ山があって、カミテが4合目まで、シモテが5合目〜頂上という斬新すぎる発想。江戸時代に立体空間をずらして構築するってさあ。絶対未来人のしわざ。

今回めぐったところは、とくに特徴的でわかりやすいものが多かったのだけど、開発で消えてしまったり、移動させられたりといろいろな来歴をもった富士塚があるそう。「そういうポータブルな感じもいいんです」とおっしゃる有坂さんも、変に研究家っぽくなくておもしろい(でも、何聞いても10倍になって帰ってくるのに感激。すごい)。

有坂さんのブログもすごくおもしろい。で、このツアーをさらに深く広く展開する富士塚ナイトが3/14にお台場カルカルにて開催。おもしろいことになりそうです。

当日の参加者+αによるつぶやきまとめ。木花咲耶姫のはなしが盛り上がりすぎ。恋愛の神様でもあるのだけど、御利益はいかほどあるのだろうか…。