Hatena::ブログ(Diary)

ヨーロッパから環境事情 (オックスフォードの環境博士の日記) このページをアンテナに追加


新しいブログを自分のドメインで始めました:
http://blog.takeshitakama.com/


基本的に、もうはてなダイアリーは更新しないつもりですが、今のところ上のブログと同時のアップしています。

英国の古都オックスフォードに住んでもうすぐ8年。オックスフォード大学の環境学部で博士を取り、そのままシンクタンク系の環境研究所で働いています。クライアントは主に国連、欧州連合、政府系開発エージェントで、活動地域はアフリカなどの途上国が中心です。その為、私の活動範囲は環境単独でなく、発展と環境の仕事です。

例えば、私が関わっている温暖化・気候変動のプロジェクトは、気候モデルの研究ではなく、「適応策」といわれる「温暖化が始まっている不確定性を考慮した」発展問題についてです。他に興味がある事は、マイクロ・ファイナンス、クリーン・燃料としてのバイオ燃料、アフリカ問題、赤道原則などのCSR、発展と教育、不確定下での意思決定、それから、もちろん日本の動向の事。 ただいま、日本の某離島生活中!

詳しいプロフィールはここ、もっと詳しくはこちら、RSSフィードはここ

2010-01-13 ソーシャル・パフォーマンス・マネージメントの市場 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

==========

このマニラの滞在記は、Living in Peacehttp://www.living-in-peace.org/)の活動と、グラミン・ファウンデーションの「Bankers without Borders」プログラムhttp://www.grameenfoundation.org/take-action/volunteer)の一環でとして行っている。

==========



今週の会議で思ったことは、「ダブル・ボトムラインを狙う事にマーケットはまだ反応していないが、グラミン・ファウンデーションは存在しない市場をつくるつもりなのだろうか」。

存在しない市場とはソーシャルパフォーマンスマネージメント(SPM)を気にする市場である。前回説明したグラミン・ファウンデーションGF)の取り組みで現在のお金を請求出来ているのは、直接投資、不履行を保障する業務、それから、ローンの取引を自動化する為のコンサルティング業務。投資が「貧困層の軽減」に役立つ様にする為のコンサルティング業務、すなわちソーシャルパフォーマンスマネージメントお金を取れていない。「貧困層の軽減」がマイクロファイナンスの目的であるが、実情はMFIとしての経営の持続化と、投資の安全な回収に力が注がれている為だろう。SPMをすることに、投資管理する投資銀行意味見出していないので、MFIにSPMを要求しない。同じ様に、MFIもSPMをすることが、経営の持続化と関係がないので、彼らもSPMをする必要がない。


「存在しない」と書いたが、SPMをコンサルティングする事にお金を取れている会社もある。前回説明したダンの会社だ。しかし、それはほんの一握りある。ここで、これらのコンサルティング会社やグラミン・ファウンデーションGF)はビジネスルールを変えようとしている。投資銀行に「SPMをきちんとしているMFIに投資をすれば、投資の安全な回収につながりますよ」とか、最低限「CSRとして意味がありますよ」と教育する。そして、MFI側にも、「SPMをすることは、MFIの経営の持続化につながりますよ」とか、最低限「MFIの存在する意味は、貧困の削減ではないですか」と議論する。彼らが無料でSPMのワークショップを行うことはこの為である。そして、願わくば、金銭の回収率だけでなく、社会的な貢献度合いもマイクロファイナンスのディー・デリジェンシー(DD)に入れていくこともこれらのコンサルティング会社GFは望んでいる。ここでも、ナイーブに「いいことをしよう」という考えだけでなく(実はそうなのかもしれないが)、SPMを投資銀行やMFIが気にするようになれば、GFにも新たなビジネス・チャンスが回ってくる。ビジネスエコシステムが広がっていくのである。


ソーシャルパフォーマンスマネージメントについては、GFで働きながら学んでいくので、その都度書いていくが、SPMは、社会的ミッションを実務に変換させる制度化したプロセスである。それは、社会的ゴールを決めることや、これらの目的への前進をモニターして、パフォーマンスと実行を改善するために情報管理なども含まれている。ほとんどのMFIsには明確なソーシャル・ミッションをもっているが、このミッションは計画的で管理された戦略の一部としてめったに進められない。マイクロファイナンスソーシャル・ミッションは、自動的に行われているとしばしば思い込まれているが、実際は他の金融機関と同じく、戦略とは資金の回収する事だけである。金融のゴールと同様に、MFIsが社会的な業績を評価し、モニターし、管理することができれば、ソーシャル・ゴールをよりうまく達成することができるだろう。しかし、同時にそれを行うことが、不履行の削減や利益率の上昇などの金融のゴールの足かせにならないことも必要である。

