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2009-09-10

「ラブプラス」のコナミが訴えた二次創作の「著作権侵害」事例

 

ラブプラス

ラブプラス

 

 最近、ネットで話題を呼んでいるのが、ニンテンドーDSによる恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス

 ヒロインが現実の時間に合わせて反応するゲーム性がなされていることで、これまでの作品よりも擬似恋愛ができると評判だ。

 

ベア速 ラブプラス購入者はピュアな紳士が多い

 

 

 さて、この「ラブプラス」の「コナミ」といえば、二次創作に対して様々な訴えを起こしたことで有名な会社。

 このブログで連載した「同人ファイターえすけい」というSSで少し紹介したが、コナミが同人アニメを著作権侵害で訴えた裁判がある。

 

 それは、1998年、コナミの恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」を題材にとした、18禁同人アニメ「どきどきイマジネーション」について、訴訟を起こしたものだ。

 

 当時のコナミの声明文にはこう書かれてある。

今回のアニメーションは藤崎詩織(ときメモのヒロイン)の清純なイメージを台無しにする悪質極まりない内容であり、断固たる法的な措置をとることに致しました。

 

引用:「煮豆売り」無断複製事件--98年6月25日訴え提起の訴状--

 

 笑ってしまうような文面だが、それは「著作人格権」をゲームのキャラクターに適用するという内容であった。

(9/13訂正。コナミが「著作者人格権」の侵害(同一性保持権侵害)として訴えたということです)

 

 なお、コナミが、その同人アニメの作者、サークル赤紙堂に請求した額は2325万7300円である。

 

 その請求額の内訳は以下の通り。

 

(1) 同人アニメの利益、84万円全額

 ・アニメ制作費 15万円

 ・商品制作費 300円(一本あたり)

 ・売り上げ数 900本

 ・卸し価格 1400円

(2) 慰謝料 1000万円

(3) 遅延損害金

  ・訴状送達の翌日から支払済に至るまで、年五分の割合による

 

 これに対して、どのような判決がでたのかは、下のページにくわしい。

 

「ときめきメモリアル」無断改変事件B 判例全文

 

 

 その判例をピックアップすると、

 

・同一性保持権侵害について

(中略)

 藤崎詩織は、優等生的で、清純な、さわやかな印象を与える性格付けがされている。本件ゲームソフトにおいては、ゲームプレイヤーの操作する男子生徒は、学園生活や日常生活を通して、登場人物である藤崎詩織などと恋愛関係を形成する設定がされているが、藤崎詩織が性的行為を行うような場面は存在しない。

(中略)

 以上によると、被告は、本件ビデオにおいて、本件藤崎の図柄を、性行為を行う姿に改変しているというべきであり、原告の有する、本件藤崎の図柄に係る同一性保持権を侵害している。

 なお、被告は、同人文化の一環としての創作活動であり、著作権法違反は成立しないと主張するが、採用の限りでない。

 

 そして、損害額は、227万5000円とされた。

 

 その内訳は、

(1) 利益額 27万5000円

(2) 無形損害額 200万円

 

 

 この裁判は、1999年に判決が出た。今から10年以上前の話である。

 当時と今では状況が違うのだろうか?

 

 この「赤紙堂」の同人アニメが話題になった理由は、雑誌「フライデー」の掲載がもとである。

 ときめきメモリアルを題材にした同人作品は少なくなかったが、コナミはもっとも話題性のある「赤紙堂」の作品のみを狙い撃ちしたのだ。

 もちろん、他の二次創作が許されたのではない。コナミが起訴すれば、前例に基づき、しかるべき賠償金を請求されるということだ。

 

 この判決により、「ときめきメモリアル」の同人誌はまたたく間に姿を消した(*)

 「ギャルゲー」の祖ともいえるべき流行を巻き起こした「ときめきメモリアル」の同人作品が極端に少ないのは、このような経緯による。

 

 

 今、同人誌即売会は十年前よりも肥大化している。その中のごくわずかであるが、確かに生計を得るほどの富を得ている者がいる。

 「ラブプラス」のヒットは、多くの同人作家を、その題材にむかわせるだろう。年齢制限を含む性描写をしたものも少なくないはずだ。

 そのとき、「清純なイメージを台無しにする悪質極まりない内容」という理由で、コナミが同人作家を著作権侵害で訴える可能性がないとはいえない。 

 

 同人誌即売会のひとつ、コミックマーケットは日本最大のイベントとなった。

 とはいえ、裁判所での法的解釈には関係ない。

 これまで、コンテンツ制作会社が訴えなかったのは「黙認」していたからである。

 そして、コナミには、ゲームのキャラクターの同一性を侵害したとして、パロディ作品を訴えた前例があるのだ。

 

 

 はたして、「ラブプラス」の二次創作に対して、コナミ側がどのような反応を取るだろうか。

 同人文化が市民権を得ているとはいえ、キャラクター・ビジネスはコンテンツ会社の生命線である。

 

 パロディ全盛の同人文化の今後を考える上で、コナミの動きには注視すべきであろう。

 

 

【関連事件】

 

ドラえもん最終回同人誌問題

 

 ネットなどで流布していた、ドラえもんの架空の最終回をもとにした同人誌が、小学館・藤子プロに著作権侵害を訴えられた事件。

 同人作者は利益の一部を藤子プロに返還すると共に、二度と同様の行為はしないとする誓約書を提出することで和解した。

 

 

ポケモン同人誌問題

 

 ポケモンのアダルト同人誌をめぐる問題。

 同人作者は22日間拘留ののち、罰金10万円の略式裁判で有罪判決が下された。

 なお、その同人誌の印刷会社も書類送検されたが、不起訴となった。

 

 

*当エントリーの補足をしたブログ記事がありました。参考にどうぞ。

http://blog.zaq.ne.jp/iwasere/article/739/