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2016-12-01

ゆゆ式Advent Calendar 2016 1日目:真・ゆゆ式MANIACをPDFで無料公開する話

00:00 | ゆゆ式Advent Calendar 2016 1日目:真・ゆゆ式MANIACをPDFで無料公開する話を含むブックマーク ゆゆ式Advent Calendar 2016 1日目:真・ゆゆ式MANIACをPDFで無料公開する話のブックマークコメント

オープニング

ご無沙汰しています、私です。

今年もAdvent Calendarの時期がやってまいりました。

早いものでもう、ゆゆ式Advent Calendarとしては3回目となります。

ゆゆ式 Advent Calendar 2016

Advent Calendarとはなんぞや、という説明は企画サイトのAdventar様に譲るとして、このゆゆ式Advent Calendarでは12月1日から25日にかけて、ゆゆ式にまつわるイラストでも考察でも感想でもそれ以外の何かでも、とにかく発表していく場となっております。一応言っておくと、公式様とは何の関係もありません。

過去の分はこちらをご覧ください。

さて、初回の2014年は11/30時点で3名しか集まっていなかったこの企画も、今年は公開から2日もかからずに25日分が埋まる勢いでした。

また、今年は他のまんがタイムきらら作品でもAdvent Calendarが多くあるようで、そちらも合わせて楽しみにしつつ、まだ埋まってないものもあるので、都合の合う方は参加してみてはいかがでしょうか。勝手に何か書いても多分怒られはしないと思います。

(作成日順)

今年も多くの愛に溢れた記事・イラスト・その他諸々に出会えることを期待しています。

「公式からのお知らせ」というAdvent Calendar 0日目

と書いておいたところで、なんと11/30というタイミングで長らく続報のなかったOVA発売日(2017/2/22)並びにOPEDのCD発売(2/8)、キャラクターアルバム(3/24)の発売とイベント開催(5/7)が発表されました。メガミマガジン7月号から待ちわびたよ…。

ゆゆ式Advent Calendar 2016は0日目からして最強、ということで始めて行きたいと思います。

真・ゆゆ式MANIACをPDFで無料公開する話

はい、というわけで新規コンテンツというわけではなくて申し訳ないのですが、3年前の冬コミが初頒布の真・ゆゆ式MANIACを無料公開したいと思います。そもそもこれがどんな本かというと

  • 色々あって2013年11月に行われたかおり監督インタビュー(聞き手:私、tatsu2さん、ohagiさん)が載っている
  • 2012年〜2013年に私が書いたゆゆ式に関する文章・考察が色々載ってる(表紙込みで64P)
  • 表紙にタツノコッソさんがイラストを描いてくれたおかげで色んな人に手にとってもらえた

というもので、今でも即売会の度にそれなりに数が出るのですが、増刷対応がなかなか大変で、しかしながら貴重なインタビューをさせていただいたこともあって、いつでも文章への参照ができるようにしておきたいということで無料公開の運びとなりました。

これは2ヶ月程前から既に決めていたことですが、ちょうどよく最新の対談にも触れられるタイミングですので、メガミマガジン掲載のものと合わせて読んでいただければ、ますますゆゆ式という作品が深く味わえるのではないかと思います。

ところで、この本から3年、サークル活動として評論向けのゆゆ式本は出せておらず、またプログラムの力で評論を進めるぜ!という趣旨の『tech.』もあまり進捗がなかったので1ヶ月後の冬コミでは、両方をある程度やってみたところまで行くコピー本を出そうと思います。

具体的には、コマ毎に切り出し済みの画像をillustration2vecにかけ、タグを閾値0で全部取り出しておき、それに何らかの指標(コマに何人映っているか、また特定の誰かが映っているか等)をラベリングしたものを機械学習にかけて分析用のデータを効率集められるかというチャレンジとそれを使った分析・評論を行う予定です。

(内容は予告なく変更される可能性があります)

それでは、こちらからダウンロードしたzipファイル解凍してpdfファイルを入手してください。

また、かおり監督インタビューがお目当ての方のために、こちらだけはテキストで置いておきます。9000字くらいあります。

アニメ『ゆゆ式』かおり監督インタビュー 「これまでとこれからを繋ぐ『ゆゆ式』」

f:id:esuji5:20161130232424p:image

(2013年)11月某日、阿佐ヶ谷のとあるカフェにて、アニメ『ゆゆ式』のかおり監督にお話を伺った。

主に、監督までの経歴とこれからの話、『ゆゆ式』についての細かい話をお聞きしたことで、「アニメ『ゆゆ式』をどのように作ったか」というよりも、「アニメ『ゆゆ式』の前提に何があったか」を読み解くような話を聞かせていただけた。本インタビュー単独でも十分楽しんで頂けるだろうが、『ゆゆ式』に関しては細かい話が多くなってしまったので、是非、既存のインタビューやBD・DVDのブックレット、アニメファンブック等と合わせて読んでいただきたい。

