利権が無い文化を育てれば日本は生き残れる

「日本はガラパゴス諸島のように世界と隔絶された経済圏として生きていけるか」という議論が起こっているようだ。

日本にはそこそこの経済規模があるから、日本人にしか売れない製品でもなんとかやっていける。でも、日本と世界を隔てる障壁は絶対的なものではない。閉じたガラパゴスで異常進化した経済は世界レベルの競争力はなく、その経済規模は、結局、ゆで蛙の脱出のチャンスを奪うだけだろう。

経済や技術を中心に見ると、暗い未来しか思い描くことができないが、文化面ではちょっと違うものが見えてくる。

これも、閉じたガラパゴスがあったから異常進化したものだと思うけど、これにはワールドワイドな競争力がある。

「なんてことだ。俺は仮想世界でも再び日本人から車を買うハメになるというのか!」

簡単な幾何学模様しかペイントできない描画ツールで、異様に細かく書きこまれたペイントカーのアニメ絵を見て、あるアメリカ人ユーザはそう叫んだそうだ。

この特定のゲームの中のペイントカーが外貨を稼ぐということではなくて、これに象徴される何かが日本にはあって、それには国際競争力があると見るべきだと思う。

他にはこんな例がある。

町山さんは、この前にアメリカでオタクの本を出版していて、おそらくそれが当たったから次の企画が立ったのだと思う。

人口密度が高くて人間が煮詰まっているような所だからこそ、考えられない所に考えられないような集中力を投入して、いびつな文化がたくさん生まれている。それは技術や経済より、よほど世界に通用するもので、日本の国家戦略はここから考えていくべきじゃないかと思う。

考えてもみなさい。数十年後のアメリカ大統領には、子供の頃にポケモンとマリオにハマった経験を持つ人がなる可能性が高い。日米首脳会談は、両首脳のとっておきのレアカードの交換というセレモニーから入るかもしれないよ。

そして文化を中心にしたって、その回りに幅広い経済が回るようにすることは可能だ。

ただ、利権がからむととたんに駄目になる。それが問題だ。文化振興策が全部裏目に出るのは、利権が無い文化を育てる文化が日本には無いからだろう。

とりあえず、ニコニコ動画2ちゃんねるとかを、政府も国民も一丸となってバックアップするべきだと思う。利権抜きで日本独自の大衆文化を育てる為には法体系や政治制度がどうあるべきか、それが選挙や憲法改正の争点になるべきだ。

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