パンチドランカー

ライブをやっても音源を出しても、結果が出なくても、ある種の評価がどこかには存在するかもしれない音楽の世界では自分は一番だと思っていた。
でも、弾き語りを始めて身一つで自己責任で20~30分間を試される世界に来て、明確に劣等感を感じることが多くなって根拠なき無敵感は完全になくなった。


結果でも評価でもなく、負けを自覚したら終わりだとずっと思って来たけど、むしろそこから始まる音楽と自分の本当の日々を改めて感じてる。
良くも悪く…はないか。いい意味で負け過ぎて死にそうに生きてる。


続けること、続いてしまうことが正しいのかどうなのか今でもわからない。誰にも何も言われたくない。立派とも、まだやってるのとも。
本当に正しいと思ってるならお前がやればよかった。否定するならもっと前から縁を切れ。
それを立証するつもりも見返そうとも思わない。


目の前でずっとやってきたはずのことでボコられまくってる。
痛い辛いで辞めるか、ないはずの年齢制限で辞めなきゃいけなかったけど、多分本当にならないといけなかったのは、打ちのめされ続けてきたからこそのパンチドランカー。


本当に夢を使い果たした人間は呑み屋で想い出話を声高にできる老害じゃなくて、何も言えない廃人になるんだろうな。
そうなりたい。自分で自分ももっと殴っていく。

フォーミュラゼロ

CYBER FORMULA (Remastered2020)

CYBER FORMULA (Remastered2020)

Nintendo Switchに昔のファミコンスーパーファミコンのソフトを遊べるサービスがある。かなりの本数入ってるので、おじさんはそのノスタルジーの海を泳ぎ続けるだけでも余生を遅れそうなほど。


かつて難しくてクリアできなかったスターフォックスエフゼロとか今ならクリアできるんじゃないかとやってみるけど、むしろ下手になっていてクリアも何も以前より進めない。
そりゃそうだ、練習してないもの。それどころか歳をとった野球選手みたいに動体視力も衰えているのだろうな。


大人になればできることが増える…時期を越えて失うフェーズに入ってるんだろう。お金とか名誉を獲得できるかって話は別にしてね。
前に「もうどれだけ頑張っても甲子園には出れないけど、死ぬほど頑張ったらプロ野球の選手になれる可能性は0じゃない」ってよく言ってたけど、現実的かどうかは別にしてそのロジックすら成り立たない日が来てる。
それでも可能性ゼロであることを笑って済ませられないんだよな。いや、野球じゃなくてね。


ヘラヘラしたくないなと思う。老いを憎むとか若さに嫉妬するとかじゃなくて、ただ今の貴重さに向き合わないと。


「今が苦しいからこそ明日が輝く」小学生の頃に見てたサイバーフォーミュラのEDテーマに今でも勇気付けられる。
こういう曲を書きたい…とは単純に思わない。でもそれ聴いてオッサンになっても泣ける自分がやるべきことはまだあると信じてる。

冬の星

悲しみで価値が決まる硬貨で未来を買う
どこまでも美しく一人きりの明日を
ベタついた夏が終わり乾いてる季節が来る
勘違いでも空気が繊細に思えた


君は今どうしているかな
便りは途切れて
妄想だけでいつまでも喋ってる


僕だけを救う歌詞も君の為だけの歌も
この星を描いてるコンパスに弾かれ


ずっと前に感じた熱で
夜を延びてきたけど


一人より独りみたいだな
寂しくなかったはずなのに
雑踏の銀河で立ち止まってる


どこまでも行けるはずのどこにも行けない映画
わかったようなふりして燃え尽きていくだけ


空の片隅で

積立ニーサと積み立てないニーサン

職場の主婦たちが「将来の為に積立ニーサ始めなきゃ!」「最低何年積み立てないと元本割れしちゃうかもしれない!」とか騒々しく話していた。

 

ミュージシャン、バンドマン界隈に行くと「貯金?5000円だけど?」くらいならまだ良くて、数百万円借金抱えて夢を追い続けてる人もいたりして、高低差に耳がキーン…いや、高い低いじゃないな。その異なる考え方や捉え方が同じ次元に存在してるのが不思議に思えてくる。 

 

それでもそのどちらも未来が存在すると信じてやってることだから面白いし、どうであっても人間ってなんだか愛おしい。

ユニコーン

夢を望むことも背伸びを続けることも
辞めてしまった等身大の日常に何があるのか
何もなかった毎日をむしろ愛おしく思い出す
捨てられないもの抱えても掌は乾いてる


絡まる足でも前へ転べ
その傷が今日を振り返る理由になるだろう


鋭く尖ってる想いは今でも空を見上げてる
履き替えなかった靴でまだまだ走れるかな
終わらない地平線の彼方まで


群れをはぐれて気付いた僕だけが幻獣の類かい
実在しない自分をいつの日にも夢見てたけど
油まみれの現実の中で個人的な神話に
救われ続けてたんだ勘違いでも間違いじゃない


幻の鬣や尻尾を揺らす
柔らかな風を僕だけが感じて歩みだす


ずっと貫いた想いはまだこの先目指してる
細く長くなって情けない姿でも
この線は途切れない


鋭く尖ってる想いは今でも空を見上げてる
履き替えなかった靴でまだまだ走れるだろう
終わらない地平線の彼方まで

雨垂れ石を穿つまで

ソロでは初めての企画、僕の弾き語りのホームのバーペガの店長の翔馬君との共催企画を終えました。
立ち会ってくれた全ての方々に感謝です。本当にありがとうしかない。


入り時間を思いっ切り朝に設定して、ライブ前にラジオ体操するみたいなマジでわけのわからないことを企画したのに誰一人遅れてこなかったし(何なら僕が一番遅かった…)、身体を伸ばす度に「痛い!痛い!」とか言ってみんな笑いながら体操してたな。


最後のMCで僕が「今でも売れたいと思ってる。アリーナみたいな大きなステージに立ちたいと本気で思ってる」と話した時、誰も笑ってなかったな。



いい仲間に恵まれたと思う。
続けてきて良かったと言って終わりたかったけど、本当に良かったらまだまだ終われない。
夢を叶えたい。でも夢が叶えてくれたことをどこまでも大切にしてきたい。


雨垂れ石を穿つまで。