科学とは結論と権威の供給元なのかそこに至るプロセスなのか

これについて、専門家(っぽい人)同士が、2ちゃんねる上でちょっとした論争をしていました。

http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1176344607/

From: [370] 名無しさん@七周年 
Date: 2007/04/16(月) 13:33:18 id:mHwMc1wa0

よくわからないが
「少数のデータで有意差が出ない」→「2群に差がない」
というのは今でも学会発表でよくやる手だよ

捏造じゃないけどグレーゾーンね。
From: [372] 名無しさん@七周年 <>
Date: 2007/04/16(月) 13:43:14 id:u4Ez9ump0

>>370

そうそう。

この「ためしてガッテン」も母数が少なすぎる検証をやってる事自体が
本当に大問題なんだよなあ。

サンプル数をなぜあんなに少なくしたのか?その時の信頼度は?
っていう疑問には答えられないんだろうね、NHKの反論の様子じゃ。
From: [376] 名無しさん@七周年 
Date: 2007/04/16(月) 13:50:01 ID:4kaxwWUK0

N=4なんだから、そもそも傾向を再現してみようとしてやった実験なんだろう。

>>372
NHKは別に研究期間じゃないんだから、複数の先行研究がある現象についてそんなにコストをかける必要はないと思うけど?
(やってみて先行研究に反する結果が出ればそのときはきちんと実験すればいい話で)
From: [378] 名無しさん@七周年 <>
Date: 2007/04/16(月) 13:59:40 id:u4Ez9ump0

>>376

じゃあ「これは実験のイメージであり、あくまでも番組上の演出です」って言わないとね。

>>377

統計の知識がないと「数値変わらず」と「効果なし」の違いは理解できない
だろうな。「数値が変わらない」だけでは「効果なし」とも言えないのさ。

何のためにわざわざ検定なんて事をやってるのかを理解してないんだね。
From: [381] 名無しさん@七周年 <>
Date: 2007/04/16(月) 14:15:25 id:u4Ez9ump0

まあ、あの程度の実験で番組独自に検証しようとしたところが間違いだったと
いうことだね。そもそも出てくるデータに意味がない以上検証にもならないわけ。

つまらないことだけど、こういういい加減な実験を垂れ流すことで、科学ってのが
簡単に物事に白黒つけられるものっていう誤解を助長してるんじゃないの?
理系のレベル低下が危惧されてる状況を考えれば、こういう番組ももっと真面目に
やってもらわないと困ると思うけどね。
From: [384] 名無しさん@七周年 
Date: 2007/04/16(月) 14:19:01 ID:4kaxwWUK0

>>378
うーん、一応実験計画法はやってるのでなんの話をしているかは分かっているが、じゃあ番組としては

・このような生活習慣を続けるとこういった結果が出ることが研究から分かっています。
 (必要なら先行研究のデータを示す)
・番組では4人の方にこの方法を試してもらい、その前後で効果を測定してみました。
・(ローデータで)Aさんには効果が見られましたが、他の3人にはこの期間には目立った変化がありませんでした。
・結果として、今回の4人の方の結果でははっきりしたことが言えませんが、この方法に効果があることは明らかです。

と放送しろ、と言っているのかな? それじゃ誰も見ないな。
コストに制限がある以上、正しいことが確認されている内容だったらある程度は許容されると思うけどねえ。
From: [386] 名無しさん@七周年 <>
Date: 2007/04/16(月) 14:24:08 id:u4Ez9ump0

>>384

だから実験方法を一般視聴者に分かりやすく紹介するためのイメージビデオで
いいでしょ?データを取るためでなく、専門家がやった実験の方法を紹介する
というだけのもの。

はなはだ疑問なのは、番組で少数からデータを取るってことにどれだけ意味がある?
ってこと。むしろそういう信頼性に欠けるデータで何かを言えるかのように錯覚させる
事自体が一般の科学知識のレベルを落とすんじゃないかと。
From: [392] 名無しさん@七周年 
Date: 2007/04/16(月) 15:11:31 ID:4kaxwWUK0

よく見てみると実験部分は>>384のような内容だった。
さらにこういう話は>>38あたりで出ていることに気がついた。
今後も何回かは同じような話でループするのではないかと思われる。

(38はNHKの反論文の抜粋コピペ)

