財政危機に国民が取るべき選択 Twitter

 

2012-02-05

あなたの生命保険は大丈夫? -超長期国債依存が進む生命保険会社-

| 08:21

池田信夫先生の記事で“逃げ遅れた地方銀行”とあるが生命保険会社も同様だろう。生命保険会社の国債依存は異常に思える。2011年3月末時点のかんぽ生命、日本生命第一生命明治安田生命住友生命国債保有残高などをまとめてみた。

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各生保の国債保有残高は、かんぽ生命64.1兆円、日本生命13.4兆円、第一生命11.1兆円、明治安田生命10.0兆円、住友生命7.3兆円となっている。かんぽ生命は総資産96.8兆円のうち、66.2%が国債に成り代わっており、他の4社も総資産のうち、25%〜40%程度が国債に成り代わっている。

国債価格が下落(=金利が上昇)すれば、当然金融機関は損失が発生する。実際に決算毎に損失計上をする必要があるかどうかは、国債の保有区分にもよるため(満期保有目的債券、責任準備金対応債券保険会社だけに認められた区分)であれば時価評価不要)、「国債価格の下落=即座に損失表面化」とはならないが、損失が表面化しようがしまいが、資産が裏側で劣化するのは同じことだ。

かんぽ生命は純資産1.2兆円に対する国債の保有倍率は何と53.1倍と驚愕の数字となっているため、保有する国債の価格が2%弱下落するだけで純資産を上回る資産劣化が生じる。(生命保険会社には「実質純資産額(時価ベースの資産から資本性のない実質的な負債を差し引いたもの)」という考え方があり、これに基づけば、生命保険会社の財務状況はより安全と言えるのだろうが、この概念は一般的になじみが薄いため、どこまで大きな意味を持つのか疑問だ。)

また国債の償還(満期)までの期間が長ければ長いほど、同じ1%の金利上昇でも国債価格の下落幅は大きい。よって、各生保が保有する国債の償還予定額の内訳も見た方が良い。それが以下だ。

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いずれの生保も多額の10年超の国債を保有している。ここまで超長期国債への投資が過多になると、各生保が保有する国債価格は、金利1%の上昇で10%程度下落してもおかしくない。生命保険会社という性格上、お客様の資産を長期で運用する必要性があるのは分かるが、超長期国債に偏った資産運用を継続するのは、経営上、望ましくないはずだ。今の日本政府の財政状況から、何かをきっかけに長期金利が突然跳ね上がるということは十分に有り得るからだ。

生命保険会社とも「ソルベンシー・マージン比率」という“通常の予測を超えたリスクに対応する余力を示す指標”を公開している。保険会社は通常の予測を超えるリスクが発生した場合でも、契約者に対して保険金の支払いをする必要があるため、この指標を定めているが、資産が超長期国債に偏った生命保険会社の「ソルベンシー・マージン比率」など、国債暴落時には何ら意味をなさなくなるだろう。そのような事態になった場合、あっという間に多額の損失を計上し、経営危機となる会社も出てくるはずだ。

生命保険会社が経営破綻した場合には、国内で事業を行うすべての生命保険会社が加入する「生命保険契約者保護機構」により、一定の契約者保護が図られるが、制度上、保障される保険の減額は避けられなくなるだろう。そして、「生命保険契約者保護機構」の財源も、借入限度額が4600億円(プラス政府補助)と少ないため、資産規模が大きい生命保険会社が1社でも経営破綻するような事態になれば、財源は枯渇することだろう。財源が枯渇してしまえば、破綻した生命保険会社の受け皿さえなくなってしまうということもあり得る。もちろん、国債暴落している状況では、日本政府も破綻した生命保険会社を満足に救済できるだけの体力はない。

顧客である我々には「万が一のリスクに備えて」と保険を売っておきながら、保険会社自らは国債の下落リスクに無頓着であり、何か矛盾を感じるのは私だけであろうか。生命保険に加入している方は、加入する生命保険会社の財務状況を調べてみてはいかがでしょうか。

参考までに以下に各社の国債保有残高の推移を掲載しておくが、(かんぽ生命を除き)すべての生命保険会社で国債の保有残高が上昇している。なお、ゆうちょ銀行と同様に、かんぽ生命の国債保有残高は減ってきているため、今後の国債の受け皿として大きな期待はできないことも付記しておく。

※備考:2006年3月の純資産は「資本の部=純資産の部」としている。また、上記グラフは、各生保の財務諸表から数値を拾って作成したものとなる。複数回以上チェックをしたため、作成ミスはないものと信じるが、何かしらのミスがある可能性がゼロではない。その点はご容赦願いたい。

 

参考資料

 

くまくま 2012/02/06 23:14 今回も非常に解り易い情報提供ありがとうございます。ご意見、並びに問題意識については全くもって同意できます。政治家になれるかどうかは解りませんが、少なくとも自分としては政治に対して『丸投げして文句だけ言う』というこれまでの日本人とは訣別して、『引き受けて自分のこととして考える』ようにはなりたいと思っています。悦さんの様にサイバー上で国の問題点を客観的事実に基づいて指摘することの重要性がアラブの春やロシアの不正選挙の公開などで立証されて来ている様に思います。今後も楽しみにしています!

