イノベーションは「開かれた世界」の方が活発だ:「共同」メガ・プロ
アテネのCirceのプロジェクト会議が終わり、オックスフォードに帰る準備をしている。いつも思うのが:
「こんなメガ・プロジェクトをやる意味があるのだろうか?」
このCirceプロジェクトには60以上の研究所が関わっている。僕が関わっているADAMプロジェクトも50以上の研究所が参加している。
協力してプロジェクトをマネージして研究しているつもりだが、現実には重複している研究もあるり、共同研究が思うように進まないこともある。
僕が思うに:
- ヨーロッパ型のプロジェクトは「共同」して研究を促進させるので、メガ・プロジェクトになる。
- アメリカ型のプロジェクトは「競争」して研究を活性化させるので、メタ・プロジェクトになる。
現在のところ、アメリカ型の研究プロジェクトの方が成果を上げていると思う。アメリカ型のプロジェクトは市場メカニズムによる「切磋琢磨」による成果だ。
しかし、ヨーロッパ型のプロジェクトも悪いわけではない。「共同」が自然発生するというナイーブな考えがなくなれば、「共同」の利点も多い。「共同」することに何らかのインセンティブが与えら必要があるだろう。
イノベーションは「閉じた世界」より「開かれた世界」の方が活発だ。昔、パテントやコピーライトが存在しなかった頃は、知識や技術がもっと「共同」され、高められた。過去50年のイノベーションなど大したことないと言っていた研究者がいた。例えば、インターネットのイノベーションなど、船便から電話へのイノベーションに比べるとスピードへの貢献度が違うそうだ。
つまり、「閉じた世界」になった事で、イノベーションのスピードが落ちたそうだ*1。
夢を見ているかもしれませんが、ヨーロッパ型の「共同」メガ・プロジェクトで、知識や技術が「共同」されイノベーションのスピードが上がるといいですね。
個人的には、「閉じた世界」で仕事をするのは嫌いなので、メガ・プロジェクトの会議でいろいろな人にいろいろな話を聞くのは刺激になります。ただ、その為に出張が多すぎですが・・・・。
さーて、オックスフォードに帰ります。
*1:インターネットは、現在の「開かれた世界」の象徴ですが。