(編集・構成:S治 聞き手:おはぎ、tatsu2、S治)

(編集の都合上、聞き手の発言は「——」でまとめて表記する)

——本日はインタビューを受けていただいてありがとうございます。今までのインタビュー、座談会とは違う内容にするために、特に『ゆゆ式』に関しては細かい質問ばかりになってしまうかと思いますがよろしくお願いします。

かおり こちらこそ、単独でのインタビューを受けるのは初めてなのでちょっと緊張していますがよろしくお願いします。

イラストレーターを志してアニメ業界へ

——アニメ『ゆゆ式』のスタッフ発表時には、情報が少なくてどういった経歴の方か分からないという状態になってしまっていましたが、よろしければアニメ業界を志したきっかけから教えて頂けますか?

かおり いのまたむつみさん、天野喜孝さんのイラストが好きで、最初はイラストレーターを目指していたのですが、両名ともにアニメ業界出身なのとアニメーターになれば色んな絵を描いて上達するかと思ってアニメの専門学校に通い出しました。そこは2年通ったのですが、現場で役立つことはあまりなかったのではやく現場に行けば良かったと思います(笑)。ただ、そのモラトリアム期間でアルバイトをしたり仲間と語ったりしたのは良い経験だったので、すべてが無駄だったというわけではないですが。

——まさしく『アニメがお仕事!』のような感じですね。

かおり 確かに、そうかもしれません(笑)。あの作品はけっこう真実を描いていますね。

——専門学校の後はどの制作現場に入られたのですか?

かおり 最初の現場として、イージー・フイルムさんに動画担当として机を置きました。担当作品に無印の『スレイヤーズ』等があります。その後、ゼロ・ジー・ルームさんへ。担当作品は『影技 -SHADOW SKILL-』、『ふしぎ遊戯』等です。あとは当時話題になった『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングでミサトさんが顔を上げるシーンの動画を担当できたのがちょっとした自慢ですね。

——それはすごいですね。カラオケで「残酷な天使のテーゼ」を歌うときに映像で流れてるでしょうから今でもよく見るお仕事になったかと思います。

かおり その後、動画検査をやらないかと言われるのですが、この時は原画をやりたいと思っていたので、考えさせて欲しいと答えました。昔は動画より原画、原画より作画監督、作画監督よりもキャラクターデザインといった序列があるように考えていたのですけど、作品の品質を守る最後の砦である動画検査こそが最強だと最近は思うようになりました。ここと仕上げ検査さんには頭が上がらないですね。

——京都アニメーションの作品の品質が良いと言われるのも、仕上げ検査が強いからという噂があるようですね。

かおり あと、私が知っているところだとJ.C.STAFFさんが強くて、上手い仕上げ検査さんだと作画担当にリテイクで戻すところを「いいよ、ここでやるよ」と言って、デジタルでちょちょいと直してしまうほどです。

●原画とデザインの仕事へ

——原画としてのお仕事が入ってくるのはどのあたりからでしょうか?

かおり その後に移ったXEBECさんからですね。まずは『爆れつハンター』の動画をさせていただいて、しばらくして原画を担当させて頂けるようになりました。最初は『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』で上妻晋作さんが担当した原画の第二原画に関わりました。特に『レッツ&ゴー』は三作あるテレビシリーズと劇場版を通して関わらせて頂いたので印象深いです。当時手描きだったミニ四駆が、描き慣れた頃に壊れて新しいものになるのが辛かったですが。好きなキャラは烈兄貴でした。この頃、XEBECのビル内にProduction I.Gもあって、その縁で黄瀬和哉さんもよくXEBECに遊びに来てました。そのビルの屋上になぜかサンドバックが置いてあって、時々それをバシバシしてました(笑)。数々の作品に関わり、最近では監督もされる等、素晴らしい実績をお持ちですが、私から見ると面白い先輩だなーという印象が強いですね。『ゆゆ式』ではお忙しい中、エンドカードだけでなく原画まで描いていただけて非常にありがたかったです。

その後、しばらくフリーとして様々な会社の仕事を受けて自宅で作業する日々が続きました。それにも飽きた頃、今度はボンズ作品を中心に色んな作品に参加しました。

特にボンズさんでは『鋼の錬金術師』のゲーム内の原画、TVシリーズ、劇場版の『シャンバラを征く者』に関わらせていただきました。好きなキャラは幼少期のエドとアルですね。鎧姿のアルも慣れてくると可愛いですが。

その他、『スクラップド・プリンセス』、『KURAU Phantom Memory』等に参加しつつ、しばらくしてデザイン系のお仕事も頂くようになりました。

——デザインというと、『ゆゆ式』でもまじろさん、田畑さんと共同で担当されたプロップ(作中の小物)デザインでしょうか?

