貧乏宿泊経驗。
ある地方都市の公民館の縁の下で野宿したことがある。本當は驛の待合ひ處に泊まるつもりだつたのだが、そこにはどうやら藥物中毒らしい瘋癲風なをとこが暴れてゐて、ほかに安全な場處*1が見當たらなかつたのだ。
やくざ者といふのは、グレてゐるくせにヮザヮザひとの寄りあつまつてゐる場處で派手な振舞ひをして、他人にかまつてほしがるといふ、はたメイワクな性質の御仁がおほいみたいだ。貧乏旅行をしてゐると、ひとりやふたり、さういつた「オレ樣は世界の中心」みたいなひとに、かならず出遭つてしまふので、げんなりする。
かういつたひとは、カネさへ持つてゐれば「自分ワールド」維持のために惜しみなく札ビラを切つてくれるはずなので、立ち囘り先にはそれなりの經濟効果もあるはずなのだが。もんだいは、彼等も私も互ひに貧乏だといふ點なのだらう。
かくして、非建設的な出遭ひがそこで成立してしまふのである。*2