GFなどは、まず「社会的ミッションを追求する事が、金融のゴールの足かせにならないこと」をワークショップなどを通じて広げていこうと思っているようだ。そのロジックは以下の通りだ。

マイクロファイナンスで「社会的ミッションを追求する事」とは、貧困の削減である。貧困がある地方のなどでマイクロファイナンスが進まない理由は、貧困層はローンを返却する能力がないとみなされているからだ。つまり、これは不履行するリスクが高くなる可能性があるので、「金融のゴールの足かせ」になりうる。しかし、GFクリストファーさんは「地方の貧困層は返却する能力は低いかもしれないが、返却する意志は強いので、そこを見れば、不履行率が必ずしも上がるとはいえない」と言っている。地方では都市部と違い、複数のMFIが事業を行っていないというか、MFIがないところがほとんどだ。その状況では、貧困層は不履行をして、あるMFIのメンバーをやめて、別のMFIのメンバーになることはできない。つまり、セカンドチャンスがないので、不履行が許されない。この状況では、不履行しない意志は確かに強いかもしれない。前回紹介した神父ジョービックさえ、「今日半分しか家族が食べるものがない状態でも、不履行すると、次のローンをするのチャンスががなくなるので、不履行はするべきではない」と言っていた。

つまり、財務評価以外を見ることにより、貧困層に貸し付けを行うことが、思われているほど、リスクが高く無いことを証明できるかもしれない。SPMは「社会的ミッションを追求する事」を助け、結果的に財務の評価を落とさないかもしれない。そして、彼らは貧困層がいる地方で、マイクロファイナンスを推し進めることができるかもしれない。そして、SPMが「社会的ミッション」と「金融のゴール」の両立をすることを可能であることを証明することができて、それを投資銀行が理解するならば、SPMをすることの意味がMFI業界に現れて、GFなどの仲介業者やコンサルタントにも新しいビジネスチャンスが生まれるのだろうか。

別の見方をすれば、SPMが「金融のゴール」をの追求を助けるかどうかは長い目で見るひつようがある。環境問題に関わる立場から一つ例をあげよう。20世紀の終りの頃に、シティバンクなどの大手の銀行環境に配慮しない投資に対して、避難をうけた。多くの学生は、シティバンクキャッシュカードを切り捨て、シティバンク利益は大幅に下落した。この事実をうけて、大手の金融機関は自主的にプロジェクトファイナンス管理モニターする仕組みを作った。赤道原則と呼ばれる、この仕組みはIFCのセーフガードをベースに作られて、500万ドル以上のプロジェクトファイナンスを行う場合、金融機関シンジケート環境社会インパクトアセスメントを自主的に行うことが決めた。詳しくは、http://www.equator-principles.com/

赤道原則はCSRだが、彼らも過去の失敗から、環境社会に配慮しないと、「金融のゴール」に影響をうけるのがわかってきて、強制されるよりはと、自主的に原則をつくったのだろう。赤道原則は縛りがないと批判を受けるが、彼らが、「環境社会的ミッションを追求する事」にインセンティブは発生している。そして、もし、彼らがきちんと赤道原則に従えば、融資をうけて、プロジェクトを思考する団体へは、これらの投資銀行からのシバリが発生する。つまり、この段階で、「自主的」なものから、「強制力」がある取り決めになる。これは、MFIのSPMでも同じではないだろうか。投資銀行がSPMをCSRの一環として始めれば、それが自主的な物であっても、融資の条件として渡された時には、「強制力」のあるものへと移っている。

一年ほど前に、世界銀行が、赤道原則を元にした、ルールをMFIにも作る予定だ、といったニュースを読んだ。GFなどの、ローカルの仲介業者やコンサルタントは同じことをボトムアップで試みている。成功すれば、SPMコンサルティング市場開拓なので、ここでもインセンティブが発生している。トップダウンにしろ、ボトムアップにしろMFI版の赤道原則を見てみたいな。

2010-01-06 グラミン・ファウンデーションのコンサルティング業務 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

後半でグラミン・ファウンデーションGF)の金融(直接投資)以外のコンサルティングかそれに近い業務について話を聞いたので、まとめてみました。

GFコンサルティング的な仕事で大きな部分を受け持つのが、シアトルベースを置く、テクニカルの部署。彼らはこれらの事業をテクニカルと呼んでいるが、内容はIBMアクセンチュアの様なソフトウエアの開発と戦略マネージメントをあわせたコンサルティング業務だと解釈した。このテクニカルな部門は大きく分けて、「MFI」と「開発」のテクニカルに分けられている。