かおり それもありますが、初めてのデザイン系の仕事は、『桜蘭高校ホスト部』で全員のコスプレ・私服衣装デザインでした。特に最終回でハルヒが着た白いドレスは、原作者の葉鳥ビスコ先生に褒めて頂いて嬉しかったです。他には『ソウルイーター』(途中の話数まで)や『とある科学の超電磁砲』でゲコ太のグッズ類、ジャッジメントの腕章などを担当していました。こういうデザイン系のお仕事も楽しかったです。

演出処理が楽しい

——演出のお仕事に入られるのはいつ頃でしょうか?

かおり 当時、ボンズの制作デスクだった小笠原宗紀さんに声をかけられ、『ヒゲぴよ』にて初の絵コンテ・演出に指名されました。

——演出や絵コンテの仕事をしてみたいという要望は出されていたのでしょうか?

かおり いえ、そういうことはないですね。小笠原さんが仕事を振れる人を探していた時に思い当たってくださったのでしょうねえ。そこからキネマシトラスさんのお仕事に関わらせて頂いて、監督までさせていただいたので本当に恩人ですね。『ヒゲぴよ』は楽しく仕事ができまして、絵コンテも初めてだったのですが割と好評で、最後の方まで担当させていただけました。

——絵コンテを初めて描くに当たって、参考にされた方はいらっしゃいますか?

かおり 絵コンテに関しては、今まで関わってきた作品の色んな絵コンテをとにかく集めて見直しましたね。「こういうときは、みんなどういうふうにやってるんだろう」って。好きなコンテマン増井壮一さんで、キャラが可愛くて笑えるんですよね。『鋼の錬金術師』をやっていた当時、ウィンリィのとある絵がすごく面白くて、拡大コピーして作業机に貼っていたほどです(笑)。あとは安藤真裕さんもすごいですね。絵は荒いですが、カットで何をやるのかが的確で。

——安藤さんのコメントによると、あまり細かく描いてしまうとアニメーターの想像力が制限されてしまうというのがその理由の1つらしいですが、かおりさん自身だと、絵コンテにはどの程度の情報を描かれるのでしょうか?

かおり 私はやり始めたばかりで、「できるだけ自分の考え通りにコントロールしたい」と思って細かく描きこんでしまいますね。(ここでかおりさんのタブレットPCで実際に『ゆゆ式』で使われた絵コンテを見せていただく)ほら、このくらい細かく描いてますね。拡大して原画のレイアウトに使えるくらい。でも、これだといけなくて、安藤さんのように、他人に任せられるところにいきたいとも思いますが、まだその境地には至っていません。制作の流れでいうと、細かく描いてあったほうが仕事が詰まらないので良いということもありますが。

——続いて、演出についての話を伺いたいのですが、最初にどういった仕事が演出の領分なのかを改めて教えていただけますか?

かおり そうですね……簡単に言うと「作りたい作品の中身をきちんと説明する役割」かなと考えています。画面作りをどうしたいのかは監督が考えるんですけど、それをどう実現するのかは演出が考える。だから演出が優秀だと凝った画面になりますね。あとはそれを原画、背景、仕上げ、撮影と各セクションにとにかく説明して回る人ですね。そして出来上がったカットを最初から最後まで全部チェックするのも重要で、ここがダメだと前後のカットでポーズが全然違っていたり、物があったり消えたりしちゃいます。

実際に自分でやってみたら、私にとってはとても楽しい仕事でしたね。特に『.hack//Quantum』では、こんなに仕事したことないんじゃないかってくらい仕事しました。色んな原画の方の画を見られたり、どんどん作品が出来上がっていく過程を自分で追っていけたりするのがすごく楽しいです。撮影処理まで終わった動画を確認するのがまた楽しくもあり、ちゃんと出来てるかなあと心配でもあり。そして、全部繋げたものをチェックするところまでがピークですね。別に修羅場や働き過ぎの状態が楽しいというわけではないですよ(笑)。

