NFL全32チームのチーム愛称に係るカテゴリー分けによる極めて個人的なインプレッションズ、の巻。

 以前「書いてみたい」と言ってたチームの愛称に関するNFLコラム、ちょっと纏めてみた。
 元データは、「NFL JAPAN」と「American Football Magazine」、あと諸々のネトでのサイト。内容は、チーム名、命名者、由来、創設年、NFL優勝回数(スーパーボウル誕生後)、通算勝率、の順です。
 ※コメントでkiyotaさんから命名者情報を頂きましたので、その分も追加しました。
 思ったよりもカテゴリー分けが難しく、また古いチームになると由来がよく解らないのも多く、「何じゃそりゃ」ってのもありますが、まぁ個人サイトなので御容赦下さい。


職業
Pit.Steelers (鉄鋼業者) ?(オーナー命名:kiyotaさんから)、ピッツバーグが鉄鋼業で栄えたことから。
  1933〜、優勝4回(スーパーボウル進出5回)、通算勝率.489
K.C.Chiefs (酋長) オーナー命名、?
  1960〜、優勝1回(スーパーボウル進出2回)、通算勝率.529
Dal.Cowboys (カウボーイ) オーナー命名テキサス州ダラスにカウボーイが多数居たことから。
  1960〜、優勝5回(スーパーボウル進出5回)、通算勝率.573
Was.Redskins (ネイティヴアメリカン) オーナー命名、?
  1932〜、優勝3回(スーパーボウル進出5回)、通算勝率.510
G.B.Packers (缶詰業者) ?、創設当初、缶詰業者に援助を受けていたことから。
  1919〜、優勝3回(スーパーボウル進出4回)、通算勝率.541
Min.Vikings (北欧の海賊) ?、ミネソタ州に北欧系住民が多いことから。
  1961〜、優勝0回(スーパーボウル進出4回)、通算勝率.548
T.B.Buccaneers (カリブの海賊) ファンコンテスト選出、カリブ海沿岸の街であることから。
  1976〜、優勝1回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.383

抽象的・象徴的人物
N.E.Patriots (愛国者) ?、アメリカ独立戦争の舞台であるから。
  1960〜、優勝2回(スーパーボウル進出4回)、通算勝率.476
S.D.Chargers (襲撃者) オーナー命名、「Charge!」の歓声から。
  1960〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.467
Oak.Raiders (侵略者) ?(オーナー命名:kiyotaさんから)、?
  1960〜、優勝3回(スーパーボウル進出5回)、通算勝率.583
N.O.Saints (聖者) ?、ジャズの街であり「聖者が街にやってきた」の舞台であるから。
  1967〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.402

人種・種族
Ten.Titans (ギリシャ神話の巨人) ?(一般公募:kiyotaさんから)、テネシー州ナッシュヴィルが、「南部のアテネ」といわれることから。
  1960〜、優勝0回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.489
N.Y.Giants (巨人) ?、MLBチーム名を引用
  1925〜、優勝2回(スーパーボウル進出3回)、通算勝率.528

鳥類
Bal.Ravens (カラス) ?、「ザ・レイヴン」の著者エドガー・アラン・ポーの故郷であるから。
  1996〜、優勝1回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.492
Phi.Eagles (鷲) ?、創設当時のニューディール政策のシンボルだったから。
  1933〜、優勝0回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.464
Atl.Falcons (隼) ファンコンテスト選出、高貴で誇り高いイメージから。
  1966〜、優勝0回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.392
Ari.Cardinals (紅雀) ?、創設当初シカゴ大学からカーディナルレッドのジャージを購入したことから。
  1898〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.401
Sea.Seahawks (海鷹) ファンコンテスト選出、?
  1976〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.470

動物(ネコ科)
Cin.Bengals (虎) オーナー命名、1930年代にシンシナティにあったチーム名から。
  1968〜、優勝0回(スーパーボウル進出2回)、通算勝率.427
Jac.Jaguars (ジャガー) ファンコンテスト選出、?
  1995〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.507
Det.Lions (ライオン) オーナー命名、百獣の王のイメージから。
  1930〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.463
Cal.Panthers (豹) ?(オーナーの息子命名:kiyotaさんから)、?
  1995〜、優勝0回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.444

