2005-09-09 茶色い悪魔
風呂上りに浴室のドアを開けた瞬間。
背後で小さくて茶色い何者かが羽ばたき降りる気配がした。
11階のマンションということもあり、いつも窓全開で風呂に入るので、大方、蛾でも飛び込んできたのかと振り向くと。
そこには。
不気味な羽を畳みつつ、触覚をうにょうにょ動かす恐怖の茶色い悪魔の姿があった。
ある日。
苦手なネズミにドラ焼きをかじられ、あまつさえ追い掛け回されたが故に「キレた」我が親友?ドラえもんは「いけない目」になりつつこう呟いた。
「かくなる上は地球ごと壊してやる」
そんな物騒極まりない兵器が、一ネコ型ロボットの所有物になっているという23世紀の軍事状況に、いささか不安は感じるものの。
俺には、わかるぜドラちゃん。
なぜなら。
風呂上りでマッ裸な俺は、思わず右手でへその辺りをまさぐっていたからだ。
こうして、とりあえず地球は無事だし、あなたもこうしてお莫迦なブログを読んでいられるのである。
しかしながら!
俺は、へろへろとその場にしゃがみこみ、脂汗を滴らせ、奥歯を鳴らし、失禁しそうになり屁まで出てくる始末。
前にも一度書いたことがあるが、もう一度、念を込めて書いておきたい。
俺は、この世で一番ごきぶりが大嫌いなのだ!
そう。
ごきぶり。
年の初めの初詣。
ふと立ち寄る教会。
神様に願い事をする時には、いつも最後にこう付け加える。
「・・ええっと、そうだ、最後に。この世からゴキブリが消えてしまいますように」
残念ながら、願いは叶ってはいないようだ。
なぜなら、今、こうして俺の目の前に、こう触覚をうにょうにょ動かしてヤツが存在しているからだ!!
何故に日本の政党はマニフェストに、日本からゴキブリを退治します、の一言が書けないのであろうか。
俺が所得税を全額還付されているせいなのか?
そうこうしている内に。
ヤツはゆっくりと歩き出した。
じっとしていれば俺だって耐えられるものの、動き出したらもうダメよ。
「ま、ま、ま、まゆぅぅぅぅ。」
思わず、まゆを呼んでみる。
しかしながら書斎でパソコンに向かっていると思われるまゆには、俺の心のシャウトは届かないようである。
このままでは、やられる。
かめはめ波は、まだマスターしていない。
どうするよ、俺。
すっかりパニックに陥りそうな俺の目に飛び込んできたもの。
それは浴室の給湯パネル。
とっさに給湯温度のスイッチを操作し50度まで上げるとシャワーノズルを掴んで全開。
先ほどまで使っていた給湯器は素早く熱湯を供給し始め、浴室は熱気と湯気に包まれる。
幾多の生存競争を勝ち抜いてきた遺伝子の記憶がそうさせるのか。
はたまた故に生き残ってきたのか、ちょこまかと巧みに風呂釜の排水口へと逃げて行った。
逃がすものか。
やらなければやられる。
奥へ奥へと逃げるゴキブリ。
「掃除してるの」
騒ぎに気が付いたのか、まゆが背後に立っている。
すっかり頭からも湯気を出しながら俺が吼えると。
まゆは鼻で笑いながら、どこからかキンチョールを持ってきた。
「これ使えば」
おお。
かくして、戦いは終わった。
我が戦友、キンチョール。
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