——演出の仕事が楽しいと公言される方は、アニメーター出身だと珍しい気がしますが。

かおり そうなんでしょうか(笑)。監督がどういう画にしたいかというところを考えつつ、私のやりたいことも混ぜ込みつつ形にしていくのが本当に楽しいですね。後に『ゆゆ式』でも色々と助けていただくことになる橘正紀さんに『.hack//Quantum』で画面作りとしての演出処理をがっちり教えてもらって非常に感謝しています。また、この時に色んな人に演出が楽しいんですよという話をしていたら、「じゃあ向いてるんじゃない?」と言われたこともあります。私自身の思い入れも強いのですが、これはぜひ、見ていただきたい作品ですね。

●演出の仕事が『ゆゆ式』監督に繋がった

——これ以降では『花咲くいろは』(演出)、『英雄伝説 空の軌跡 THE ANIMATION』(絵コンテ・演出)、『流れ星レンズ』(絵コンテ・演出)、『CODE:BREAKER』(演出・原画)とお仕事をされて、『ゆゆ式』で監督を務められる、ということですね。『ゆゆ式』のアニメファンブックによれば、小倉プロデューサーとキネマシトラスの小笠原さんとの会話がきっかけで小倉プロデューサーが「もしかしてこの会社とのカップリングならば『ゆゆ式』を作っていくことができるんじゃないか」と思われたということですが、そこからさらにかおりさんへ監督の打診がくるきっかけというのはあったのでしょうか?

かおり 私が演出を担当した『.hack//Quantum』のリアルパートでの芝居を小倉さんが見て、『ゆゆ式』のオファーをしようと決めたということでした。すごく丁寧に作られていて、こういう雰囲気で『ゆゆ式』を作りたいと思っていたのとマッチしたというのがきっかけらしいです……ということを、他のインタビューでも言っておけばよかったですね、今思うと。

——確かに、それは非常に重要なところですね。『.hack』シリーズというと、ゲーム世界でのアクション等が重要な作品かと思われますがそちらも担当されたのですか?

かおり そうですね、1巻全体と3巻の前半を担当したので、アクション部分も当然ありました。リアルパートだと地に足の着いた演技で、ゲームパートだとアニメらしいメリハリのきいた演技をさせていたので余計に際立って見えたのではないかと思います。

●『ゆゆ式』の細かい話

——では、ここから『『ゆゆ式』』の話に入って行きたいと思います。今までのインタビューで出てきた話はできるだけ避けていきますので、細かい話になるかと思いますがよろしくお願いします。

最初に、AniFav、DVDブックレット、ファンブック等インタビューや対談が多く公開された印象がありますが、なにか意図はありましたか?

かおり 特に意図したところはないですが、アニメ雑誌からのオファーがほとんどなかったので。時系列としてはAniFav様の次にファンブックでのインタビューという順番で、合間にブックレットの座談会として小倉プロデューサーと田畑総作画監督と席を設けました。

——アニメ化に当たって、キャラクターデザインの参考にしたのは原作のどのあたりの絵ですか?

かおり 2巻の終わりから3巻にかけての絵です。それ以降だと三上先生の絵が丸みを帯びていくので、平均して『ゆゆ式』っぽいところを取りました。

——ロケ地が地方から関東近郊まであって、特に1点に絞った様子がないように見えるのですが、特定の「聖地」のようなものを想起させない狙いもあったのでしょうか?

かおり そうですね、三上先生自身も作品の舞台が関東なのか関西なのかも決めてないということでしたので、特定の場所にはこだわらないようにしました。利便性もあって、ロケ地はキネマシトラスのある荻窪周辺が多くなりました。一つの場所に絞らないというのは、視聴者に「『ゆゆ式』の子たちは、もしかしたら近所の女子校にいる子たちかもしれない」と思ってもらえればという思いもありました。

——最近では、インターネット上でロケ地の特定があっという間に進んでしまいますからね。

かおり 学校や駅などの特徴があるスポットならともかく、ただの通りまでほとんど特定されていたようなので驚きました。基本的には公開していない情報なので、あまりご迷惑にならないといいのですが……。

——原作を読むと、頭の中で自然と動きがつく、ということですがアニメで使われなかったシーンで、機会があればアニメにしてみたいと思うところはありますか?

