2009-04-14
映画「おいしいコーヒーの真実」/小説「珈琲屋の人々」
DVD「おいしいコーヒーの真実」
- 出版社/メーカー: アップリンク
- 発売日: 2008/12/05
- メディア: DVD
- 購入: 5人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (44件) を見る
内容
トールサイズのコーヒー1杯330円。 コーヒー農家が手にする金額、約3円。
あなたが飲む1杯のコーヒーから世界のしくみが見えてくる。
コーヒーは世界で最も日常的な飲物。全世界での1日あたりの消費量は約20億杯にもなる。
世界市場において、石油に次ぐ巨大な国際的貿易商品でありながら、コーヒー生産者は困窮し破産せざるを得ない現実。
一体なぜ?? コーヒー産業の実態を暴きながら、貧困に苦しむコーヒー農家の人々を救おうとする一人の男の戦いを追う。
ちなみに、メーカーのショッピングサイト「アップリンク・マーケット」からDVDを買うと、スローウォーターカフェとコラボレーションした、おいしいコーヒーの真実のオリジナルタンブラーがつくみたいです。タンブラー単品の販売もしていました。
平凡な一消費者として感じたこと
このDVDは貧困に喘ぐエチオピアのコーヒー農家の人達の現状と、巨大マーケットに蠢き錯綜するグローバル企業や先進国の思惑を交えながら、農家の人達に公正な利益を還元するために奔走する、オロミア州コーヒー農協連合会代表であるタデッセ・メスケラ氏の活動を追ったものでした。
こちらのサイトにて触れられているのですが、タデッセ・メスケラ氏は日本の農協システムに感銘を受けて、母国エチオピアにコーヒー農協連合会を設立されたみたいです。
DVDのメニューチャプターを見ると、こういったタイトルがつけられていました。
私はごく平凡な、そして少し怠惰な消費者の一人で、社会的問題に対しては疎いし、「フェアトレード(公正取引)」という言葉があることは、この作品ではじめて知りました。
多分本当は、ニュースやネットの何気ないところで「フェアトレード」について見かけていたかもしれないけれど、記憶に残らなかったのは今まで特別な関心を持たなかったから。
なので、いつもこういった社会的な問題を扱ったものに触れると、自分の無知、無力、偽善、欺瞞と直面することになり凹むのだけど、このDVDの第一の目的は何も視聴者に罪悪感を植えつける事じゃなくて、「発展途上国の人々が、労働に対して公正な対価を受け取れない事実に対する、認知、浸透」であるかと思います。
もちろん、それによってメッセージの受け手が何か行動を起こせればとても素晴らしい事だと思うし、そういった精神を持つ人が増えれば、製作者や状況改善に力を注ぐ人々、農業従事者の方達にとって大きな力になるだろうなとも感じます。
ただ、後ろめたさかから転化する正義感に駆られて、無理矢理何か行動に移そうと身の丈以上の事に手を出せば、疲弊してきっとその努力は長くは続かないだろうし、ひいては、せっかく心に灯った支援の精神自体を潰しかねないと思う。
無理をせず出来ること
DVDの特典映像で、フェアトレードに関係するNGO団体へのインタビュー集があるんですが、「ぐらするーつ」というフェアトレード商品のショップを営む方のインタビューが、個人的には一番共感するところが大きかったです。
内容の細かい言葉まではうろ覚えですが「環境の問題だったり、食品偽装だったり、そういった様々な社会問題の中の一つにこの問題もあって、まずこの問題を知ってもらう事。そして、個々の無理のない範囲で出来ることをする。」といった内容だったと思います。
卑屈にも尊大にもならず、まず何が起きているのかを知ることで、お店でフェアトレードの商品を見れば「これを買ってみようか」という行動に繋がるかもしれないし、他者との何気ない話題の中で、現状に対する認識がより多くの人に広がるかもしれない。問題がある事を知っていることで、自身の言動、思考、行動の幅は確実に広がると思う。
ちょっと気になった事
DVDの内容は農業従事者視点からみた現状を訴えるもので、もちろんその現実に対しては深く憂慮すべき事なのですが、最前線の店舗で誇りを持って働く店員さん達を、悪しき企業の手先とイメージさせるような演出はちょっとなぁ・・・と思った。彼女達はこういった出演の仕方になることを承知してるんだろうか。
でも、最近ではスターバックスでも、フェアトレードコーヒーの販売をしているみたいですね。
企業としての思惑はどうであれ、大企業が率先してこういった取り組みを行ってくれるのは良いことだと思います。
いずれにせよ現状は改善されなければいけないし、その為にフェアトレードという手段を通じて農民の救済に身を粉にして奔走するタデッセ・メスケラ氏の活動は尊く、素晴らしいものだと感じました。
コーヒー繋がりで
フェアトレードを扱った上記のDVDとはまったく関係ないですが、コーヒー繋がりで簡単に小説の感想も。
- 作者: 池永陽
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2009/01/21
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
下町の商店街で親から受け継いだ珈琲店を営むマスターと、マスターの幼馴染でかつての恋人であった冬子さんとの関係を軸に、商店街に暮らす人達のドラマを描いた七編の連作短編集。
内容は人間の悲哀にスポットをあてた、痛ましくて切ないお話ばかりなのだけど、静かな店内でコーヒーサイフォンがコポコポと音をたて、淹れたての熱いコーヒーをそっと出す寡黙なマスターの前で、訪れたお客様は自然に心の澱がこぼれ出すのです。
そんな趣たっぷりの情景描写に、いつしか私もこの店内に迷い込いこんで、声を潜めたマスターとお客さんとのお話に、そっと耳をそばだてているような気持ちになりました。
土曜日の午後17時から一時間、TOKYO FMで「サントリー・サタデー・ウェイティング・バー アヴァンティ(Suntory Saturday Waiting Bar AVANTI)」というラジオ番組があるのですが、読みながら頭の中でずっとこの番組の雰囲気と重なってたんですよね〜。
アヴァンティは「東京のとあるイタリアンレストランのウェイティングバーで繰り広げられる客同士の会話を、常連客の紳士とバーテンダー(現在はスタン・マーロウ)が一緒に聞き耳を立てる。」という設定で、「珈琲屋の人々」のような喫茶店とは違うんですが、珈琲屋さんもきっと、店内を漂う空気感がこんな風に静かでクラシックなムードなんだろうなぁ。
ふとした心の闇に落ちそうになった時、舌をヤケドしそうなほど熱い一杯の珈琲に救われ心が温まる。決して安易な結末には落ち着かないけれど、人の心の矛盾をそのままに描き出した作品に私も心が温まりました。静かな読書をしたい時におすすめです。












