Googleがしている明白に邪悪なこと

Google論は一筋縄ではいかない」というのが私の持論ですが、現在、Googleは明白に邪悪なことをひとつしていると思います。

それは、悪徳商法?マニアックスに関するGoogle八分問題を解決しないまま、「不当な検閲はしてない」と日本法人の社長がメディアを通して訴えていることです。

  1. 悪徳商法?マニアックスのGoogole八分は現在も継続中(こちらに出ている方法で誰でも確認できます)
  2. 一方、Beyondさんの個人情報晒しについては放置、謝罪等も無し
  3. 佐々木俊尚氏のグーグル―Google 既存のビジネスを破壊するでもこの問題が取りあげられている
  4. 「不当な検閲はしてない」とメディアを通してアピールしている

この4点のどれかが欠けたら、私としては「明白に邪悪」とは言えないと思います。私企業の公的な責務は、経営者の判断にゆだねられる部分が大きく、このような前例の無い問題は、コンセンサスを得るまでに時間がかかったり、多少のブレがあるのは仕方ないと私は考えます。また、誰もが納得できる完璧な方針はあり得ないでしょう。

しかし、「悪徳商法?マニアックス」という、過激ではあるけど、公益性も高く、これまでにたくさんの裁判で実績を示しているサイトが、いつまでもGoogle八分になっているのはいかがなものかと思います。しかも、話題になっている佐々木俊尚氏の著書でこれが取りあげられているにも関わらずです。この方面で精力的に取材されているジャーナリストの方が、重要な問題(代表的な事例)だと判断しているわけです。

あるいは、今後の裁判でBeyondさんが敗訴して、そのとばっちりで損害賠償を受ける可能性があると判断しているのであれば、将来の損失の可能性を減らす行為として、私企業のすることとしては容認せざるを得ないという見方もあるかもしれません。クレームがあった時、双方に事情を聞いて正当性を判断するのは、かなりコストがかかることでしょう。

しかし、もしそうであれば、Beyondさんの個人情報の晒しの問題に対応しなかったことは、非常にバランスを欠いているように感じます。

まして、自社の利益の為に、公益性に関わる積極的な判断を放棄しておいて「明白に邪悪なことはしてない」と言うのはどうでしょうか。

R30さんが紹介していたThink!(シンク)というムック本で、グーグル日本法人の村上社長が、次のようなことをおっしゃっています。


最近、「サイト削除問題」と「中国検閲問題」がメディアで大きく取りあげられて、一部の人たちに「邪悪なことをしている」かのように受け止められたことは、私たちにとって心が痛む出来事でした。


「サイト削除問題」については、私たちは不当な検閲をしたわけではないと胸を張っていえます。グーグルでは公序良俗を乱すようなサイト(児童ポルノ、麻薬、武器密売など)と、各国の法律で禁じられている行為を行なうサイト(日本では架空口座の販売など)はインデックスから削除しています。


また、ページランクの上位に表示させることを目的とした検索スパム行為は、グーグルの検索ランキングを歪ませることになるのでインデックスから削除することになっています。ランキングの歪みはユーザ全体に不利益をもたらすものとなるからです。こうした禁止事項はグーグルのサイト上に明記しています。


「グーグルは削除の理由を公開しない」と批判を受けていますが、私たちは常にスパム行為とのいたちごっこのせめぎ合いをしていますので、すべての手の内を明かせないことについてはどうかご理解をいただきたいと思います。


一方、グーグルの検索結果について中国政府の検閲に従わざるを得なかった問題については、私たちも忸怩たる思いを禁じ得ません。しかし、もし中国政府の要求を受け入れなければ、中国ではグーグルを使うことはできなくなり、中国の人々はインターネットの広大な海の中から情報を検索するのがむずかしくなってしまったでしょう。今回の決断は私たちにとっても苦渋に満ちたものでした。


グーグルのもっとも優先度の高いステークホルダー(利害関係者)はユーザです。何がいちばんユーザに利益をもたらすことにつながるか。私たちの判断基準は常にそこにあります。
ビジネスを成功させる条件は、Web1.0であれ2.0であれ、ユーザ志向を貫けるかどうかというところにあるのではないでしょうか。

「中国検閲問題」は「苦渋の決断」だが、「サイト削除問題」はそうではないと明言されています。

逆に言えば、「悪徳商法?マニアックス」が現在Google八分になっている以上、このサイトは

  • 公序良俗を乱すようなサイト
  • 日本の法律で禁じられている行為を行なうサイト
  • 検索スパム行為をしているサイト

のいずれかであると公言したに等しいと思います。

上記の「邪悪4点セット」のうち、最後の条件がなければ、つまり、「どちらも同等に難しい問題で、苦渋の決断をせざるを得ないこともある」という話ならば、私はこういう形でこの問題を取りあげることは無いと思います。しかし、「(中国問題と違って)サイト削除問題については、私たちは不当な検閲をしたわけではないと胸を張っていえます」とメディア上で発言するのは、もうここまで来ると「明白に邪悪」と言わざるを得ません。

ちょうど、こういうエントリーも上がっていて、非常に気になります。

「住みたいところに住める俺」というブログが面白い

住みたいところに住める俺というブログからトラックバックをもらったのですが、このブログすごく面白い。ついつい仕事を忘れて、全エントリー熟読しました。

テーマはタイトル通り、住みたいところに住むというのを如何にに実現するか。 詳しくは今後触れるとして、大手企業のサラリーマンとして1年に1回ペースで転勤を余儀なくされてきた。この経験により、日本的なビジネス中心の生活パターンから、家族と地域社会とビジネスとをバランスよく実現できる生活パターンに変えていきたいという思いが強まっている。このためには、サラリーマンをやめても生きていける基盤を構築し、そして住みたいところ(ニュージーランドなんだが)に住むということを同時にやってしまおうという計画を進行中なのである。 このあたりの記録と日々の思いを綴っていきたい。

というドキュメントで、もう題材からして興味しんしんですが、文章も軽快で読ませるし、さらっと深い所がたくさん。

いつもそうだが、日本に住む日本人の友達に移住の話しをしても、大体が無反応か、会社を辞めるのは勿体無いのでは、という反応しかない。寂しいぐらい面白くない。

とか、ニュージランドで採用となった会社への断りのメールの返事

We understand how hard it can be to make a decision such as this one.

に感動した話とか(定型文かもしれないけど、英語でもこういう思いやりのある言い方ができるんだ!)、アメリカ赴任中に突然帰国を命じられあたふたしている時期に

そして、ここへきてまた驚くべき事態が起こる(いや起こした)。妻の妊娠が発覚する。

「いや起こした」って、そりゃ、犯人はあなたでしょう(笑)。

他にも面白いエントリーをいくつか抜き出したんだけど、これはもう頭から全部読むべきです。

特に、体験的で上すべりしてない日米比較は説得力あり。