2011-11-26

財政破綻は他人事ではない 〜ゆうちょ銀行/メガバンク国債保有残高一覧(2011年3月時点)〜

| 09:46

財政破綻が来る、いや、その前に金融危機が発生する。」と言われても実感がわかない方が多いだろう。財政危機を訴える人はいつもオオカミ少年で、国民の間に危機感はいつまで経っても共有されない。しかし、あなたが汗水垂らしてこつこつ積み立てた預金が紙切れになると実感出来たら、危機感は共有されるのであろうか。2011年3月末時点のゆうちょ銀行メガバンク(三菱UFJFG、みずほFG三井住友FG)の国債保有残高などをまとめてみた。

早速、数値を見ていこう。

各銀行の国債保有残高は、ゆうちょ銀行146.5兆円、三菱UFJFG44.9兆円、みずほFG30.5兆円、三井住友FG25.9兆円といずれも巨額だ。ゆうちょ銀行は預金残高174.7兆円のうち、84%が国債に成り代わっている。メガバンク3行も預金のうち、30%〜40%程度が国債に成り代わっている。

金利が上昇して、国債価格が下落すれば、当然金融機関は損失が発生する。実際に決算毎に損失計上をする必要があるかどうかは、国債の保有区分にもよるため(満期保有目的債券であれば原則取得原価による評価)、「国債価格の下落=即座に損失表面化」とはならないが、損失が表面化しようがしまいが、資産が裏側で劣化するのは同じことだ。

また国債の償還(満期)までの期間が長ければ長いほど、同じ1%の金利上昇でも国債価格の下落幅は大きい。よって、各銀行が保有する国債の償還予定額の内訳も見た方が良い。それが以下だ。

近年、メガバンクリスク回避のため、国債の平均残存期間の短期化を進めているが、もう限界に近いはずだ。よって、国債の保有残高そのものを減らすしか、さらなるリスク回避策はないはずだが、運用難のせいか、国債保有残高は増える一方だ。

以下が、各銀行の国債保有残高の推移となる。国債の絶対額だけではなく、総資産、純資産などとの比率を見ることも非常に重要だ。

ゆうちょ銀行は純資産の1600%(16倍)超もの国債を保有しているため、国債価格が6%強下落すれば、債務超過に陥る可能性がある。実際に損失計上する必要性があるかどうかは上述の通り、国債の保有区分にもよるが、メガバンクと比較して国債の平均残存期間の短期化が遅れていること、また時価評価が必要な「その他有価証券」の区分で国債を40兆円近く保有していることもあり、金利が数%上昇すれば、経営危機が取り沙汰されるだろう。なお、ゆうちょ銀行は既に国債の保有残高を減らし始めているため、ゆうちょマネーは新規国債の受け皿とはなり得ない。

ご覧のとおり、ゆうちょ銀行メガバンクとも、いずれも国債の保有残高が多い。預金の多くが国債に成り代わっているのだ。日本の財政が信用を失い、国債の価格が暴落すれば、あなたの預金もその価値を失う。あれもこれも嫌だと我がままばかりを言っている場合ではない。

いい加減に目を覚ませ、日本人。

※備考:2006年3月の純資産は「株主資本=純資産」としている。また、上記グラフは、各銀行の財務諸表から数値を拾って作成したものとなる。複数回以上チェックをしたため、作成ミスはないものと信じるが、何かしらのミスがある可能性がゼロではない。その点はご容赦願いたい。

カイトカイト 2011/12/04 04:07 おそれいります。
あなたの論と全く逆のことを言っている人がいます。
どうか反論をお願いします。

http://www.choujintairiku.com/nakano2.html

31期のくま31期のくま 2012/02/04 11:34 悦さんお久しぶりです。私は以前は反対の意見でしたが、悦さんのブログやその後の私なりの学習で悦さんの意見に同意するようになりました。大変、参考になる情報を提供して頂きいつもありがとうございます。因みに95%弱は国内で国債を保有しているから問題ないとの考えがありますが、逆に言うと5%強は外国人が保有しており額にすれば60兆円程度です。仮に保有しているヘッジファンド連中がが60兆円の国債を担保に10倍レバレッジを掛ければ600兆円のカラ売りを仕掛けることも理論上は可能です。また、ガイトナーの訪日によるボルガ―ルールの適用要請や国債の格下げによる生保のシステマチックな国債の売却など国債の下落要因がここにきてにわかに増している様にも感じます。今後も悦さんの視点からのご意見楽しみにしています!

etsuyoshietsuyoshi 2012/02/05 08:47 くまちゃん、コメントありがとう。くまちゃん、政治家にならない?くまちゃんなら、胆力抜群だし、歴史に名を残せるぜよ。今の日本には明治維新以来の大改革が必要で、それにはやはり強いリーダーシップを持つ政治家が必要だから。

五月雨五月雨 2012/07/28 22:11 国債を買い続ける日本の金融機関は銀行業務を放棄していると思います。銀行の本来業務は国債を買うことではなく企業に貸し出すことです。ただ、企業側に資金需要がないので貸し出しを増やすのは難しい。やはり経済成長により税収を増やし(消費税でもかまわない)、地道に国債消却していくしかないと思います。この世に破綻しない絶対安全な金融資産は存在しませんが、注意すべきは財政破綻説を煽って株、外貨投資などの投機を勧める輩に騙されないことです。

あ 2012/09/02 03:11 シンプルに主張したい! 財政危機の国はまず食料を作って生存を確保しろ!