動物(その他)
Buf.Bills (牡牛&開拓者バッファロー・ビル・コディー) ?、伝説的人物の人名から。
  1960〜、優勝0回(スーパーボウル進出4回)、通算勝率.474
Mia.Dolphins (イルカ) ファンコンテスト選出、イルカのイメージから。
  1966〜、優勝2回(スーパーボウル進出5回)、通算勝率.606
Ind.Colts(若馬) ?(ファンコンテスト選出:kiyotaさんから)、創設当初のフランチャイズボルティモアが競馬の盛んな町だったことから。
  1947〜、優勝1回(スーパーボウル進出2回)、通算勝率.491
Den.Broncos (馬) ?(一般公募:kiyotaさんから)、西部の荒々しいイメージから。
  1960〜、優勝2回(スーパーボウル進出2回)、通算勝率.514
Chi.Bears (熊) ?、MLBチームシカゴ・カブス(小熊)があるがフットボールは野球より大きいから。
  1920〜、優勝1回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.557
S.L.Rams (牡羊) オーナー命名、オーナーの好み。
  1937〜、優勝1回(スーパーボウル進出3回)、通算勝率.523

その他
N.Y.Jets (ジェット機) ?、当時の近代的イメージから。
  1960〜、優勝1回(スーパーボウル進出1回)、通算勝率.445
Cle.Browns(茶色・初代HCポール・ブラウン) ?、初代HCの人名から。
  1946〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.548
Hou.Texans (テキサス) ファンコンテスト選出、テキサス州に根差した馴染みのあるイメージから。
  2002〜、優勝0回(スーパーボウル進出0回)、通算勝率.281
S.F.49ers (1849年のゴールドラッシュ) ?、本拠地サンフランシスコがゴールドラッシュで沸いた1849年に建設されたことから。
  1946〜、優勝5回(スーパーボウル進出5回)、通算勝率.555


 先ずは前座的に、創設年次から見ていく。
 古いチームは、職業だったり人名だったり、「そのまんまやん!」ってのが多い。新しくなると動物名が増え、チームのイメージを託していくようになってる、のかな?
 あと、最近のチームはファンコンテストで決めるケースが多いが、古いチームはオーナーの独断で決定したものが多く(あまりに古いと不明になる)、近年のファンを大事にする考え方が顕れてるんだろうなぁ。


 続いて本番、カテゴリー別に見ていく。


 「職業」を表してるチームは、前述の通り古いチームが多いのだが、所謂「名門」が多数あって、実績的にも優れている。特にAFCは、このカテゴリーからチャンピオンが生まれてるケースが非常に多い。
 QBテリー・ブラッドショー(Steelers)、RBエミット・スミス(Cowboys)、QBブレット・ファーブ(Packers)等々「スーパースター」「英雄」とされる人物を多数輩出してるのも、伝統ある「職業」カテゴリーならでは、か。
 嘗ての「Steelers vs Oilers」とか、解り易かったなぁ。鉄と油が入り混じって、重工業的激戦が続いたもんだ(意味不明)。


 「抽象的・象徴的人物」(名付け辛かったカテゴリー)は、チームカラーがかなりハッキリしてる気がする。紳士で良い子ちゃんのPatriots、荒くれクソガキのRaiders、お人好しで勝負に甘いSaints、なんて感じで。おっと、毒づいてしまったが、そんなつもりでは無い。
 成績的には割と浮沈が激しく、一旦チーム力が降下すると戻って来ない感じ。どのチームも、苦難の暗黒時代を経験している。但し、勢い付くと歯止めが利かず、今の「王朝」Patriotsは、そんな「浮」の状態の象徴のように思える。


 「人種・種族」は、結果的に巨人2チームになってしまった。どっちがデカいのかはよく判らない。
 Titansの前身たるHou.Oilersにしろ、Giantsにしろ、オーソドックスで安定したスタイルのように思える。ベテランQBが安定したパスに粘り強いラン攻撃を織り交ぜつつ確実に前進させ、堅固なディフェンスが守り切る、てな感じ。少なくとも、QBウォーレン・ムーン→QBスティーヴ・マクネアのTitans、QBフィル・シムズが率いたGiantsは、そんなイメージ。QBビリー・ヴォレックやQBイーライ・マニングが牽引する今の両チームは、それからは少し外れてる気もする。