かおり それはもう、アニメで使えなかったシーンすべてです。富士山のとこ(1巻P40)なんかはどこかに入れようと頑張って考えたんですけどねえ……。あとは冬の日にゆずこが廊下で「くそうっ」ってやるとこ(5巻P93)なんかいいですね。3話で使う予定だったのですが長さの関係でなくなく切った話が多いのも残念でした。ゆずこが夢でサイパンに行った話、唯ちゃんが掃除機で10円と100円を吸う話は途中まであったんですが、尺合わせをしたら3分もオーバーしているという状態だったので。

——今作の劇伴は様々な楽器を使ってバンクーバーでの収録と力の入ったものになっていますが、なにか他にもポイントはありましたか?

かおり バンクーバーでの収録はsakai asukaさんの希望によるものです。CD化に当たっては、ただの「『ゆゆ式』のサウンドトラック」という扱いではなくsakaiさん名義でのアルバムとして通るように「Feeling good (nice) wind」というタイトルをつけたり、再度レコーディングをしたトラックがあったりジャケットの表面から内部の写真までこだわったりと、小笠原さんとまじろさんを中心に良い物に仕上げようという動きがありました。

——情報処理部の緑色のペン立てはまんがタイムきららに設定画が掲載され、EDにも頻出するという破格の扱いでしたが、何か意図はありましたか?

かおり 原作でも配置されているものですが、アニメでは特にホワイトボード用のペンを納める入れ物として設定しました。書くときに使うペンがいきなり空中から出てきたりするとギャグになってしまいますから。あとは5話だとハサミの鞘としても機能していますね。なので役割は割と重要なのですが、設定画やEDの扱いがあそこまで良かった理由は……なんででしょう? よく分からないです(笑)。

——情報処理部の机のすみっこにあるファイルは、何か設定がありますか?

かおり これも原作に配置されているものですが、特に何が入っている等の設定はないです。情報処理部の小物で変わっているのは、パソコンがディスプレイ一体型になっていることでしょうか。作画の負担を考慮して、コードはできるだけ描く必要がないようにしました。マウスなんかはもともと無線ですが。

——唯がゆずこにかけるアームロック(6話)や、ゆずこのシャドーボクシング(9話)等の動きが格闘技ファンを納得させるほどの出来だったのですがなにかディレクションはあったのでしょうか?

かおり そこは担当の原画マンの頑張りですね(笑)。特にシャドーボクシングに関しては、担当の北川隆之さんに「普通の女子がやるようなへっぴり腰のものでいい」と言ったのですが、出てきたものにはアッパーのフィニッシュまであったので驚きました。北川さん自身が演出志望の方なので、ディティールにこだわられたようです。12話最後の、ふみちゃんからお母さんまでの流れも北川さんが担当されていて、非常に丁寧に描かれてますね。

——他にも原画担当の方のアイデアが採用された例はありますか?

かおり 自販機のシーンなのですが、最初は缶を投げ合う描写はなくて、縁とゆずこが話しながら手前に抜けていくだけだったのですが、あがってきた原画を見たら追加されていて、「うーん」と思いつつあまりにも可愛いものだったのでそのまま通しました。あとはアニメファンブックにもありましたが、6話の鍋のシーンですかね。鍋の具が煮立っている描写で画が6枚以上も重なっているという……。担当したらっパルさんはWEBアニメ出身の方なのですが、鍋のワンシーンのためにそこまでセルを分けるという発想は普通のアニメ制作だとなかなかないので、すごいなと思いました。

——最終話には三上先生が以前からファンであると公言していた加藤英美里さんが岡野の弟役として参加されていましたが、これは指名での配役だったのでしょうか?

かおり 前々からどこかで加藤さんを出したいねとこっそり企画していまして、音響制作の田中理恵さんが手を回して加藤さんのスケジュールを取ってくださいました。アフレコ現場で初対面となった三上先生にはサプライズの形になったのですが、効果がありすぎたようで、アフレコ現場では緊張しきりでいらっしゃいましたね(笑)。田中理恵さんは、よく気を回してくださって一緒にお仕事しやすい方ですね。小倉プロデューサーは「4大田中理恵*1の1人」と勝手に呼んでいます(笑)。

——アフレコ現場は和気あいあいとしていたそうですが(アニメファンブック、オーディオコメンタリー、特典ラジオCD等から)今までになかったこぼれ話があれば教えてください。

かおり テスト時に、私のクシャミをマイクが拾ってしまって、大久保さん、種田さん、津田さんに笑われちゃって恥かしかったです……。配役段階の話では、神様役に美輪明宏さんを、という案が出たものの、さすがにオファーできませんでした(笑)。個人的に印象深いのは、茅野愛衣さんがあいちゃんを演じるたびにニヤニヤしてしまったことですかね。なんかもう可愛いです。

——10月20日のイベントや、同月25日のDVD・BD最終巻発売、11月のガチャガチャ発売……。これらが一段落して、アニメ公式の動きは休止になるように見えますが、次なる動きは何かあるのでしょうか? ずばり、二期やOVAの話はいかがでしょう?