From: [38] 名無しさん@七周年 
Date: 2007/04/12(木) 11:58:02 id:Dnultfes0

http://www.nhk.or.jp/gatten/news/info20070409.html

また、週刊誌には、大櫛教授の発言として、被験者が4人だけでは
医学的判断ができないと書かれています。しかし、番組は4人の
データだけでなく、これまでの研究の蓄積を踏まえて制作しています。
長期間生活改善を続けると体脂肪率が減り、アディポネクチンが増え
るということは、大阪大学東京医科大学などの研究グループが学会
発表しています。

番組では、尼崎市で取り組んでいる生活改善を2年間続けてアディ
ポネクチンが増えた例も紹介しています。4人のデータだけによって
新しい事実を証明しようとしたわけではありません。
From: [394] 名無しさん@七周年 <>
Date: 2007/04/16(月) 15:19:40 id:u4Ez9ump0

>>392

論文の主張の妥当性なんかを確認するとかそういう事には番組内の実験は
まったく役に立たないわけで。じゃあなぜあの実験をするのか?実験を支
持するような結果が偶然起きる事(あの実験じゃ統計的に有為な結果は出
せないでしょう)を期待してたわけだろうし、その発想はあるあるのねつ
造と同じなんだよな。
From: [398] 名無しさん@七周年 
Date: 2007/04/16(月) 15:34:33 ID:4kaxwWUK0

>>394
やせる(内臓脂肪を減らす)のに効果的な生活習慣を紹介して、やってみたらウェストが細くなりました、
っていうのはいいんじゃないの?(検定はしてないけど)
アディポネクチンについては効果がはっきりしませんでした、と言ってるんだし。
視聴者にはそのぐらい具体的な動機付けをした方がいいと思うけどねえ。それこそ「演出の範囲」でしょ。
NHKには、元の説の検証のために実験をするという異図はまったくなかったと思う。

あと、この件であるあるとの最大の違いは、先行するちゃんとした研究結果があったかどうかだと思うけど。
あるあるの問題点は、誰も(世界中の研究者が一人も)そんなことを言ってないのに、番組制作者が勝手に
納豆にダイエット効果がある、とでっち上げたところで、これこそ捏造。

まとめると次のようなことではないかと思います。

  • NHKが番組内で行なった実験は、サンプル数が少なく正規の実験とは認められない
  • ただし、先行する研究成果があり、それと反する内容は放送していない
  • 「実験もどき」を放送したことについて、評価が分かれている

NHK支持の4kaxwWUK0氏(他数名)は、学会で認められている研究をきちんと踏まえていることを評価して、「実験もどき」は「演出の範囲内」と見ているようです。

NHK批判のu4Ez9ump0氏は、いいかげんな「実験もどき」で結論を補強すること自体が、視聴者の誤解や捏造につながる可能性があるとして、それを問題視しています。つまり、既存の研究の結論だけでなく、(放送で扱うならば)そのプロセスも正確に再現するべき、という立場のようです。科学的な研究のプロセスを軽視している点で、「がってん」と「あるある」は同罪であると。

私なりに整理すると「科学とは結論であるかプロセスであるか」ということではないかと思います。

テレビ番組が科学(者)に期待するのは、権威者として「私の言うとおりにしていれば、君たちは健康になれるのだ」と断言してくれる「安心」の供給元という役割だと思います。しかし、科学の「プロセス」としての側面は、「疑っても疑っても反証しきれないことを(仮の)真理とする」ということなので、良くて「安心」から明解さを奪いとり、悪ければその信頼性をゆるがすことになります。

つまり、この論争を深めていけば、「社会が科学に期待することは何なのか」という問題に発展していくのではないでしょうか。

私としては、現状では、権威者として結論を供給することが科学に求められている役割であり、「がってん」は、公共放送の娯楽番組として、そのコンセンサスに添った内容であるので問題はないと考えます。u4Ez9ump0氏の批判は、ひとつのテレビ番組がその暗黙のコンセンサス、社会全体の総意をひっくり返せという主張であり、それは過大な要求ではないかと思います。

ただし、これを一テレビ番組への批判でなく、社会と科学のあり方、特に今後の方向性についての批判として見れば、非常に重要な問題を指摘していると思います。

社会が複雑化し、科学も専門分化している現在、科学は結論の供給者ではなく、ひとつの有用なプロセスである、という方向に社会の総意を変えていくことが必要だと思います。そして、そのプロセスが右往左往しているようなケースにも積極的な意味を見出すべきではないかと。

それと、こういう論争に開かれているNHKの情報開示を評価したいと思います。こういう有用な議論ができるのは、NHKが番組成立の経緯を詳細に公開したからだと思います。