『FACTA』の怠慢

会員制情報誌『FACTA』2009年1月号に、潮見坂文二(中央省庁官僚OB)なる者が「ヘリコプターマネーいっそ25兆円」なる小文を寄稿している。

その趣旨は、政府は「日銀券」ではなく「政府紙幣」を臨時に25兆円発行して全国民に20万円ずつ配れというものだが、疑問なのはその内容ではなく、こんな官僚OBの名前は聞いたことがない、ということだ。そうした疑問を抱えつつ翌日、『週刊エコノミスト』(2008年12月30日・1月6日迎春合併号)を見たら、「元祖霞ヶ関埋蔵金男」・財務省OB・東洋大教授の高橋洋一「デフレ脱出のために、25兆円ずつの量的緩和と政府紙幣発行に踏み切れ」と題した小文を寄稿しているのだが、これが『FACTA』掲載の記事の趣旨とほとんど同じ。

つまり潮見坂文二=高橋洋一なのだが、それよりも『FACTA』よ、読者は『週刊エコノミスト』に書かれているのと同じことを読むためにわざわざ高い金を払って購読しているのではないぞ。阿部重夫編集長は、安直な紙面作りを反省すべきだ。