「MFIの為のテクニカル」の作業とは、個人ローンの取引のオートメーション化である。現在のところ、95%のフィリピンのローンは紙とペンで行われている。しかし、最終的に、これらの情報Excelなどの電子的なデータに落とされる必要がある。この「紙」から「電子データ」への移行に入力ミスなどが入り込む余地が大きい。その為、この部分をオートメーション化するソフトウエアGFシアトル部署が制作した。

このソフトウエア、MIFOS.orgはJAVAで書かれたオープンソースソフトウエアである。MFIは無料ダウンロードでき、運用も可能である。しかし、現実には、ほとんどのMFIはMIFOSを使う技能がないので、MFIがサポート無しに運用している例は殆ど無い。結果的には、MIFOSを使用する為に、MFIはGFコンサルティング料金を支払ってインストールからトレーニングまでを発注することになる。これはオープンソースソフトウエアLinuxを使ったコンサルティング業務をおこなうIBMと似たビシネスモデルだと考えられる。

このコンサルティング業務はシアトル欧米運用費用カバーする必要があるので、途上国のMFIには値段が高額に設定されている。この高額な料金に対する批判を受け、GFはある特定のMFIがMIFOSを必要としているかどうかの意思決定をサポートする業務を始めた。この業務は以前はMIFOSとは独立して行われていたが、今はMIFOSを使うかどうかの意思決定の為だけでに行われている。


もう一方の「開発の為のテクニカル」とはもっとエンド・ユーザーに対してのサービスである。しかし、クライアントはMFIであることにかわりはないし、サポートするレベルも戦略的な意思決定である。例えば、マイクロファイナンスが成長事によって、マイクロファイナンスが慈善事業ではなく、持続可能なビジネスであることは証明された。しかし、その結果、貸し付け先も、不履行が起こりにくい事業を中心とした物に集約されて、貧困層への貸し付けは意図的に無視されてきている。その為、GFはMFIに対して、これらの無視されてきたエリアで、持続可能なビジネスを行うためのコンサルティング業務を行っている。

具体的な例として、バングラデシュのグラミン電話の業務を真似て、貧困層携帯電話公衆電話の様に使用する業務や、携帯電話市場価格を調べ、一番良い時期に農作物を売る事を助けるビジネスモデルをMFIにを紹介する。これによって、MFIは貧困層でもビジネスを行える可能性がある事学ぶ。そして、ここでもシアトルの部署は携帯電話ソフトウエア制作したりと、重要な部門を占めている。


それから、金融業務でも少し書いたが、社会的パフォーマンス・Social Perfomance Management(SPM)を分析するコンサルティングも初めている。上にも述べたが、MFIは持続可能なビジネスとの認識はできている。しかし、MFIは本来、貧困層の開発サポートを目的に始められた事業である。その為、貧困層の削減に役立っているかどうかの分析が必要になってくる。現在行われている分析は、逸話的な質的な分析は、大学などがエコノメトリックの手法を使った大掛かりな物のどちらかである。後者はMFIには技能がなく不可能は分析方法である。その為、ワシントンGFはこれらの中間の分析方法、Poverty Index、を開発した。

このインデックスは、各国の国勢調査を元に、ある家庭が貧困かどうかを判断するそれほどデリケートではない10の質問項目を確率的に選択した。この10の質問を行えば、収入などを長期間なモニタリングをしなくても、ある家庭が貧困である確率を測定できる。収入などに長期間モニタリングに比べて、大幅にコストの削減が見込まれる。さらに、簡単に質問事項であるので、同じ家庭を期間を開けて質問をすることによって、「マイクロファイナンスによって貧困層の削減は行われたか」を分析可能になるかもしれない。現在はまだ、十分は時系列のデータが揃っていないので、この分析はまだ不可能である。

この分析方法も無料で公開されており、MFIは独自に行うことが可能である。しかし、十分に分析方法を理解しないままに、この分析を行っているMFIも多い。現在、GFをSPMのコンサルティングとして雇う例は多くない。その場合も、クライアントはMFIより他のコンサルティング会社の場合が多い。

最後に、昨年からGFはHuman Capital Developmentなるものを進めている。これに関しては、過去のブログに書いたのでそれを参照することに致します。


【グラミン財団の方針から学ぶ、カリスマ会社問題点

http://blog.takeshitakama.com/2009/11/blog-post_12.html


このプログラムも現在は、コンサルティング業務としては開発段階であり、このプログラムにMFIが料金を払うかどうかは未知数である。