 「鳥類」カテゴリーは、成績的にはかなり低い。所属する5チーム全てが通算勝率で5割を切っており、スーパーボウル制覇は最も新参であるRavensが2000年に達成するまで一度も無かった。
 最古参のCardinalsにとっては、苦節100年以上を経て漸く「鳥類」から王者が誕生した訳で、けど実際にはCardinalsは一度もスーパーボウルに進出出来てない訳で他人任せなんだけど、まぁとりあえず喜んどくか、てな感じな訳で(そんな訳も無い訳で)。
 但し、この数年に限って言えば、勝率は極めて高い。昨年はEaglesスーパーボウル進出、RavensもFalconsも経験している。成績が昇り調子とあって、今年も歓喜の舞いが見られる可能性は高い。
 近年のチーム戦術から言うと、大空を羽ばたく鳥類のイメージとは裏腹に、華麗なパスアタックによる空中戦を武器とするチームは少ない。どっちかと言えば、堅実な守備と地道なラン攻撃が支柱。


 「動物(ネコ科)」は、元々は虎とライオンの2チームだったところに、1995年のエキスパンションで加盟した2チームがいずれもこのカテゴリーを名乗ったことで、合計4チームになった。
 とは言え、後発の2チームの方がここんとこは調子が良い。Lionsなんか、65年も遅く誕生したPanthersにスーパーボウル進出で先を越されてしまったし、「百獣の王」の名が廃る。
 90年代以降は、強力なランアタックを主軸に据えた戦術が光る。LionsのRBバリー・サンダース、BengalsのRBコーリー・ディロン(現Patriots)、JaguarsのRBフレッド・テイラー、PanthersのRBティーヴン・デイヴィスと、大物ランナーが揃う。その攻撃は、さながら猛獣の牙が敵を切り裂くが如く、鋭利で力強い。


 「動物(その他)」カテゴリーは、実は勝率的には最も高い。スーパーボウル制覇もBills以外の全てのチームが成し遂げている。
 どのチームも、「黄金時代」とも呼べる一時代を築いているのが特徴。QBジム・ケリーが繰り出すノーハドルオフェンスと鉄壁の守備によるBillsのスーパーボウル4年連続出場、Dolphinsの史上唯一の「パーフェクトシーズン」および伝説のパッサーQBダン・マリーノによるディープアタック、Coltsの現代NFL創成期および史上最高のパッサーQBペイトンマニング率いる現在、80年代Bearsの操った「46守備」による史上最強のディフェンス、Ramsが擁した「ウォーナーブラザーズ」による超破壊力オフェンス、いずれも記憶にも記録にも残る栄光の時代だ。
 因みに、ColtsもDolphinsも、黄金期のHCはドン・シュラであり、彼一人で実に338勝を挙げている(リーグ最多)。


 「その他」カテゴリーは、余り物の寄せ集めだからか、一概にチームカラーや成績を語れない。49ersの実績はリーグ全体で見ても抜きん出ているが、続くチームが居ない。
 Brownsは嘗て「名門」と呼ぶに相応しい強さを誇っていたらしいが、残念ながら私が知るBrownsにその面影は無い。96〜98年にはチーム消滅と云う苦難の道も歩んでいる。
 リーグ32番目、最も新しいチームであるTexansは、通算勝率から言えばリーグ最下位と苦しんでいる。年の近い先輩であるがスーパーボウル進出経験を持つPanthersのように、実力の伴うチームに早くなって欲しいものだ。


 っとまぁ、独断と偏見で色々見て来た訳だが。
 こんなコラムを書いたきっかけは、まぁ単純に、試合観戦時のイメージを膨らますのに面白いかなぁって点。アメフトを知らない人でも取り付き易くなるかも知れないし。
 「Cowboys vs Bills」とかの組合せの時に、荒縄を振り回すカウボーイと角をかざして暴れる猛牛のイメージを持つようにすると、何だかノリで観れるかも。「Eagles vs Lions」戦なら、宙から襲い掛かる鷲と吠えるライオン。「Steelers vs Packers」なら、鉄鋼を鋳込んでる傍らで、一生懸命に缶詰を作ってる感じ。Brownsは……茶色?Mr.ブラウン?
 まぁ、何かの役に立ったらそれは嬉しいし、立たないならそれでも良い。自己満足。