かおり えー、私はやりたいとは言っていますが、何か続編が出ると決まっているようなことはないですね、残念ながら。

——それは、残念です……。ファンとして作品を応援するのに効果的なことはあるのでしょうか?

かおり まずはDVD・BDを買っていただくのが一番でしょうか。また、コミケなんかでのグッズ販売は、作品への熱があることを確かめる場にもなるので、そこでも応援していただけるとありがたいです。

——Twitter上は関東圏での放送時間だった火曜日の24:30から「#yuyushiki」というハッシュタグで実況するという活動があるようですが、こういった試みはいかがでしょうか?

かおり Twitterでのトレンド入り、ということでファンの熱は伝わるしありがたいとは思いますが、やりすぎて放送中のアニメより勢いがあると「『ゆゆ式』さんなにやってんの……」となるので程々に応援していただければなあと。

——『ゆゆ式』と傾向が似ていると思われる作品が多かった一年でしたが、それらの作品についてなにか思うところがあれば教えてください。

かおり 『あいうら』はすごく好きでクオリティが高いなーと思って見てました。『のんのんびより』は、もともと原作のファンで、アニメ化すると聞いて自分で演出をやってみたいと思いました。『きんいろモザイク』は、イギリスロケハンというのが、夏の暑い中、日帰りで地方までシナリオハンティングに行った身からすると羨ましかったです(笑)。

●これからについて

ここからは『ゆゆ式』を終えたあとについてお伺いしていきたいと思います。

——ゴールデンタイムのEDで絵コンテ・演出を担当されていますが、制作に当たって何か要望はありましたか?

かおり 堀江由衣さんが主演で、ED曲も歌われるということで、「堀江さんのPVを作るイメージで」というお話がありました。堀江さん自身のアイドル感を主人公の香子を使って表現できるように努めました。

——これからは演出方面に進みたいと思っていらっしゃるのでしょうか?

かおり そうですね。さっきも言った通り、演出の仕事がすごく楽しいというのもあるんですが、私の絵には思わず見てしまうような華や色気がないと自分で気付いたので、イラストレーターの道は諦めました(笑)。最近、『AKIRA』が劇場で再上映していて、久しぶりに見に行ったんですが、やっぱりすごいと思いました。だけど、私にできるのはこういう道じゃないなーって(笑)。ただ、アニメーションとしてキャラクターを動かす力はあるようなのでそちらで頑張って行きたいですね。演出をやり始めて4年くらいなので、まだまだ勉強することがいっぱいです。

——自分で演出した作品の原画も担当したいと思われますか?

かおり 演出と原画を両方担当する時間が制作上で取れないことも多いので、難しいですね。小島正幸さんと二人で監督を務めている『おしりかじり虫』ですら原画をやる余裕がなくて、全体をチェックしてほしいということになりますので。

——次に監督として作品を受け持つなら、どんな作品を手がけたいと思いますか?

かおり できれば原作が既にある作品でアニメをもう一回やってみたいです。『ゆゆ式』は三上先生から「『ゆゆ式』まる出しですね」と言われるほど原作に噛み合ってしまったような気がして、悩まないというかあまり考えずに作れてしまったので。もう一度、今の自分の力量を確認する意味でやってみたいです。

——まばゆいばかりの向上心で素晴らしいです。最後に、これからどういった作品を作っていきたいかを教えてください。

かおり みんなに夢や希望を与えられるような作品を作っていきたいです。『ゆゆ式』だとなぜか「癒やし」と呼ばれることが多かったんですけど、それも自分ではなぜなのかよく分かってなくて(笑)。そういうのでもいいんですけど、色んなことで悩んでいる子にちょっとした勇気を与えられるような、そんな作品を作りたいです。ぐっと身近で、ハートフルなものがいいですね。そんなお仕事募集中です!

(了)

ご挨拶

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

明日以降のゆゆ式Advent Calendarもお楽しみに。

備えよう

*1声優田中理恵さん、体操選手の田中理恵さん、ピアニストの田中理恵さん、そして音響技師の田中理恵さんを統括して指す言葉

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