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ヨーロッパから環境事情 (オックスフォードの環境博士の日記) このページをアンテナに追加


新しいブログを自分のドメインで始めました:
http://blog.takeshitakama.com/


基本的に、もうはてなダイアリーは更新しないつもりですが、今のところ上のブログと同時のアップしています。

英国の古都オックスフォードに住んでもうすぐ8年。オックスフォード大学の環境学部で博士を取り、そのままシンクタンク系の環境研究所で働いています。クライアントは主に国連、欧州連合、政府系開発エージェントで、活動地域はアフリカなどの途上国が中心です。その為、私の活動範囲は環境単独でなく、発展と環境の仕事です。

例えば、私が関わっている温暖化・気候変動のプロジェクトは、気候モデルの研究ではなく、「適応策」といわれる「温暖化が始まっている不確定性を考慮した」発展問題についてです。他に興味がある事は、マイクロ・ファイナンス、クリーン・燃料としてのバイオ燃料、アフリカ問題、赤道原則などのCSR、発展と教育、不確定下での意思決定、それから、もちろん日本の動向の事。 ただいま、日本の某離島生活中!

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2008-04-24 「食料危機」と「サプライズな農政」

「食料危機」と「サプライズな農政」

下記の様に木村先生にせっかく書いていただいたので、もう少し書きます。

皆さん、こんにちは。木村剛です。 「ヨーロッパから環境事情 (オックスフォード環境博士日記)」 さんが、「食糧価格高騰が話題になっていますね」と問題提起しています。


世界的な食糧価格高騰の一番の理由は単純に食べ物としての食料需要が増加していることでしょう。つまり、問題は価格の高騰だけでなく、食料自体が足りなくなってきていることです。日本自給率が低いので食料を確保する必要があります。でも、多分日本は食糧価格が高騰しても何とか買うことでしょう。

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この食料危機は多くの人には「サプライズ」だったでしょう。その「サプライズ」は何だったのでしょう。


不確定域での意思決定の権威Robert Lempert氏によると、「サプライズ」とは、「意思決定者が想像得なかった事」又は「複数の意思決定者が不確定の要因に同意できなかった事」と「複雑なシステムファンクション(公式)が予測できない事」によるとしています。

簡単に、前者は「サプライズイベント要因」後者は「サプライズ因果関係」と言っておきましょう。これは「サプライム問題」や「気候変動・温暖化」でも言えるいい要約です。

今回の「食料危機」の場合、「サプライズイベント要因」は例えば、「オーストラリアの記録的な干ばつ」。「気候変動」によってオーストラリアは記録的な干ばつに見舞われて、世界的に「食料の供給量」が減ってしまった。それで北米などの他の穀物生産地にもプレッシャーが加わったという経緯があります。

サプライズ因果関係」は例えば「新興国の食料需要」。「人口爆発」や「新興国経済の急成長」などは言われていましたが、それにつながる「新興国の食料需要」はそれ程まで言われていませんでした。とりあえず、それがいつ起こるかの「公式」はなく、予測不可能だったでしょう。


もちろん、これらの事は経済学の「需要と供給のバランス」で説明できますが、この「サプライズ論」は何故その「バランス」を取るために政策が取れなかったのを説明しています。


それでは、この「サプライズ」から何を学ぶべきでしょう。


サプライズイベント要因」では、「意思決定者が想像得なかった事」と「複数の意思決定者が不確定の要因に同意できなかった事」では大きく違います。今回の場合「気候変動・温暖化」が大きく関わっています。もう、「気候変動・温暖化」が「意思決定者が想像得なかった事」とは言えない「knowldge point」を過ぎていると英国気候変動と気候影響プログラム(UKCIP)は言っています。

今後の食料不足を「複数の意思決定者が不確定の要因に同意できなかった事」にしない必要があります。さらにどこから新たな「サプライズ因果関係」が出てくるかもしれません。前回は「日本お金があるので何とかなるでしょう」と書きましたが、「多角的な二国間の協議」などの「腱固(Robust)」な食料の確保策を行わないと、日本も食料危機がやってくるかもしれません。



ここでさらにサプライズな農政」をしてはどうでしょう!



日本農産物アジアの国で売れてきています。「高くても味がよい」とのことです。これは別の「サプライズ因果関係」として「新興国経済の急成長」と関わりがあるでしょう。さらに、「土を使わず、無駄に水を使わない農業の技術」や「ビルの屋上の農業の技術」も日本で出ています。これらの発展に日本の農政も力をいれて、農業の自由化に対する「守りの農業」でなく、積極的に海外に売りにでて、「気候変動・温暖化」に関わりがある食料危機を解消するぐらいの「攻撃的な農政」などどうでしょう。

ちょっと、夢を見すぎですかね。「日本環境技術」と「攻撃的な農政」が「サプライズ因果関係」になって、「食料危機」を解消したらカッコイイのですが。







【The Economist 2008年4月19日号掲載記事について】 「ツナミ」という用語は、恐るべき災害代名詞として今や世界中で定着した観がある。その「見えざるツナミ」が、今世界中を襲っているというのだ。つまり、食料価格の高騰の波のことである。ちなみに、今年日本で行われる予定の洞爺湖サミットも、当初は「地球温暖化対策」だったはずが、今や食糧問題のサミットに切り換わってしまった。それだけ問題が深刻な証拠である。

「見えざるツナミ」世界から‐南北アメリカニュース:イザ!